フェラーリF1代表、2026年集中の判断は「心理的影響を過小評価していた」
フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは、2025年に一部のアップグレードを犠牲にし、来季2026年F1マシンにより多くのリソースを割くという判断について、「心理的な面でかなり厳しい管理を強いられた」と認めた。この決断はチーム全体で共有されたものだったという。

レース未勝利、表彰台はシャルル・ルクレールによる7回のみ。ルイス・ハミルトンはフェラーリ移籍初年度となった2025年シーズンでリズムをつかめず、マラネロのチームにとって困難な1年となった。

マクラーレンがシーズン序盤から抜きん出た存在であることが明らかになると、フェラーリの目標はコンストラクターズランキング2位確保に切り替えられた。しかし、シーズンを通じてメルセデスとレッドブルに後れを取り、最終的には4位に終わった。これは2020年以来の低い順位だった。

バスールは、こうした苦戦の一因が、2026年F1に向けて早期に開発の軸足を移した決断にあったと認めている。2026年には大幅なレギュレーション変更とマシン設計の見直しが予定されている。

シーズンを振り返る中で、バスールは次のように語った。

「マクラーレンは最初の4〜5戦であまりにも支配的だった。2025年シーズンは非常に厳しくなると悟った。だから、シーズンのかなり早い段階、確か4月末だったと思うが、2026年に切り替える決断をした」

「難しい決断だった。正直に言えば、心理的な影響を少し過小評価していた部分もある。まだ20戦、あるいは18戦残っている状況で、空力開発を一切持ち込まないと分かっている中で戦うのは、精神的にかなり厳しい。ただ、それでも我々は前進し続けた」

「メカニカル面のアップグレードはいくつか導入したし、オペレーション面でも改善を試みた。これが我々のスポーツのDNAだ。受け入れなければならない。これは決断だったし、今でもその判断は正しかったと確信している」

一方、マックス・フェルスタッペンを擁するレッドブルが徐々にマクラーレンとの差を縮め、メルセデスはジョージ・ラッセルの2勝を手にしたのに対し、フェラーリはいくつか有望な週末がありながらも、ライバルに食らいつくことができなかった。

ルクレールは複数の表彰台と唯一のポールポジションを獲得し、ハミルトンは中国GPスプリントで勝利を挙げたが、全体としては安定感を欠いたシーズンだった。ルクレール自身も結果に「非常に失望している」と認めている。

スクーデリア・フェラーリ F1

それでもバスールは、2026年F1への集中がすべての原因ではないと強調する。

「この決断はチーム全員で共有したものだ。ある段階でランキングを見て、『マクラーレンとの差、ペース差、ポイント差を考えると、巻き返すのは非常に難しい』と判断した。だから、『風洞のリソースを2026年に集中させよう』という結論になった」

「一方で、空力以外のメカニカル面は引き続き開発できるし、実際にアップグレードも投入した。正直に言って、これは良いトレーニングになったと思っている」

「もちろん、ドライバーたちもこの決断の一部だった。彼らはプロジェクトに完全にコミットしている。こういう状況では、全員で共有し、チームとして行動しなければならない。それを我々は実行した」

バスールはさらに、2025年に直面した困難が、2026年F1シーズンに向けた強さにつながると述べた。2026年にはアウディF1やキャデラックF1といった新たなライバルの参戦に加え、新設計のパワーユニットという新たな課題が待ち受けている。

「厳しいシーズンでも、必ずポジティブな要素はある。パフォーマンス面では一定の回復を見せたと思っている。メキシコやオースティンでは表彰台に戻ったし、サンパウロでも大きく離されてはいなかった。正しい方向に進んでいたということだ」

「心理的な面でも、チームにとって良い材料になった。あらゆる分野で少しずつ改善できる。これは2026年F1に向けた最良の準備だ。そして何より重要なのは、早い段階で『将来に最大限のエネルギーを注ぐ』と合意できたことだ」

「厳しい週末を迎えても、月曜の朝にファクトリーへ戻り、全員で前進し続ける。その姿勢が重要だ。我々は厳しいセッションや週末に対して良い反応を示せた。今季の仕事が正しかったかどうかは、来年分かるだろう」

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カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ