レッドブル、2026年自社F1エンジンに慎重「最初から最強と考えるのは甘い」
レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは、自社製として初めて投入されるF1パワーユニットを前に、「数カ月にわたる非常に厳しい時期」を迎える可能性があることを認めた。

レッドブルは2019年以降、F1でホンダ製エンジンを使用してきたが、2026年から日本メーカーはアストンマーティンに独占供給することになる。これによりレッドブルは、フォードと組み「レッドブル・パワートレインズ・フォード」の名称で、ミルトンキーンズにて自社でパワーユニットの開発・製造を行うという極めて野心的なプロジェクトに乗り出す。

この決断は、ホンダが一度はF1撤退を決めたことを受けて下されたものだった。しかしホンダはその後、F1への関与を継続する方針に転じ、2026年から2030年までの次期コンコルド協定にも名を連ねている。

2026年からレッドブルは、ホンダ、メルセデス、フェラーリ、そして新規参入のアウディといった実績あるメーカーと真正面から戦うことになる。各エンジンサプライヤーにとって、新規則下のパワーユニットがどれほどの信頼性と性能を備えるのかは未知数であり、依然として多くの疑問符が付く状況だ。

パドックでは、2014年にV6ハイブリッド時代が始まって以降の支配的な実績から、メルセデスが有利な立場にあるのではないかとの見方も根強い。一方で、レッドブルのような新規プロジェクトについては、初年度から競争力を発揮できるのか懐疑的な声も少なくない。

レッドブル F1 パワーユニット

2026年のエンジン規則には、遅れを取ったメーカーに対して追加の開発時間や予算を認める条項も盛り込まれているが、それでも短期的には痛みを伴う可能性がある。これについてメキースは率直に語っている。

「最初からトップに立てると考えるのはナイーブだ。我々は、非常に、非常に厳しい数カ月を迎えることになると分かっている。眠れない夜も、頭痛もあるだろう……だが、こうした挑戦に取り組めること自体が特権だ」

「何度も言ってきたが、自分たちでエンジンを造るという決断、しかも我々の場合はフォードの支援を受けて行うというのは、おそらく考え得る中で最もクレイジーな選択だ。こんな決断ができるのは、たぶんレッドブルだけだろう」

メキースは、プロジェクトの現状についても明かしている。

「我々はゼロからスタートした。今は建屋があり、テストベンチがあり、600人のスタッフがいる。そして、90年にわたってこの分野をやってきた人たちと戦おうとしている。この挑戦が好きだし、レッドブルらしい。我々はフォードと共にこれを成し遂げることを誇りに思っている」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / フォード F1