LEGOがF1マイアミGPで披露 実走行可能な実物大マシン制作の舞台裏

構想からサーキットでの走行まで、LEGOがこのプロジェクトを実現するのに要した時間は8カ月。PlanetF1.comは、このマイアミでファンに忘れられない体験を提供するまでの舞台裏を取材した。
LEGO、マイアミGPにて実物大の“走行可能”F1カー10台を発表
LEGOの「ブロック・ベースのマーケティング」部門のシニアデザイナーであるジョナタン・ジュリオン氏は、自身の膝のあたりに手を振ってこう語った。
「僕は小さい頃からずっとF1の大ファンだったんだ」
その仕草は、子供の頃の様子を表現していた。
「F1と本当に結びついた唯一のデザイナーだったから、自然とこのプロジェクトが僕のデスクに来たんだ」
ジュリオン氏は、10台の実物大LEGO製F1マシンすべての設計を監修し、情熱とキャリアをまったく新しい形で融合させた。このプロジェクトは彼とそのチームから始まり、最初の目標は2人の人間がコックピットに収まることだった。
「そこが難しかった。というのも、通常は1体のミニフィグしかコックピットに入れないからね」
「しかもミニフィグの体型って、人間とは全然違う」
「だからまずはコックピットをモックアップで試作して、それから車体をコックピットに合わせて組み立てたんだ。つまり、スケールは“2人が入れるかどうか”で決まったんだよ」
全10台の車体ベースは共通だが、サイドポッドやウイング、エンジンカバーは実際のF1マシンを模してそれぞれ特別にデザインされている。
ジュリオン氏は、「チームから超詳細なスケッチをもらったわけではないけど、完成度を高めるためにとても協力的だった。スポンサーのロゴの使用も認可を得ることができた」と説明している。
「LEGOにとってこれは大きな飛躍だ」と彼は言う。
「F1やチーム、関係者とこれほど密接に協力できたのは本当に素晴らしい」

このパートナーシップのインパクトをより深く知るために、PlanetF1.comはLEGOグループの最高製品・マーケティング責任者兼副社長ジュリア・ゴールディン氏にも話を聞いた。
「私たちにとって、これは素晴らしい旅でした」と彼女は語る。
「チェコのクラドノにあるチームは、いつもファンをワクワクさせる壮大なLEGO作品を作ってくれるんです。以前にも実物大の車を作ったことがあります。例えば実物大のマクラーレンなど」
「だから、私たちはこう自問したんです。“もっと上のレベルに引き上げるにはどうしたらいい?”、“さらに限界を超えるには?”と」
「そこでクラドノの限界に挑戦するチームと、クリエイティブチームが“じゃあ、実際に走れるクルマを作ろう”というアイデアを持ち帰ってきたんです」
「そして、それを実現できたのはF1とのパートナーシップの賜物。F1はとても協力的で、革新への挑戦という価値観も共通している。クルマが“走れる”とわかったとき、F1側も“じゃあ、それをパレードで使おう”とサポートしてくれたのです」

ゴールディン氏にとって、LEGOとF1は理想的なパートナーだ。両者は「不可能を可能にし」、「あらゆるレベルで巨大な楽しさと没入感を提供する」。
「それこそがLEGOブランドの本質。私たちはさまざまなオーディエンスと関わりを持っている。子供はもちろん、ファミリー層も。そして今、**最も急成長しているのは“大人のファン”、特に“女性層”**なんです。これはF1にもまったく同じことが言えます」
最後に、なぜマイアミでこの企画を初披露したのかという質問に、ゴールディン氏はこう即答した。
「マイアミは壮大なレースです。何が起こるかわからない場所」
「だからこそ、F1カレンダーの中でも象徴的なこのイベントで披露するのがぴったりだったんです」
たとえ最高速度が時速20km(約12.5マイル)に制限されていても、LEGO製のこのF1マシンは、サーキットにいた観客にも、世界中のファンにも忘れられないパレードラップを届けた。
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