アブダビグランプリ マクラーレン ホンダF1
マクラーレン・ホンダは、F1アブダビGPの決勝レースで、フェルナンド・アロンソが9位入賞。ストフェル・バンドーンは12位で完走を果たした。

マクラーレン・ホンダとして臨んだ最終戦アブダビGPは、ハードな戦いとなったものの、チームは価値ある結果を残した。両ドライバーとも力強いスタートを切ったものの、ストフェル・バンドーンは1コーナーでほかのマシンに押し込まれて行き場を失い、1周目でポジションを2つ落とした。

一方、フェルナンド・アロンソは、前方を走る10番手のフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)との差を詰めるために懸命な走りを展開。チームの戦略が完ぺきに機能したおかげで、さらに追い上げを図り、マッサのすぐ後方につけた。その後、何周にもわたってマッサとフェアで見ごたえのあるバトルを展開したあと、バックストレートで見事なオーバーテイクに成功。そこでワールドチャンピオンシップポイント1点に手が届いたアロンソは、その後、カルロス・サインツ(ルノー)がリタイアしたことで9位入賞を果たし、最終的に2点の獲得となった。

チームは、レース開始直後にバンドーンのマシンに深刻なダメージを検知した。それによって、バンドーンのレースは序盤から非常に厳しいものとなり、全体を通してマシンに細心の注意を払いながら走行しなければならなかった。マシンのダメージの確認、およびハンドリングの改善のためにバランス設定の変更を行うため、チームはバンドーンを予定よりも早い12周目でピットストップさせることにした。それが奏功し、レース中盤にはマシンに対する感触が若干改善したとバンドーンから無線があったものの、問題を完全に解決するには至らず、以降は後方の5台のマシンに追い抜かれないよう懸命に走行を続けるのみになった。

今日は比較的アクシデントの少ないレースとなった。そして、このアブダビGPをもってマクラーレン・ホンダの厳しい一年が終了する。マクラーレン・ホンダは今季最終戦で貴重なチャンピオンシップポイント2点を獲得し、2017年をいいかたちで締めくくることができた。

フェルナンド・アロンソ (9位)

「今日は大事なレースだった。マクラーレン・ホンダとしての最終戦だったし、いいかたちでレースを終えたいと思っていた。自分たちのポジションからはそれほどエキサイティングな内容ではなかったものの、前を走るマッサおよび後方のサインツといいバトルを展開できた。マッサに対してアンダーカットをする戦略が奏功し、オーバーテイクには成功したが、その後はペースが上がらず、大半は単独で走行する結果となった。それでも、好スタートといい戦略で堅実なレースをし、2ポイントを獲得したので、今日の結果には満足している。今年は厳しいシーズンだったし、ここ3年間は困難な道のりだったが、僕たちのプロジェクトについては今も誇りに思っている。結果を出すことができず、期待に応えられなかったものの、チームのみんなが非常に懸命に仕事をしてくれた。マクラーレンとホンダは、これから別々の道を歩む。ホンダの今後の成功を祈るとともに、マクラーレン・ルノーのプロジェクトの幸運を祈る。マクラーレンとホンダの双方にとって、新たなステージの始まりだ」

ストフェル・バンドーン (12位)

「マシンにダメージが発生している状態だったので、レースは難しいかたちでのスタートとなった。苦しい状況だったし、マシンの一部にかなりの違和感があり、まるでラリーカーを運転しているような気分だった! マシンにはグリップが全くなく、滑るばかりで、大きな問題を抱えているように感じた。従って、最初から非常に厳しいレースだったと思う。第1スティントではいい感触がなく、問題を確認するべくピットストップを予定より早めに実施したものの、それ以降も苦しい状況は続いた。その後、徐々にすべてが少し改善し、ポジションを少し上げたものの、マシンに対する感触はよくならず、本来のスピードからはほど遠いペースだった。なにが問題だったのかを、これから確認する必要がある。今日チェッカーフラッグを受けて、今季を無事終了したことについては、うれしく思っている。今日は完走を目指して自分たちの実力を最大限に出しきったと思うし、あの状況では後続の複数のマシンから自分のポジションを守ることぐらいしかできなかったと感じている。浮き沈みの激しいシーズンだったし、自分たちが望むような結果は出せなかった。技術的な不具合が多発し、グリッド降格ペナルティーも多かったことから、パフォーマンスとコース上での走行時間が大幅に不足していた。一年が幕を閉じることをうれしく思うとともに、来シーズンに新たなスタートを切ることを楽しみにしている。僕たちは来年に向けてやる気に満ちている。やるべきことは多々あるが、新たなチャレンジを楽しみにしている」

エリック・ブーリエ (マクラーレン・ホンダ レーシングディレクター)

「今日は今季最終戦で2台そろって完走させるために、チーム全員が懸命に仕事をした。オーバーテイクが難しいとされるサーキットで、両ドライバーが見事な走りをみせ、結果として2ポイントを獲得できたことは、全員の努力のたまものだ。フェルナンドはポイント獲得のために、いつもの独自のスタイルでレースを走り抜け、最終ラップまであきらめずにプッシュした。フェルナンドと彼のエンジニアおよびメカニックのメンバーは、ピットストップの際にフェルナンドがマッサとの差を詰められるようにし、最終的にはバックストレートでマッサに対する見事なオーバーテイクを成功させるという、すばらしい仕事をした。一方のストフェルは、非常に厳しいレースとなったものの、序盤から深刻なハンドリングの問題を抱えながらも、自分のポジションを死守して12位で完走するという見事な仕事をしてくれた。問題の原因はまだ分かっていないが、データを見る限りダウンフォースが大幅に不足しており、それによってマシンがドライブできない状態になっていた。それでもストフェルは、レース中に後続の5台のマシンから自分のポジションを守るだけではなく、マシンを無事完走させるという、すばらしいパフォーマンスを披露した。チームは予定より早く行ったピットストップの際に、マシンのバランスを調節して状況を改善しようとしたものの、結局ストフェルは、高温の中で長時間行われたレースで、常に難しいハンドリングを強いられる結果となった。それでも彼は細心の注意を払いながらマシンを操り、無事完走した。まずここで、マクラーレン・ホンダのメンバー全員に感謝の意を述べたいと思う。チームのための一人ひとりの仕事に対する姿勢、意欲や情熱は、ライバルチームに負けないものがあったと確信している。チームを今の姿に進化させるために全力を尽くし、どんなに困難な状況でも決して戦うことを止めない、彼らの揺るぎないスピリットを誇りに思う。また、すばらしいファンの皆さんにも、その忠誠心と変わらぬサポートに心から感謝を申し上げる。この一年間、常に応援をしてくださったことに対して、感謝の意を述べたいと思う。それから、シーズンを通して私たちを信頼し、熱意を注いでくださったパートナーの方々にもお礼を申し上げる。近い将来、我々にとって新しくエキサイティングな時代がやってくることを全員が楽しみにしている。最後にマクラーレンを代表して、ホンダに対しても心から感謝を申し上げる。常に学び、開発および改善を行うために、我々と一緒にとても精力的に仕事をしてくれた。非常に厳しいシーズンとなったことはだれも否定できないものの、マクラーレン・ホンダにとしての最終戦を迎えたアブダビでは、これまでで最も強力な関係を築き、お互いにリスペクトを示すことができた。これまでの3年間は山あり谷ありの道のりだったが、後悔は一切ない。マクラーレンとホンダがそれぞれの歴史において新たな門出を迎えるにあたり、マクラーレン・ホンダのメンバー全員がお互いの幸運を祈っている」

長谷川祐介 (ホンダF1プロジェクト総責任者)

「2017年、そしてマクラーレン・ホンダとしての最後のレースとなった今日のアブダビGPの決勝は、チームの全員にとって感慨深いものでしたが、今出せる実力を出しきり、2台ともが完走した上でポイント獲得というかたちで締めくくれたことは本当によかったと思います。フェルナンドはいいスタートを決めたあと、前を走るマッサ選手を果敢に追い立て、ピット戦略も活用しながらオーバーテイクを決めるなど、すばらしいパフォーマンスをみせてくれました。ポイント獲得には至りませんでしたが、ストフェルも最後までプッシュした走りをみせてくれました。改めて、両ドライバーともにシーズンを通して、どんなときもあきらめない走りをみせてくれたことを誇りに思います。パワーユニットとしては、シーズン開始時は難しいスタートであったものの、終盤に来て安定した走りを披露できるようになっており、ここまでリカバリーできたという点は、一つの結果として前向きに捉えています。この3年間は間違いなく、非常に難しくチャレンジングなシーズンではありましたが、いつでもすばらしい仕事をしてくれたドライバー並びにチームメンバーや関係者に対して感謝を、マクラーレン・ホンダを応援してくれたすべてのファンの皆さん、そしてマクラーレンに対して、感謝を申し上げます。我々はここから2018年シーズンに向けた開発に集中していくことになりますが、いいかたちでウインターテストを迎えられるよう、冬季の開発に全力で取り組みます。最後になりますが、来年からは我々のライバルとなるマクラーレンに対し、彼らのさらなる成功を願っています」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1 / F1アブダビGP