F1、救済策として分配金を一部チームに前払い
F1のオーナー企業であるリバティ・メディアの会長兼CEOであるグレッグ・マッフェイは、新型コロナウイルスのパンデミックによって財政危機に陥っている一部チームを救済するために分配金を前払いしたことを認めた。

2020年のF1世界選手権はスタートの目途が立っておらず、収入を得られない状況によって最大で4つのF1チームが消滅の危機にあると危惧されている。

現在、F1チームは活動がなくファクトリーを閉鎖しており、マクラーレン、レーシング・ポイント、ウィリアムズ、ハース、ルノーの英国拠点は政府の支援スキープを利用するために従業員の大部分を一時解雇。だが、レースが中断されている状況はF1チームの財政を刻々と圧迫している。

F1チームが賞金として受け取る分配金は、F1自体の収入に直接つながっており、その多くがレース開催費とテレビ放映権による売り上げによって生じている。そのため、F1チームだけでなく、F1自体ががレース中断によって収入源を断たれている状況となっているが、グレッグ・マッフェイは、F1は手元資金の一部を用いて、小規模チームがこの危機を乗り越えられるように賞金の支払いを前倒しし、レース再開時にすべてのチームがグリッドに並ぶ状態を確実にしていくと述べた。

「軽率な方法で資金を使うことは奨励されないが、我々は、F1のビジネス運営と、現在大きな犠牲を被っている我々のパートナーであるチームの業績結果とのバランスを取ろうと努力している。すでに我々はチームへの支払いに先立ち、一部のチームに前払い金を用意している」とグレッグ・マッフェイは投資家向けのカンファレンスコールで述べた。

「もっと多くの支払いを実施する可能性もあるし、助けを必要としているチームを仲介するために他のことをする可能性もある。白紙の小切手だと考えていいない。だが、シーズンを逃す可能性のあるメジャーリーグ・ベースボールは、全選手に1700万ドル(約18億3,000万円)を前払いしている。ここでも同じ問題を抱えており、実際のところF1チームの資本燃焼率の方が高いだろうと思う。我々には支払い能力のあるチームが必要だ。そして、F1チームは、我々が2020年や2021年、そして、それから先も成功させなければならないレースの一部を構成する」

フェラーリ、メルセデス、レッドブル、マクラーレン、ウィリアムズは毎年のF1からのボーナス支払いという形で保証された収入がある。しかし、その金額はそれぞれで大きく異なり、グリッド後方のチームはビッグチームよりもF1の賞金に依存している。

「F1から最低限の保証を得られないチームは、特に犠牲を被ることになるだろう。彼らの収入源の大部分はF1の収益の分配金が占めている。辛うじて利益が出る、もしくは利益の出ないレースを我々が運営した場合、彼らはチーム運営のコストをすべて被ることになる。これは一つの課題になる」

「我々が、2020年シーズンをどのように開始するかについ検討しなければならない理由のひとつがそれであり、我々だけでなく、F1のエコシステムにとってふさわしい方法で始めなければならない。チェイス(キャリー/F1 CEO)と彼のチームは複数のシナリオを想定している。スタートするのに何が必要かという問題だが、テレビ放送だけなのか、ファンもいるのかを問わず、いかなるフォーマットであれ当局の承認が必要であり、チームがどうそれにどのように取り組んでいくのかも必要だ」

「ファンに利益がある一方で、利益のない、もしくは損失を出すレースを行うことによってチームが破綻することのないようなことは行うべきではない」

グレッグ・マッフェイは、2020年のF1世界選手権を完全に中止することも含め、様々なシナリオを検討していると認める。

「レースを開催しない、もしくは15~18戦を開催するシナリオ、もしくは無観客でスタートするなどの案があり、現時点で、多くの機会、チャレンジに直面している」

「チェイスと彼のチームには複数のオプションが提示されているが、開催されるかどうかがわかるまで、そのレースと他のレースを置き換えるよう誰かに要請できるだろうか?」

「したがって、我々は一定のイベントがヨーロッパで開催されるかを観察しており、その周辺で選択肢を検討している。それが開始時期をカウントするものになるかもしれない。何の保証もないが、そういったことを試みることは確かだ」

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カテゴリー: F1 / リバティ・メディア