ランド・ノリス F1初戴冠の裏側 マクラーレンがテープに託した“特別な言葉”
2025年F1タイトル決定戦となったアブダビGPのスターティンググリッドで、マクラーレンがランド・ノリスに向けて“特別なメッセージ”を託していたことが明らかになった。背景には、今季アメリカGPで発生した出来事をめぐり、FIAがレッドブルに「重大」とされる罰金を科していた事実がある。

マクラーレンは以前から、ランド・ノリスがグリッドにマシンを止める際の目印として、ピットウォール側に細いテープを貼る慣習を続けてきた。

そのテープが注目を集めるきっかけとなったのが、10月のアメリカGPだった。オースティンのCOTAで、フォーメーションラップ開始後にレッドブルのチームメンバーが再びグリッドエリアに立ち入ったとして、FIAはレッドブルに5万ユーロ(約800万円)の罰金(うち半分は執行猶予)を科した。

この件は安全規定違反による処分であり、テープ自体への干渉行為は直接の処分対象ではなかった。しかし、その際、制止を振り切ったとされる関係者が、ノリスのために置かれていたテープに手を加えようとした疑いが浮上し、両チームの間で“小さな騒動”となっていた。

「You got this」 愛情のこもった手書きメッセージ
そしてタイトルが懸かったアブダビGP。決戦を前に、マクラーレンはノリスのために、いつものテープに特別な意味を込めていた。

現地で撮影され、SNSに投稿された映像には、ノリスのレースエンジニアであるウィル・ジョセフが、グリッド上でしゃがみ込み、一本のテープを手にしている様子が映っている。

そのテープには、両端に描かれた2つのハートとともに、手書きでこう記されていた。

「You got this」

さらに「R2」という文字も書き添えられており、これはスタート前にステアリングホイール上の設定を調整するためのリマインダーだったと見られている。

2ポイント差で決した2025年F1タイトル
ノリスはアブダビGPを3位でフィニッシュし、優勝したマックス・フェルスタッペンをわずか2ポイント差で上回り、キャリア初のF1ワールドチャンピオンに輝いた。

シーズン全体では、フェルスタッペンが8勝を挙げた一方、ノリスとチームメイトのオスカー・ピアストリはいずれも7勝。レッドブルとマクラーレンの激しい争いは、最終戦までもつれ込んだ。

ライバル同士のエンジニアが見せた和解の瞬間
タイトル決定後、ノリスのエンジニアであるウィル・ジョセフと、フェルスタッペンのレースエンジニア、ジャンピエロ・ランビアーゼは、パドックで言葉を交わす姿が目撃されている。

激闘のシーズンを戦い抜いた両陣営だが、最終的には互いの健闘を称え合う形で2025年シーズンを締めくくった。

フェルスタッペンからの祝福メッセージ
フェルスタッペンは体調不良のためFIA表彰式を欠席したが、事前に収録されたビデオメッセージで、マクラーレンとノリスを祝福している。

「今夜は出席できず本当に残念だが、まずは再選されたモハメド・ビン・スライエム会長にお祝いを伝えたい」

「そしてもちろん、すべての受賞者におめでとうと言いたい。みんな本当に努力しているし、その成功を誇りに思うべきだ」

「自分の選手権について言えば、マクラーレン、そして特にランドに心から祝福を送りたい。信じられないようなシーズンだったし、最後までレースできたのは本当にクールだった」

「ぜひこの瞬間を楽しんでほしい。2026年にまた会おう」

マクラーレンが密かに託した一言の激励は、2025年F1シーズンを象徴するエピソードとして、ノリス初戴冠の舞台裏に刻まれることになった。

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カテゴリー: F1 / ランド・ノリス / マクラーレンF1チーム