ランス・ストロール F1カナダGPで復帰も 「ケガの詳細はプライバシー」

スペインGPでは予選14番手に終わったあと、イベント途中での撤退を決断。アストンマーティンはその理由を「2023年プレシーズン中に負った右手と手首のケガの後遺症による痛み」と説明していた。
翌週初め、ストロールはバルセロナのクリニックで処置を受けた。執刀したのはMotoGPの世界でも知られる外科医グザビエ・ミール医師のチームで、2023年と同じ担当医だった。
その後ストロールは、フランス・ポール・リカール・サーキットで2023年型アストンマーティンによるプライベートテストを実施。レーシングスピードでの感触を確かめ、メディカルチームから出走可能の判断を受けたうえでモントリオール入りした。
「カナダに向かう前にポール・リカールで何周か走ったから、レース週末の前にマシンに乗れてよかった」と語ったストロールは、「コックピットでも調子は良かったし、今は今週末に集中している」と意気込む。

ストロールはこのケガについて、「数週間ずっと気になっていた」と明かした。
「イモラ、モナコ、そしてバルセロナは週末を通して本当に厳しかった。スペインでは金曜も土曜も痛みがあって、日曜はさらに厳しくなると分かっていた。正直に言って、不可能に近いと思っていた」
カナダGPを控えた木曜、母国レースの地で記者会見に臨んだストロールには、スペインGP欠場の要因となった症状に関する質問が相次いだが、多くの内容について口を閉ざした。
「何をしたのか、どういう方法をとったのかについては話したくない。自分の医療上のプライバシーだから」とストロールは語り、詳細の説明を避けた。
ただし、「痛みはもうない」と明言したうえで、「どんなスポーツでもアスリートは常に痛みや不快感を乗り越えて、週末の終わりに良い結果を出そうとするものだと思う。今回の状況ではかなり苦しんでいて、それでも乗り切ろうとしていたけど、これ以上は無理に続けるべきじゃないと感じた。悪化している感覚があって、もっと真剣に対応する必要があると判断した」と振り返っている。
アストンマーティンのチーム代表アンディ・コーウェルも、「このような状況では、誰に対しても医療上のプライバシーを尊重する必要がある」と述べ、ストロールが早期に処置を行わなかった理由についての明言は避けた。
「ランスは非常に意志の強いレーサーだ。バルセロナで出走できなかったことに最も悔しさを感じていたのは彼自身であり、モントリオールに戻るために最も強い決意を持って取り組んできたのも彼だった」
さらにコーウェルは、ストロールが復帰に向けてシミュレーター作業などにも積極的に取り組んでいたことを明かした。
「彼はファクトリーに2度ほど来ていたし、2025年型マシンのシミュレーターにも取り組んでいた。それは実際のところ、2023年型マシンを走らせるよりも意味がある」と評価している。

スペインGP予選後にストロールがガレージで苛立ちを見せ、チームメンバーに怒りをぶつけたという報道について、コーウェルは「ドライバーは皆、超一流の競技者であり、競争心が強いからこそ走りたがる。医学的な理由で限界を迎えたときは止まらなければならない。それがバルセロナの土曜日に起きたことだった」と説明し、具体的な言及は避けた。
ストロール自身も、「あのときは苛立っていた。手首のこともそうだし、イモラから続いた3レースすべてが不満の連続だった。ドライビングに支障が出ていたから。日曜は無理だと分かっていて、ただただ悔しさが込み上げていた」と振り返る。
現在コンストラクターズ選手権でアストンマーティンは9位、キック・ザウバーと同じく16ポイントを保持しており、そのうち14ポイントをストロールが獲得している。開幕戦オーストラリアGPでの6位が今季の最高成績だ。
「モントリオールに来るのは毎回特別だし、良い思い出もある。毎年ここでレースができるのはうれしいし、ポイントも何度か取れている。母国のファンの前でレースするのは最高だし、この週末も楽しみにしている」と語ったストロールは、再びその手でポイントを掴みに行くつもりだ。
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