F1イタリアGP ピレリ決勝総括「グレイニングなしの特異な週末」
イタリア人アーティスト、ニコ・ヴァッセラリがピレリとピレリ・ハンガービッコッカのためにデザインしたナンバー1入りのキメラ・トロフィーは、イタリアGP後にマックス・フェルスタッペンの手に渡った。

4度のワールドチャンピオンに輝いているフェルスタッペンにとって、これは今季鈴鹿とイモラに続く3勝目であり、このレースでの勝利も2022年と2023年に続く3度目となった。すべてレッドブル・レーシングでのものだ。これでキャリア通算66勝目を達成し、チームとしては通算125勝、そのうち5勝をモンツァで挙げている。

今回のレースは、F1史上最速のグランプリとして記録に残ることになった。フェルスタッペンの平均速度は250.706km/hで、2003年にミハエル・シューマッハがモンツァで記録した247.586km/hを上回った。実際には、2位から7位までのドライバーも、フェラーリのドライバーが刻んだ従来の記録を下回るタイムでフィニッシュした。

昨年と同様に、マクラーレンの2人のドライバーが表彰台に立ち、ランド・ノリスが2位、オスカー・ピアストリが3位を獲得した。ノリスは53周目に1分20秒901を記録し、平均速度257.781km/hというレース最速ラップを刻み、新たな最高速記録を打ち立てた。

F1 イタリアGP マックス・フェルスタッペンフェルスタッペンとキメラ・トロフィー

レース展開
予想通り、大多数のドライバーは第1スティントをミディアムタイヤでスタートしたが、ストロール、ガスリー、オコン、ハジャー、アルボンの5人はハードを選択。唯一ローソンだけがソフトでスタートした。C5コンパウンドは終盤にも再登場し、ノリス、ピアストリ、ストロール、ガスリー、オコンの5人が残り数周で装着した。これは序盤のスティントを予想以上に引き延ばした結果だ。最長スティントはオコンで、ハードで51周を走行。ノリスはミディアムで最も長く46周を走り切った。ローソンはソフトで最も多い9周を記録した。

「ここモンツァでイタリアGPを迎えられるのは素晴らしいことだ。ピレリにとってだけでなく、F1にとっても特別なイベントだ。1週間前のオランダでは、モーターレースのトップカテゴリーにおいて500戦目という節目を迎えた。我々は唯一この偉業を成し遂げたタイヤメーカーだ。ここモンツァでは、この素晴らしい冒険のパートナーたちと共に祝いたい。F1のステファノ・ドメニカリ社長兼CEO、FIAのモハメド・ビン・スライエム会長、そして全てのドライバーとチーム代表たちと共にだ。

ピレリは1950年5月13日、シルバーストンで行われた世界選手権最初のグランプリで、ニーノ・ファリーナが優勝した際にステラ・ビアンカタイヤを供給して以来、今日に至るまで唯一のサプライヤーとしてF1に関わり続けている。F1は新しい技術的ソリューションを試し、検証するための素晴らしい野外実験室であり、タイヤの研究開発や製造プロセスの改善の場でもある。

この記念すべき日に、何よりもまずピレリの全従業員に感謝したい。情熱を持った取り組みと長年にわたる仕事の質、そして今後もこのパートナーシップを推し進めていくための貢献に対してだ」

イタリアGP F1 ピレリ500戦記念ピレリ500戦記念

マリオ・イゾラ(ピレリ・モータースポーツディレクター)
「このグランプリでは、全ての興奮が序盤の数周に凝縮されていた。オーバーテイクとリパスの応酬があり、スリリングな動きが見られた。その後状況が落ち着くと、レースは非常に直線的な展開になり、ドライバーたちはスタート時のコンパウンドに応じて可能な限り第1スティントを引き延ばそうとしていた。昨年と違い、今日はほとんどグレイニングが発生せず、この非常にスムーズな路面では性能劣化はほぼゼロだった。そのため、各ドライバーは自らのトラックポジションに応じてピットのタイミングをほぼ自由に選ぶことができた。一方で、フリープラクティスで予測されたウィンドウよりもはるかに長く引っ張り、セーフティカーを期待して賭けに出たドライバーもいた。

フロントアクスルにブリスターが見られるケースもあったが、パフォーマンスに大きな影響を与えるほどではなかった。摩耗については、40周を超えて走行したドライバーたちは限界に近づくか、一部は摩耗限界を超えたケースもあったが、それでも性能を失うことはなかった。

総じて、このグランプリでのタイヤ性能を評価するなら、性能が良すぎたと言える。来年のコンパウンド開発をどう進めていくかを理解するために、データをしっかり分析することが重要になる。関連する話題として、48時間以内に再びモンツァで2026年用タイヤの2日間テストを行う。火曜はレッドブル・レーシング(フェルスタッペン/角田裕毅)とアストンマーティン(ドルゴビッチ)、翌日はウィリアムズ(アルボン/サインツ)とレーシングブルズ(ローソン/ハジャー)と共に作業する予定だ」

イタリアGP F1 タイヤイタリアGP F1 2025年のF1世界選手権

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カテゴリー: F1 / F1イタリアGP / ピレリ