インディカー
2018年のインディカー・シリーズ 第14戦 ポコノ500が8月19日(日)にポコノ・レースウェイで行われた。

2018年シーズンは残すところ4レースとなり、チャンピオン争いも激しさを増している。今年もシーズン終盤にスケジュールされたABCサプライ500は、米国東部ペンシルベニア州の山間にあるポコノ・レースウェイで開催され、16年の第100回インディアナポリス500ウイナーであるアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)が圧勝を飾った。ホンダにとっては今シーズン9勝目。

予選3番手だったアレクサンダー・ロッシはスタート直後にポイントスタンディングで3番手にいるジョセフ・ニューガーデン(シボレー)をパスして2番手へとポジションを上げたが、後方集団でアクシデントが発生。すぐにイエローフラッグが出された。

次のスタートが7周目に切られると、ロッシはポイント4番手につけるポールシッターのウィル・パワー(シボレー)をパス、トップに躍り出た。ところが、そのラップのターン2でロバート・ウィッケンズ(Schmidt Peterson Motorsports)とライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が接触。1周の平均時速が210mphを上回るスーパースピードウェイとあって、ウィッケンズのマシンは接触後にキャッチフェンスまでジャンプし、大きなアクシデントとなった。
このアクシデントにはジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)、佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)、ピエトロ・フィッティパルディ(Dale Coyne Racing)が巻き込まれ、レース早々に5台がリタイアに追い込まれた。

マシンにも大きなダメージのあったアクシデントに遭ったロバート・ウィッケンズだったが、意識を失うこともなく、迅速な救出作業のあとに病院へ搬送され、検査と治療が行われた。ほかの4人のドライバーたちには負傷はなかった。

コースの清掃、フェンスの修復のための中断は約2時間と長いものになったが、再開後のレースではアレクサンダー・ロッシがライバル勢を寄せつけないスピードでトップを快走。ハイペースでゴールまで突き進んだ。ロードコースのミッドオハイオで行われた第13戦Hondaインディ200ではポールポジションから圧倒的なスピードをみせつけての完全勝利を飾ったロッシだが、今日は全長2.5マイルのトライアングルオーバルにおいても、予選3番手からスタート直後にリードを奪うと、その後はピットストップ以外でトップを譲ることなく200周のレースの180周をリードして歓喜のゴールに飛び込んだ。26歳の若さにして500マイルレースでの2勝目、キャリア5勝目を彼は挙げた。ポイントリーダーのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、ポイント3番手につけるニューガーデンと肩を並べる今シーズン最多の3勝目ともなった。成すべき仕事を完全に成し遂げたロッシは、ディクソンとのポイント差を46点から29点に縮めた。

Andretti Autosportは通算61勝目をオーナーのマイケル・アンドレッティの地元ペンシルベニア州で挙げた。2003年からAndretti Autosportは4回のシリーズ・タイトル獲得を果たしてきており(2004年/トニー・カナーン、05年/ダン・ウェルドン、07年/ダリオ・フランキッティ、12年/ハンターレイ)、インディアナポリス500では6回の優勝を記録している(05年/ウェルドン、07年/フランキッティ、14年/ハンターレイ、16年/ロッシ、17年/佐藤)。ロッシの目標は自身初、チームにとっては5回目となるタイトルをもたらすことだ。

ディクソンは予選は13番手と厳しい結果だったが、彼らしい粘り強いレースを戦い抜いた。序盤のアクシデントを潜り抜けた彼は、ピットストップでのセッティング調整でハンドリングを向上させ続け、クルーたちによる見事なピットストップも味方につけて3位でゴールした。歴代単独2位となる通算5度目のインディカータイトル獲得に向け、彼はポイントリードを保った。

次戦はミズーリ州とイリノイ州の州境のイリノイ州サイドにあるショートオーバル、ゲイトウェイ ・モータースポーツ・パークで開催される。

アレクサンダー・ロッシ (優勝)
「今日の私たちのマシンはライバルのだれのものよりも速かったと思います。それにより、特別な一日とすることができました。私には本当に素晴らしいチームメートたちがいます。ザック・ビーチ、マルコ・アンドレッティは今日のレースで私を助けてくれました。今日、このような優勝を飾れたのは彼らチームメートがいてくれてのことです。Andretti Autosportというチームで走れる自分を幸運だと思います。しかし、今の私は負傷したロバート・ウィッケンズ、あのアクシデントに巻き込まれた人々を心配しています。大きなアクシデントがあったあとだけに、勝利を喜んでばかりはいられません」

佐藤琢磨 (21位)
「ライアン・ハンターレイが壁にぶつかるのが見えました。私はすぐにアクセルを戻しましたが、飛び散ったオイルをヘルメットにもマシンにも浴び、なにもできずに壁にぶつかりました。多くのマシンが巻き込まれたアクシデントは、500マイルの長距離レースだっただけに残念です。負傷したドライバーが心配です。サイドバイサイドで競い合っているとき、ドライバーたちはアドレナリンが出て、より速く走ろうと思うものですが、ポコノのターン2であったのが問題でした。去年までなら2台がなんの問題もなく並んで通過できたコーナーですが、今年のマシンはダウンフォースが小さく、路面もバンピーになっているため、より注意深く走る必要があります。私もセバスチャン・ブルデーとサイドバイサイドになっていたためにアクセルを戻しましたが、そこで彼ら2人のアクシデントが発生し、なすすべはありませんでした」

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カテゴリー: F1 / インディカー