アレックス・パロウ 2025年インディカー王座獲得 3連覇で4度目の栄冠
アレックス・パロウは、ポートランドで行われたラウンド序盤に唯一のタイトル争い相手であるパト・オワードがアロウ・マクラーレンのマシンでパワーを失ったことで、インディカー選手権4度目のタイトルを確定させた。

オワードは、シーズン残り2戦となる次戦ミルウォーキーでの王座決定を阻止するため、パロウとの差を少なくとも14ポイント以上縮める必要があった。

チームメイトのクリスチャン・ルンガーがエンジンペナルティを受けたことでポールポジションからスタートしたオワードは、序盤を快調にリード。17周目(全100周)に首位からピットインした一方、4番手のパロウはステイアウトを選び、優勝を懸けた直接対決の様相となった。

しかし、オワードは22周目にパワーを失いピットイン。マクラーレンによれば「DI(直噴)ボックスに接続されたワイヤーが故障」したとのことだ。配線ハーネスとDIボックスを交換して10周遅れで復帰したものの、パロウの戴冠を遅らせるために必要なポイント差を逆転する望みは現実的に消えた。

オワードはこのレースを終えてパロウとの差が107ポイント以内でなければ逆転の可能性がわずかでも残らなかったが、今季のパロウはインディ500を含む8勝を挙げる圧倒的な強さを見せてきた。

パロウは2021年、ガナッシ加入初年度に初タイトルを獲得。翌2022年はチームとの法的争いで防衛を逃したが、問題解決後の2023年に王座奪還し、昨年もタイトルを獲得。今回で3連覇を達成した。インディカーで3年連続王者となったのは、テッド・ホーン(1946〜48年)、セバスチャン・ブルデー(2004〜07年)、ダリオ・フランキッティ(2009〜11年)に続く快挙で、さらにホーンとフランキッティ同様、インディ500制覇も成し遂げている。

オワードは依然としてキャリア最高位となるランキング2位を狙える状況にあり、このレース前には3位スコット・ディクソンに77ポイント差をつけていた。結果的にポートランドでの成果は得られなかったが、ルンガーのポールポジション獲得とオワードの序盤首位走行は、昨年このコースで大苦戦したアロウ・マクラーレンにとって大きな前進を示すものだった。

なお、マクラーレンは前戦ラグナ・セカで、2020年のシリーズ復帰以来のシーズン最多表彰台記録を更新していた。

アレックス・パロウ 2025年 インディカー・シリーズ

レースの展開
オワードの脱落後、ルンガーが戦略を継続する中、ウィル・パワーはパロウの前でステイアウトし、次のピットまでに11秒の差を広げた。この時点では、2つの戦略による2台の争いの様相となった。

しかし、ルンガーとパロウは終盤用に新品のソフトタイヤを温存しており、周回遅れのマーカス・エリクソンがパワーを抑えたこともあって3台の差は急速に縮まった。パロウは最終スティント序盤にルンガーとの差5秒を消し、後にピットした分だけ燃料セーブの負担も軽かった。

残り14周、ターン7でパロウがルンガーに渾身の飛び込みを試みたが凌がれ、さらに残り4周のターン6ではルンガーに押し出される形となった。やや厳しいが現在のインディカーでは十分許容範囲とされる接触で、パロウはマシンを壊さず驚異的なコントロールで持ちこたえた。

このバトルで前が開けたパワーは、そのまま昨年に続きポートランド連勝を達成。これによりチーム・ペンスキーは2025年初勝利を挙げた。

パワーは来季の契約更新を待つ立場だが、今季はチーム内で最も安定した成績を残している。それにもかかわらず、開幕戦セント・ピーターズバーグでの1周目の接触、ゲートウェイでのタイヤ故障、ミドオハイオでの車両火災、アイオワでのエンジントラブルなど、自身に責任のないリタイアが重なり、これまでの表彰台は3位2回にとどまっていた。

ルンガーは今回の2位でオワードと並び、今季インディカーで2番目に多い表彰台獲得数となった。パロウの3位は今季ロードコースでのワースト順位という驚きの結果となった。

トップ5はグラハム・レイホール、アレクサンダー・ロッシが入り、カラム・アイロットは前戦ラグナ・セカに続き、プレマ・レーシングにとってインディカーでの最高位タイとなる結果を残した。

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カテゴリー: F1 / インディカー