ホンダ、F1復帰のフォードに美味しいところを全て持っていかれた浅はかさ
ホンダは、F1復帰するフォードに美味しいところを全て持っていかれることになった。
レッドブル・レーシングは2月3日(金)にニューヨークで開催された新車発表会イベントで2026年から2023年までのフォードとのパートナーシップを発表。展示用のRB19よりも『フォードF1復帰』が見出しを独占した。
それは同時にホンダとレッドブルとのパートナーシップが2025年で終了することを意味する。
結果的にホンダは、F1が人気を取り戻し、持続可能性の道へ進んでいく絶好のタイミングですべてをフォードに持っていかれることになった。
そもそもホンダはF1参戦から無計画だった。フォードとアウディが新しいF1レギュレーションが導入される2026年のF1復帰まで5年の準備期間を設けるなか、マクラーレンのワークスパートナーとして第4期のF1活動をスタートさせたのは2015年。F1エンジンが“パワーユニット時代”へと突入した2014年の“1年後”のことだった。
1年遅れのF1参入は大きな差となり、トラブル多発でまともに走ることさえできないホンダのF1エンジンはマクラーレンを失望させ、3年間で捨てられた。
ホンダを救ったのはレッドブルだった。2018年からトロロッソでホンダのF1エンジンを採用し、開発のための時間を与えた。そのポテンシャルが確認されると本家レッドブル・レーシングも2019年からホンダのF1エンジンを採用。F1復帰から5年でホンダは第4期初勝利を挙げることになった。
だが、いよいよタイトルが見えてきた2020年10月、ホンダは2021年シーズン限りでのF1撤退を決定する。「2050年カーボンニュートラルの実現」が撤退の理由として語られたが、前年にF1は「2030年までのカーボンニュートラル化」を宣言していた。その時点で多くの疑問符がついていた。
2020年は新型コロナウイルスのパンデミックが始まった年であり、世界中の経済が停止。先が見えない状況となっていた。ホンダのF1最終年となる2021年にはマックス・フェルスタッペンがF1ワールドチャンピオンを獲得。だが、F1日本GPは3年間中止となり、ホンダはF1参戦中に鈴鹿での母国グランプリを走ることなく撤退した。
レッドブルにとっては提携からわずか1年で撤退発表という、ある意味でホンダに裏切られた形となる。それは、レッドブルに、チーム代表のクリスチャン・ホーナ―曰く「我々自身の未来をコントロール」ために独自のエンジン部門であるレッドブル・パワートレインズを設立させることになる。この時点でレッドブルとホンダの長期的な関係の未来は終わりを迎えていた。
F1撤退後、当初はレッドブル・パワートレインズの体制が整うまでの技術サポートという形だったが、不可解なことに、ホンダはF1撤退後もHRC(ホンダ・レーシング)を隠れ蓑にレッドブルへのF1エンジン供給を2025年まで継続する契約を結んだ。F1ファンはホンダが撤退したとは考えておらず、結局、HRCという名前は浸透せずに2022年のF1日本GPからはHONDAロゴがレッドブルのF1マシンに掲載され、2023年からはホンダRBPTというエンジン名までつけられた。レッドブルはホンダへのF1演じの費用をマーケティングで相殺した形だ。
その間にF1は、Netflixのドキュメンタリー『Drive to Survive』の予期せぬ大ヒットでアメリカで爆発的な人気を生むようになった。2022年にはF1マイアミGPが追加されてアメリカでのF1生放送の過去最高の視聴率を記録し、F1アメリカGPには延べ40万人の観客がサーキット・オブ・ジ・アメリカズを訪れた。2023年にはF1ラスベガスGPも開催される。
F1自体が、ホンダのマーケットではないヨーロッパから、欧州50%以上のシェアを誇るメインマーケットであるアメリカへと移行した。
そして、2026年、F1エンジンは、内燃エンジンとハイブリッドの割合が50:50と電動化へ移行し、100%持続可能な燃料の使用という市場のニーズに合わせた変貌を遂げる。
自動車メーカーにとって、アメリカ市場、ハイブリッド技術、クリーンエネルギーという絶好のプラットフォームが整った。この流れには、F1には無関心だったゼネラルモーターズさせ反応し、F1参戦を目指すアンドレッティと協力体制を築いている。
ホンダは、2026年のF1エンジンレギュレーションにマニュファクチャラー登録し、F1復帰の意志があることを示した。だが、その間にレッドブルは内燃エンジンを自社で製造する環境を整え、必要なのはハイブリッド技術だけとなった。
おそらく、ホンダはハイブリッド技術だけでなく、100%持続可能な燃料での内燃エンジンにも関与したいと考えているはずだ。したがって、もはやレッドブルのニーズとは合致しなくなった。それが2026年のパートナーにホンダを選ばなかった理由だと考えられる。
クリスチャン・ホーナー曰く、ホンダとは「2026年シーズンに向けて我々の進むべき道は異なるものとなった」ということだ。
そこに現れたのがフォードだ。ホンダがマニュファクチャラー登録を行った頃にはすでに交渉は進展していた。
フォードは、レッドブルというチャンピオンチーム、アメリカ市場、ハイブリッド技術のアピールの場を手に入れることになる。早速、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスに電気自動車をサーキットで走らせる動画を作成して技術力をアピールしている。
ホンダは、そのすべてをフォードに持っていかれることになった。2026年にF1復帰を決定したとしても、提携するチームはいない状況となっている。メルセデスのカスタマーであるマクラーレン、アストンマーティン、ウィリアムズ、フェラーリ依存を解消したがっているハースなどがいるが、F1界が最も忌み嫌う『参入しては撤退』の典型的な例となったホンダへの信頼は薄いはずだ。新規参入チームと組むという手もあるが、1勝しか挙げられなかった第3期と同じくらい厳しいものになるだろう。
結果的に、ホンダは、無計画な参戦・撤退によって大きな魚を逃すことになりそうだ。
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / フォード F1
レッドブル・レーシングは2月3日(金)にニューヨークで開催された新車発表会イベントで2026年から2023年までのフォードとのパートナーシップを発表。展示用のRB19よりも『フォードF1復帰』が見出しを独占した。
それは同時にホンダとレッドブルとのパートナーシップが2025年で終了することを意味する。
結果的にホンダは、F1が人気を取り戻し、持続可能性の道へ進んでいく絶好のタイミングですべてをフォードに持っていかれることになった。
そもそもホンダはF1参戦から無計画だった。フォードとアウディが新しいF1レギュレーションが導入される2026年のF1復帰まで5年の準備期間を設けるなか、マクラーレンのワークスパートナーとして第4期のF1活動をスタートさせたのは2015年。F1エンジンが“パワーユニット時代”へと突入した2014年の“1年後”のことだった。
1年遅れのF1参入は大きな差となり、トラブル多発でまともに走ることさえできないホンダのF1エンジンはマクラーレンを失望させ、3年間で捨てられた。
ホンダを救ったのはレッドブルだった。2018年からトロロッソでホンダのF1エンジンを採用し、開発のための時間を与えた。そのポテンシャルが確認されると本家レッドブル・レーシングも2019年からホンダのF1エンジンを採用。F1復帰から5年でホンダは第4期初勝利を挙げることになった。
だが、いよいよタイトルが見えてきた2020年10月、ホンダは2021年シーズン限りでのF1撤退を決定する。「2050年カーボンニュートラルの実現」が撤退の理由として語られたが、前年にF1は「2030年までのカーボンニュートラル化」を宣言していた。その時点で多くの疑問符がついていた。
2020年は新型コロナウイルスのパンデミックが始まった年であり、世界中の経済が停止。先が見えない状況となっていた。ホンダのF1最終年となる2021年にはマックス・フェルスタッペンがF1ワールドチャンピオンを獲得。だが、F1日本GPは3年間中止となり、ホンダはF1参戦中に鈴鹿での母国グランプリを走ることなく撤退した。
レッドブルにとっては提携からわずか1年で撤退発表という、ある意味でホンダに裏切られた形となる。それは、レッドブルに、チーム代表のクリスチャン・ホーナ―曰く「我々自身の未来をコントロール」ために独自のエンジン部門であるレッドブル・パワートレインズを設立させることになる。この時点でレッドブルとホンダの長期的な関係の未来は終わりを迎えていた。
F1撤退後、当初はレッドブル・パワートレインズの体制が整うまでの技術サポートという形だったが、不可解なことに、ホンダはF1撤退後もHRC(ホンダ・レーシング)を隠れ蓑にレッドブルへのF1エンジン供給を2025年まで継続する契約を結んだ。F1ファンはホンダが撤退したとは考えておらず、結局、HRCという名前は浸透せずに2022年のF1日本GPからはHONDAロゴがレッドブルのF1マシンに掲載され、2023年からはホンダRBPTというエンジン名までつけられた。レッドブルはホンダへのF1演じの費用をマーケティングで相殺した形だ。
その間にF1は、Netflixのドキュメンタリー『Drive to Survive』の予期せぬ大ヒットでアメリカで爆発的な人気を生むようになった。2022年にはF1マイアミGPが追加されてアメリカでのF1生放送の過去最高の視聴率を記録し、F1アメリカGPには延べ40万人の観客がサーキット・オブ・ジ・アメリカズを訪れた。2023年にはF1ラスベガスGPも開催される。
F1自体が、ホンダのマーケットではないヨーロッパから、欧州50%以上のシェアを誇るメインマーケットであるアメリカへと移行した。
そして、2026年、F1エンジンは、内燃エンジンとハイブリッドの割合が50:50と電動化へ移行し、100%持続可能な燃料の使用という市場のニーズに合わせた変貌を遂げる。
自動車メーカーにとって、アメリカ市場、ハイブリッド技術、クリーンエネルギーという絶好のプラットフォームが整った。この流れには、F1には無関心だったゼネラルモーターズさせ反応し、F1参戦を目指すアンドレッティと協力体制を築いている。
ホンダは、2026年のF1エンジンレギュレーションにマニュファクチャラー登録し、F1復帰の意志があることを示した。だが、その間にレッドブルは内燃エンジンを自社で製造する環境を整え、必要なのはハイブリッド技術だけとなった。
おそらく、ホンダはハイブリッド技術だけでなく、100%持続可能な燃料での内燃エンジンにも関与したいと考えているはずだ。したがって、もはやレッドブルのニーズとは合致しなくなった。それが2026年のパートナーにホンダを選ばなかった理由だと考えられる。
クリスチャン・ホーナー曰く、ホンダとは「2026年シーズンに向けて我々の進むべき道は異なるものとなった」ということだ。
そこに現れたのがフォードだ。ホンダがマニュファクチャラー登録を行った頃にはすでに交渉は進展していた。
フォードは、レッドブルというチャンピオンチーム、アメリカ市場、ハイブリッド技術のアピールの場を手に入れることになる。早速、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスに電気自動車をサーキットで走らせる動画を作成して技術力をアピールしている。
ホンダは、そのすべてをフォードに持っていかれることになった。2026年にF1復帰を決定したとしても、提携するチームはいない状況となっている。メルセデスのカスタマーであるマクラーレン、アストンマーティン、ウィリアムズ、フェラーリ依存を解消したがっているハースなどがいるが、F1界が最も忌み嫌う『参入しては撤退』の典型的な例となったホンダへの信頼は薄いはずだ。新規参入チームと組むという手もあるが、1勝しか挙げられなかった第3期と同じくらい厳しいものになるだろう。
結果的に、ホンダは、無計画な参戦・撤退によって大きな魚を逃すことになりそうだ。
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / フォード F1