ホンダF1:2021年 第15戦 F1ロシアGP プレビュー
F1ロシアGPの舞台は、ソチ・オートドローム。ヘルマン・ティルケ氏の設計による、公道と専用サーキットが組み合わされたレイアウトで、2014年のソチオリンピック開催後、その跡地にサーキットが建設された。
F1開催は2014年から始まり、今年が8回目。セクター2では中速の90度コーナーが連続し、最終セクターは低速コーナーで構成されている。一方、最終コーナーからターン1まではカレンダー中でも最長の全開区間の一つとなっており、パワーユニットへの負担も大きくなる。
昨年はホンダF1のパワーユニット勢4台全車がトップ10入りを果たした。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「後半戦の幕開けとなった3連戦を終え、今週はロシア・ソチでのレースに挑みます。3連戦ではさまざまなことが起こりましたが、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が3戦2勝でドライバーズチャンピオンシップのリードを奪い返し、チャンピオンシップを戦う上でポジティブな結果となりました。今回のレースの舞台となるソチ・オートドロームは、2014年の冬季五輪メイン会場の敷地を利用し、一部に公道を取り入れたストリートコースになります。全長6km弱と、1周の距離が長く、2本の長いストレートと、多くの90度コーナーが配されていることが特徴です。PUにとっては、コーナーからの立ち上がり加速とストレートでの速さに加え、低速コーナー脱出時のドライバビリティーが重要になります。事前シミュレーションを行い、準備をした上で、さらにそれぞれのセッションを走る中で、エネルギーマネージメントやドライバビリティーの最適化を進めていきます。ここ数戦、ホンダ PUを搭載する4台が揃っていい形でレースができていないので、今回は4人のドライバーが持てるパフォーマンスを十分に発揮して、よいレースができることを願っています。また、ここからシーズン終盤に入っていくにあたり、我々のパフォーマンスを最大限発揮するとともにミスなくレースを戦えるよう、念入りに準備を進めていきます。現在、厳しいチャンピオンシップを戦う中で、ホンダはシーズン後半戦から、新型のエナジーストアを投入しました。高効率化と軽量化を実現した新型のエナジーストアは、フェルスタッペン選手がベルギーGP、ペレス選手がオランダGP、ガスリー選手がイタリアGPの決勝から使用を開始しています。これによってPUパフォーマンスの向上を果たし、ユニットの軽量化による車体パフォーマンスの向上にも貢献しています。新型の開発には数年を要し、当初は2022年シーズンに投入予定でしたが、参戦終了の決定に伴い、開発計画を大幅に前倒して、今シーズンの後半戦に間に合わせることができました。開発を担当したHRD-UKのメンバーの尽力に加え、ホンダ社内にある先進技術研究所や、量産車向けバッテリーの開発部門といった仲間の支援がなければ、性能アップを果たしたエナジーストアの開発、またこのタイミングでの投入は成しえなかったと考えています。彼らの努力に対して感謝の言葉を贈りたいと思います」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「(モンツァでの出来事について)起こったことを振り返るのは自由ですが、前を向いてプッシュし続けることが大切です。あれはレーシングアクシデントだったと信じていますが、3グリッド降格ペナルティーが科されてしまったので、それに対処しなければなりません。モンツァでのレースは、さまざまな理由で僕らの一日になりませんでしたが、ソチへと目を向けています。ソチは僕らのチームにとって決していいコースではなかったので、昨年2位に入れたことは素晴らしかったです。今季は競争力が増していますし、パッケージもよくなっているので、ソチでの競争力がどうなるか、面白くなるはずです。モンツァとは全く異なるコースで、週末は雨の可能性もあります。路面もコースレイアウトも、これまでのレースとは違っているので、ソチへ行くのが楽しみですし、何ができるか見ていきたいです。ペナルティーはいいことではないですが、まだ何も失ったわけではありません。ドライバーズチャンピオンシップを考えてもまだ多くのレースがありますし、差もわずかです。今あるパッケージを機能させて、レースウイークで最大限の成果を目指していきます」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「モンツァは得意なコースではないというのは分かっていましたが、ペナルティーによって表彰台を逃したことは残念です。ただ、レースウイークを通じてポジティブな面がたくさんありました。ロシアは大きく異なるタイプのコースになるので、今の形を継続して金曜から力強い走りができればと思います。(フェルスタッペンと)互いに助け合い、各レースウイークでチームにとって一番いい結果を目指すことが重要です。特に、残りのレースが少なくなってきている状況なので、尚更です。ソチでは2014年からメルセデスが全勝しているので、今週末は彼らが一番強いと思います。そこに打ち勝つのは大変ですが、いつものように全力を尽くします。ソチはとてもテクニカルな高速コースで、流れるようなリズムもあり、特に予選が面白くなるので、好きなコースです」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モンツァではいい面もあったので、結果は残念でした。チームにとってはよくない形でレースウイークを終えましたが、ユウキも僕もレースに向けてペースを向上させていましたし、僕は予選がとても上手くいきました。とても残念ですが、サマーブレイクが明けてからの3戦はパフォーマンスレベルがとてもよく、すごくいい傾向です。シーズン残りのレースに向けてはいい兆しで、ここからすべてのレースで競争力を発揮できるはずです。また、イタリアでPU交換のペナルティーを消化できたのもいいことで、ここから最終戦までペナルティーなしで進めばと思います。3連戦中はかなり忙しく、レースの合間に何かをする時間もなくて、普段のような強度のトレーニングもできなかったので、イタリアGPを終えて、少し休息を取りました。チームのみんなにとっても、この束の間の休みはよかったですし、僕も再始動する前にシミュレーターからは少し離れ、フランスで家族と過ごす時間が少し取れました。次のソチでは、昨年Q3に進んでトップ10フィニッシュを果たしています。このコースでは次々と似たようなコーナーが続きますが、とても好きです。最終セクターはかなりテクニカルで、ロングストレートもあるのでオーバーテイクやいいバトルができると思います。オリンピックパークにあるため、スポーツ会場として特別な雰囲気がありますし、ソチの街も年々発展しています。最初にF2のレースで訪れたときと比べて、多くのレストランや見どころが増えました」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モンツァでのレースウイーク前に、来季のアルファタウリ残留が発表されました。それまで100パーセント確信しているとは言えませんでしたが、今季はいいパフォーマンスを見せられていたので、自信はありました。とてもうれしいですし、チームとホンダに感謝しています。モンツァはFP1からマシンパフォーマンスはよかったですし、チームメートの予選も素晴らしかったので、とても残念でした。スプリント予選フォーマットは1回のフリー走行を経てすぐに予選となるのでとても難しいと思いますが、進歩しているところは示せたと思います。モンツァを終えてからは、ほとんどをイタリアで過ごしました。UKのシミュレーターからは離れ、ファクトリーにも行きましたが、ロシアでの次戦に向けて準備はできています。ソチはほとんどが90度コーナーで、それぞれがとてもよく似ているので、90度コーナーでのドライビングテクニックを磨いておかなければなりません!さらに、ストレートでの速度を稼ぐためにも、コーナー出口でのトラクションが得られるマシンが必要です。普段と同じようなコースに見えますが、市街地コースの特性もあるので、レースウイークを通じたトラックエボリューション(走行ごとの路面の改善具合)がとても大きいですし、ウイングの効果もかなりあります。レースウイークを通して進歩を続けて、上手くやれる自信はあります。F3時代からソチでのレース経験があり、昨年のF2でもポールポジションにフィーチャーレースでの2位と、いい思い出がありました。ステップ・バイ・ステップのアプローチを継続し、コースやマシンの挙動についてしっかりと学んでいきます。マシンはシーズン初めからいいパフォーマンスを見せているので、不安はありません。特に、直近の6~7戦は安定してパフォーマンスを発揮できています。自分のドライビング向上に焦点を当てて取り組み、F1マシンで初めて走るソチでの経験を楽しみにしています」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ロシアGP / スクーデリア・アルファタウリ
F1開催は2014年から始まり、今年が8回目。セクター2では中速の90度コーナーが連続し、最終セクターは低速コーナーで構成されている。一方、最終コーナーからターン1まではカレンダー中でも最長の全開区間の一つとなっており、パワーユニットへの負担も大きくなる。
昨年はホンダF1のパワーユニット勢4台全車がトップ10入りを果たした。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「後半戦の幕開けとなった3連戦を終え、今週はロシア・ソチでのレースに挑みます。3連戦ではさまざまなことが起こりましたが、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が3戦2勝でドライバーズチャンピオンシップのリードを奪い返し、チャンピオンシップを戦う上でポジティブな結果となりました。今回のレースの舞台となるソチ・オートドロームは、2014年の冬季五輪メイン会場の敷地を利用し、一部に公道を取り入れたストリートコースになります。全長6km弱と、1周の距離が長く、2本の長いストレートと、多くの90度コーナーが配されていることが特徴です。PUにとっては、コーナーからの立ち上がり加速とストレートでの速さに加え、低速コーナー脱出時のドライバビリティーが重要になります。事前シミュレーションを行い、準備をした上で、さらにそれぞれのセッションを走る中で、エネルギーマネージメントやドライバビリティーの最適化を進めていきます。ここ数戦、ホンダ PUを搭載する4台が揃っていい形でレースができていないので、今回は4人のドライバーが持てるパフォーマンスを十分に発揮して、よいレースができることを願っています。また、ここからシーズン終盤に入っていくにあたり、我々のパフォーマンスを最大限発揮するとともにミスなくレースを戦えるよう、念入りに準備を進めていきます。現在、厳しいチャンピオンシップを戦う中で、ホンダはシーズン後半戦から、新型のエナジーストアを投入しました。高効率化と軽量化を実現した新型のエナジーストアは、フェルスタッペン選手がベルギーGP、ペレス選手がオランダGP、ガスリー選手がイタリアGPの決勝から使用を開始しています。これによってPUパフォーマンスの向上を果たし、ユニットの軽量化による車体パフォーマンスの向上にも貢献しています。新型の開発には数年を要し、当初は2022年シーズンに投入予定でしたが、参戦終了の決定に伴い、開発計画を大幅に前倒して、今シーズンの後半戦に間に合わせることができました。開発を担当したHRD-UKのメンバーの尽力に加え、ホンダ社内にある先進技術研究所や、量産車向けバッテリーの開発部門といった仲間の支援がなければ、性能アップを果たしたエナジーストアの開発、またこのタイミングでの投入は成しえなかったと考えています。彼らの努力に対して感謝の言葉を贈りたいと思います」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「(モンツァでの出来事について)起こったことを振り返るのは自由ですが、前を向いてプッシュし続けることが大切です。あれはレーシングアクシデントだったと信じていますが、3グリッド降格ペナルティーが科されてしまったので、それに対処しなければなりません。モンツァでのレースは、さまざまな理由で僕らの一日になりませんでしたが、ソチへと目を向けています。ソチは僕らのチームにとって決していいコースではなかったので、昨年2位に入れたことは素晴らしかったです。今季は競争力が増していますし、パッケージもよくなっているので、ソチでの競争力がどうなるか、面白くなるはずです。モンツァとは全く異なるコースで、週末は雨の可能性もあります。路面もコースレイアウトも、これまでのレースとは違っているので、ソチへ行くのが楽しみですし、何ができるか見ていきたいです。ペナルティーはいいことではないですが、まだ何も失ったわけではありません。ドライバーズチャンピオンシップを考えてもまだ多くのレースがありますし、差もわずかです。今あるパッケージを機能させて、レースウイークで最大限の成果を目指していきます」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「モンツァは得意なコースではないというのは分かっていましたが、ペナルティーによって表彰台を逃したことは残念です。ただ、レースウイークを通じてポジティブな面がたくさんありました。ロシアは大きく異なるタイプのコースになるので、今の形を継続して金曜から力強い走りができればと思います。(フェルスタッペンと)互いに助け合い、各レースウイークでチームにとって一番いい結果を目指すことが重要です。特に、残りのレースが少なくなってきている状況なので、尚更です。ソチでは2014年からメルセデスが全勝しているので、今週末は彼らが一番強いと思います。そこに打ち勝つのは大変ですが、いつものように全力を尽くします。ソチはとてもテクニカルな高速コースで、流れるようなリズムもあり、特に予選が面白くなるので、好きなコースです」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モンツァではいい面もあったので、結果は残念でした。チームにとってはよくない形でレースウイークを終えましたが、ユウキも僕もレースに向けてペースを向上させていましたし、僕は予選がとても上手くいきました。とても残念ですが、サマーブレイクが明けてからの3戦はパフォーマンスレベルがとてもよく、すごくいい傾向です。シーズン残りのレースに向けてはいい兆しで、ここからすべてのレースで競争力を発揮できるはずです。また、イタリアでPU交換のペナルティーを消化できたのもいいことで、ここから最終戦までペナルティーなしで進めばと思います。3連戦中はかなり忙しく、レースの合間に何かをする時間もなくて、普段のような強度のトレーニングもできなかったので、イタリアGPを終えて、少し休息を取りました。チームのみんなにとっても、この束の間の休みはよかったですし、僕も再始動する前にシミュレーターからは少し離れ、フランスで家族と過ごす時間が少し取れました。次のソチでは、昨年Q3に進んでトップ10フィニッシュを果たしています。このコースでは次々と似たようなコーナーが続きますが、とても好きです。最終セクターはかなりテクニカルで、ロングストレートもあるのでオーバーテイクやいいバトルができると思います。オリンピックパークにあるため、スポーツ会場として特別な雰囲気がありますし、ソチの街も年々発展しています。最初にF2のレースで訪れたときと比べて、多くのレストランや見どころが増えました」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「モンツァでのレースウイーク前に、来季のアルファタウリ残留が発表されました。それまで100パーセント確信しているとは言えませんでしたが、今季はいいパフォーマンスを見せられていたので、自信はありました。とてもうれしいですし、チームとホンダに感謝しています。モンツァはFP1からマシンパフォーマンスはよかったですし、チームメートの予選も素晴らしかったので、とても残念でした。スプリント予選フォーマットは1回のフリー走行を経てすぐに予選となるのでとても難しいと思いますが、進歩しているところは示せたと思います。モンツァを終えてからは、ほとんどをイタリアで過ごしました。UKのシミュレーターからは離れ、ファクトリーにも行きましたが、ロシアでの次戦に向けて準備はできています。ソチはほとんどが90度コーナーで、それぞれがとてもよく似ているので、90度コーナーでのドライビングテクニックを磨いておかなければなりません!さらに、ストレートでの速度を稼ぐためにも、コーナー出口でのトラクションが得られるマシンが必要です。普段と同じようなコースに見えますが、市街地コースの特性もあるので、レースウイークを通じたトラックエボリューション(走行ごとの路面の改善具合)がとても大きいですし、ウイングの効果もかなりあります。レースウイークを通して進歩を続けて、上手くやれる自信はあります。F3時代からソチでのレース経験があり、昨年のF2でもポールポジションにフィーチャーレースでの2位と、いい思い出がありました。ステップ・バイ・ステップのアプローチを継続し、コースやマシンの挙動についてしっかりと学んでいきます。マシンはシーズン初めからいいパフォーマンスを見せているので、不安はありません。特に、直近の6~7戦は安定してパフォーマンスを発揮できています。自分のドライビング向上に焦点を当てて取り組み、F1マシンで初めて走るソチでの経験を楽しみにしています」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ロシアGP / スクーデリア・アルファタウリ