ホンダF1:2021年 第7戦 F1フランスGP プレビュー
ポールリカール・サーキットで行われる第7戦フランスGPは、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーにとってはホームGPとなる。

2020年はコロナ禍の影響で開催がなく、2年前の2019年はマックス・フェルスタッペンが4位、ピエール・ガスリーが10位と苦戦。しかし、今季はここまでモナコ、アゼルバイジャンと連勝して迎えるだけに、1991年以来の3連勝を目指して全力で臨む。

ホンダF1として、フランスGPで最後の勝利は、同じくポールリカールで開催された1989年のアラン・プロスト。表彰台は、マニ・クールが開催地となった1991年のアイルトン・セナ以来となる。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「アゼルバイジャン・バクーでのレースを終え、今週からは欧州での3連戦が始まります。その初戦は、フランスのポールリカールで開催されます。今回の舞台となるポールリカール・サーキットは、南仏の風光明媚な海岸線から少し内陸に入った丘陵地帯に位置するサーキットです。4本のストレートが、低・中・高速コーナーでつながれている、とてもテクニカルなレイアウトですので、マシンにはストレートでのスピードと速度域の異なるコーナリングでの性能の両方が求められる難しいサーキットです。今回は、レッドブル・レーシング・ホンダにとってはチャンピオンシップをリードして迎えるレース、そしてスクーデリア・アルファタウリ・ホンダにとってはガスリー選手の母国GPとして、ともに大切な一戦になります。また、この3連戦はフランスを皮切りに始まり、その後、オーストリアでの2連戦が控えています。こちらもレッドブルにとってはホームレースとなるため、我々にとっては3戦すべてが非常に大事な戦いになります。どのレースも、ここまでの戦いと同様に僅差の争いになると思いますが、いい結果を残せるよう、チームとともに十分な準備をして臨みます」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「もちろん、バクーでは勝ちたいと思っていましたし、僕らが勝利に向けて進んでいたことは明らかですが、こうしたことが起きるのがレースです。自分たちの手の内でない部分のことなので、僕らは継続して前進していくのみです。まだチャンピオンシップをリードしていますし、リードを広げたかったという思いは当然ありますが、しょうがないことです。2台のマシンがチャンピオンシップでトップを争うことができて、ポイントを獲得できるというのは素晴らしいことです。それがどういう効果をもたらすかは、バクーがいい例になったと思います。チェコ(ペレス)がコンストラクターズチャンピオンシップでメルセデスに対するリードを拡大してくれたのはよかったですし、彼自身もドライバーズチャンピオンシップで3位につけています。(ポイントリーダーでフランスGPを迎えるのは)いい気分ですが、メルセデスがこうした“通常の”サーキットでは再び強力になるはずだと思っているので、プッシュし続けなければいけないですし、まだ決して十分ではないので最後の最後まで進化し続ける必要があります。シーズンここまで、僕らにとっては上々の展開ですが、まだ多くのレースが残っていることを忘れてはいけません。ここまでのレース結果と、チャンピオンシップをリードできていることには満足していますが、大事なのはアブダビの時点でもリードできているかということです。ポールリカールは高速サーキットです。ラップの終盤にかけて高速コーナーが連続して、タイヤデグラデーションにもかなり気をつけなければなりません。ランオフエリアが広く、スペースがたくさんあるので、普段あまり見ない光景ですが、過去2戦のストリートサーキットとは全く異なります。またここに行くのが楽しみですし、表彰台の頂点に立てればと思います」

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「レッドブル・レーシング・ホンダでの初勝利は、心から誇りに感じています。1月の初めから取り組んできた多くの努力による勝利で、ハードワークは必ず報われることを示せました。チャンピオンシップを争えるマシンが2台揃っていることが分かったことも、チーム全体を大きく勢い付けますし、僕ら全員が本当に勝ちたいと思っています。(赤旗中断からスタンディングスタートでの再開となり)たった2周ですべてを失うかもしれないと思っていましたし、ポールポジションで追われる立場のレースとなっていました。だから、完璧なスタートを決めようと思っていました。さまざまな理由からうまくいきましたが、僕らのスタートがうまく決まっても、ルイス(ハミルトン/メルセデス)のブレーキに問題が起きるなんて誰も予想がつかないことなので、運がよかったと思いますし、最終的にはすべてがうまく機能しました。レース後にステファノ(・ドメニカリ/F1 CEO)に『まるでショーみたいだね!』と話しましたが、彼も『ファンにとっては素晴らしかったね』と言っていました。僕らはとてもいいチームだと思います!マックス(フェルスタッペン)は最高の走りをしていて、勝利にふさわしく、レースウイークを通じて完璧でした。ただ運がついてこなかっただけです。アレックス(アルボン)は、エンジニアとともにシミュレーターで大きな貢献をしてくれました。移籍してきたとき、彼がこんなにオープンに接してくれるとは思っていませんでしたが、マシンの挙動を詳しく説明してくれて、初日から彼がそばにいてくれてとてもよかったです。本当に感謝していますし、彼がチームと多くの仕事に取り組んでくれてありがたいと思っています。まだ6戦を終えただけですし、これまでも言ってきたように、いまどの位置にいるのかではなく、最終戦のアブダビをどの位置で終えるかが重要ですから、コツコツと取り組み続けて、マシンのポテンシャルを最大に引き出していかなければなりません。長年F1の世界にいるので、いろいろなことが起こるのは分かっています。足元をしっかりと見て、過去は振り返らずに前を向き続けていくべきです」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「バクーでの表彰台はいい成果となりました。レースウイークを通じて調子はとてもよく、フリー走行ではすべてがうまくいき、マシンはとても快適で、確かなポテンシャルがありました。土曜にはさらにマシンを改善でき、FP3でトップに立てたのも印象的ですし、予選ではトップからわずかな差で、初めてポールポジション争いのチャンスがありました。4番グリッドからいい結果を出せると思っていましたが、レースは厳しく、特に第2スティントでは少しパワーを落とさざるを得ない状況でした。チームワークによって、問題が起きても正しい判断をできましたし、予選、レース戦略、ピットストップもうまくいきました。ユウキ(角田裕毅)も、簡単ではないこのコースで土曜からペースがよく、チームとして好調なレースウイークだったと言えます。今季の序盤は、予選がよくてもレースでうまくいかないことがありましたが、ここ2戦はミスなく素晴らしい仕事ができています。これが僕らに必要だったことで、それが3位表彰台という形で報われて最高です。そして表彰台獲得後という、とてもいいタイミングで、ここでポールリカールでのホームレースを迎えられます。フランスのみんながとてもエキサイトするはずですし、この先のシーズンについて、みんな熱くて大きな期待を寄せてくれています。ここまで発揮してきたパフォーマンスレベルがあるので、これからのレースでどんな結果が出せるのか楽しみですし、今週末もこれまでと同じアプローチで取り組んでいきます。正直なところ、過去にポールリカールではいい結果が出せていません。F1で初のフランスGPでは、オープニングラップでオコン(エステバン/現アルピーヌ)と接触してリタイアを余儀なくされましたし、2019年もいいレースウイークとは言えず10位に終わりました。ただ、バクーも今年までは好結果が出せていなかったので、この傾向が続いて今週末も変化が起こせればと思います。サーキットは、過去2戦とは異なり、ランオフエリアがとても多く、リスクは高くありませんが、最終セクターにある左から切り返して進入する長い右コーナー “ボーセ”のような、他にはないようなコーナーがあり、難易度は高くテクニカルなコースです。マシンについては、まずはこの独特のレイアウトに合わせた最適なセットアップに取り組むことから始めていきます。主催者は、1日1万5000人の観客を入れると聞いていますが、僕のホームレースにはファンの皆さんにいてほしいと思っていたので、とてもうれしいです。みんなとレースウイークの感動を分かち合えるのはいいことですし、昨年モンツァで優勝できたので、僕がグランプリウイナーとしてホームの観衆の前でレースをするのは初めてのことになります。とても特別なレースになりますし、待ちきれない気分です。バクーでの表彰台で注目も集まっているので、メディア対応もたくさんありました。レースウイーク前に燃え尽きてしまいたくはないので、できるだけうまくこなしていきたいと思います」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「バクーまでは苦戦が続いていたので、結果を出せていい気分でした。それまでのレースと比べて、普段以上にいい準備ができていましたし、FP1の時点で準備が整っていると感じていました。バクーの前の週にイタリアへと引っ越して、ファクトリーで過ごす時間を多く取れたので、レースウイークでのアプローチを学ぶとともに、マシンが抱えていたその時点での課題を確認できました。レースウイークへのアプローチを少し変えて、(チームとの)会話も増やすことができて、うまくいきました。予選では初めてQ3進出を果たし、レースに向けたアプローチについて、自分なりの新たなスタンダードを確立できたと思います。結果についても上々で満足はしていますが、リスタート後に順位を落としたことは残念でした。アゼルバイジャンの後はイタリアに戻っていました。気候も食べ物もよくて、ファクトリーで過ごしてエンジニアと話す時間も多く取れました。シミュレーターセッションのためにはUKへ移動しなければなりませんが、イタリアへの引っ越しは正しい判断でしたし、とてもポジティブです。僕はF3時代にポールリカールで2回のレース経験があり、ポルトガル、モナコ、バクーといった全く経験のないサーキットとは状況が異なるのはポジティブな要素になります。F1マシンではまた違うはずですし、一周の中でもセクター3がカギになり、タイヤのデグラデーションも重要なファクターです。コースはフラットですし、過去2戦と違って、ウォールもありません。とても広いランオフエリアがあるので、限界を探っていく中で、そこまで注意深くなる必要がなくなります。セットアップの面では、低速の90度コーナーがないので、僕らのマシンが好調だったアゼルバイジャンとはかなり異なると思います。すべての面で、全く異なるコースです。楽しみにしていますし、またポイント獲得ができればと思っています」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1フランスGP / スクーデリア・アルファタウリ