ルイス・ハミルトン F1アメリカGPスプリント予選「0.8秒差は山のような課題」

フェラーリ勢はオースティンでのスプリント予選で苦戦。ハミルトンとシャルル・ルクレールはいずれもかろうじてSQ3に進出したものの、最終的にハミルトンは8番手、ルクレールは10番手にとどまった。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールを獲得し、マクラーレン勢のランド・ノリスとオスカー・ピアストリが続いたが、ハミルトンはザウバー、アストンマーティン、ウィリアムズにも先行を許した。
「正直、こんなペースを想定してなかった」とハミルトンは肩を落とした。「プラクティスでは良かったし、SQ1の序盤も悪くなかった。でもそこからどんどん落ちていった。クルマは本当に扱いづらい。すべてが離れていってしまったんだ。0.8秒もの差──それはまるで山を登るようなものだ」
ルクレールも困惑「どこでもタイムを失っている」
シャルル・ルクレールも失望を隠さず、「どの区間でもタイムを失っている」と語った。
「SQ3のラップ自体はクリーンだったし、特に後悔はない。でもFP1でミディアムでの走行距離をもう少し稼げていれば、マシンを細かく仕上げられたかもしれない。せいぜいコンマ1〜1.5秒の改善だろうけど、それでは到底足りない。今は単純にこれがマシンの実力なんだと思う。今日は本当に厳しい一日だった」
ジェンソン・バトン「彼らは“なぜ速さを失ったのか”を理解できていない」
スカイスポーツF1の解説を務める2009年王者ジェンソン・バトンは、フェラーリが“失速の理由”をつかめていないことを最大の問題として指摘した。
「プラクティスでは速かったのに、予選では突然失速した。彼ら自身もこの展開をまったく予期していなかったように見える。ドライバーもチームも“なぜ速さを失ったのか”が分かっていない。これは非常に厄介だ」
ダニカ・パトリック「今のフェラーリは完全に打ちのめされている」
同じくスカイの解説者ダニカ・パトリックも、両ドライバーの表情から“完全な失望”を感じ取ったという。
「2人とも本当に打ちのめされているように見える。まるで“もうこのシーズンを終わらせたい”という気分ね。ルイスにとっては特に、メルセデスから移籍してきてもっと前進できると思っていただけに、これは大きな失望よ」
「今シーズンオフは、彼らにとって本当に待ち遠しいはず。フェラーリは一度原点に戻って、まったく新しいアプローチを試す必要があるわ」
分析:フェラーリF1、COTAで再び“ウインドウ外”に
オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズでは、路面温度の変化と風の影響でマシンバランスが極めてシビアになる。フェラーリF1はFP1で高いトップスピードを示したが、予選に向けてハイダウンフォース寄りのセットアップを選んだことで、トラクションとターンインのバランスを崩した可能性が高い。
SQ1ではまだ競争力を維持していたが、ソフトタイヤでの最終セグメントでフロントの応答性が低下。ハミルトンの「very, very tough to drive(本当に扱いづらい)」という発言は、メカニカルグリップの不足を示唆している。
2025年型フェラーリF1は特定条件下では速さを見せるが、セットアップの“ウインドウ”が極端に狭く、路面変化に対応しきれない傾向が続いている。ハミルトンの「山を登るような差」という言葉は、単なる比喩ではなく、今季フェラーリの根本的課題を象徴している。
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