ルイス・ハミルトン F1スペインGP後の涙目インタビューに“引退”の2文字

バルセロナで行われたF1第9戦スペインGP。ハミルトンはレース後、涙をぬぐってから世界中の記者団の前に立ったが、言葉を選ぶのに苦労している様子だった。
「バルセロナは、人生で出場した中で最悪のレースだった」と漏らした彼は、その後の質問にも「何を言えばいいんだ?」と短い返答を繰り返し、やがて沈黙に包まれた。
金曜日のフリー走行中には無線で「このクルマは何かおかしい」と訴えていたが、予選である程度の手応えを掴んだことで、希望を持って決勝に臨んだ。しかし日曜日のレース後には「説明しても意味はない。君のせいじゃない。俺には何て言えばいいのかわからない」と言葉を詰まらせた。
それでも、マシンへの不満を口にすることは避けた。チームメイトのシャルル・ルクレールが前2戦で2度の表彰台を獲得していることもあり、ハミルトンは「たぶん悪いのは自分だ」と自省気味に語った。フェラーリが今後原因を明らかにしてくれるのでは、との記者の問いには、「いや、きっと何もないと思う」とも答えている。
この状況に、かつてのチームメイトであり、2016年にハミルトンを破ってワールドチャンピオンとなった後にF1引退を表明したニコ・ロズベルグは、Skyの解説として現地で次のように分析した。
「今のルイスの姿は、昨年からの流れの延長にある。ジョージ・ラッセルが基本的に優勢だったし、それは今のフェラーリでも同じだ。ハミルトンはいつも最後の一歩、決定的な速さが足りない」
そしてロズベルグは、率直にこう断じた。「どれほど成功したドライバーであっても、いずれ速さを失う時は来る。年齢の問題だ。ルイスは今40歳。その瞬間は、必ずやって来る」
「たとえコンマ1秒しか遅くなっていなくても、それは決定的な差になる。今の彼が戦っているのは、次世代のトップドライバーたちなんだからね」
F1最多タイの7度のタイトルを誇る男が、今、人生の終盤戦に突入している。誰よりも勝利を知るハミルトンが見せた涙は、単なる一戦の落胆ではなく、引退を意識し始めた心の内を映すものなのかもしれない。
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