グッチがアルピーヌF1を救うのか? ブリアトーレが描く“ベネトン再現計画”

2026年にルノーが自社パワーユニット計画を終了し、チームへの投資も縮小するなか、エンストンを拠点とするアルピーヌF1は将来的な所有体制の変化が取り沙汰されている。そのタイミングで登場したのがイタリアの高級ブランドであるグッチだった。
一見するとファッションブランドとF1チームの一般的なスポンサー契約に見える。しかしF1の歴史を振り返ると、フラビオ・ブリアトーレとイタリアのアパレルブランドが結び付いた時、その先にはチーム買収と世界タイトル獲得という前例が存在する。
ベネトンが歩んだ“スポンサーからオーナー”への道
1980年代初頭、イタリアのアパレルブランドであるベネトンはF1への参入を模索していた。
最初はティレルのスポンサーとなり、その後アルファロメオへと活動の場を移した。しかしスポンサーとしてチームを支援するだけでは満足せず、1985年にトールマンを買収する決断を下す。
このトールマンこそ、現在のアルピーヌF1へとつながるチームの原点だった。
ベネトンはチームを買収後、名称をベネトン・フォーミュラへ変更。やがてミハエル・シューマッハを擁し、1994年と1995年にドライバーズタイトル、1995年にはコンストラクターズタイトルを獲得した。
その成功の中心にいたのが、後にF1界屈指の辣腕マネージャーとして知られるフラビオ・ブリアトーレだった。
エンストンに戻ってきた“仕掛け人”
2024年、ブリアトーレはアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーとしてF1復帰を果たした。
その時点でルノーはすでに自社パワーユニット計画終了を視野に入れていたとみられており、将来的なチーム運営体制の見直しも避けられない状況だった。
そうした中でブリアトーレに求められた役割は、技術責任者ではなく「ビジネスを動かす交渉人」だった。
過去にもブリアトーレはミハエル・シューマッハ獲得、リジェ買収、スポンサー開拓など数々の大型案件を成立させてきた。彼の強みは技術開発ではなく、チームを成長軌道に乗せるための資金と人材を集める能力にある。
グッチとの提携は、その最新事例と言える。
グッチはスポンサーで終わるのか
現在のアルピーヌF1は、投資会社オトロ・キャピタルが主要株主の一角を担っている。
パドックでは将来的な資本再編の可能性も噂されており、メルセデスやクリスチャン・ホーナーを含む投資家グループの名前も取り沙汰されている。
そのため、一部ではグッチが単なるタイトルスポンサーに留まらず、より大きな役割を担う可能性も想像されている。
もちろん現時点でグッチによる買収計画が存在する証拠はない。しかし40年前、ベネトンも最初は単なるスポンサーだった。
そして最終的にはエンストンのチームを手に入れ、世界王者となった。
歴史は繰り返されるのか
グッチとアルピーヌの提携発表に際し、フラビオ・ブリアトーレは次のように語っている。
「エンストンのチームは常に他とは違うやり方で成功してきた。そして以前には、ファッションブランドがF1で最初にチェッカーフラッグを受けたこともある」
この発言は単なる過去への言及ではないのかもしれない。
1980年代、ベネトンはスポンサーとしてF1に参入し、やがてチームオーナーとなり世界王者へ上り詰めた。そして2026年、同じエンストンを拠点とするチームに再びイタリアのファッションブランドが現れた。
グッチが本当にベネトンの足跡をたどるのかは分からない。しかし少なくともブリアトーレという男がいる限り、エンストンで起きる変化を単なるスポンサー契約として片付けるのは早計かもしれない。
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