ルイス・ハミルトン F1新世代マシンを評価も「V8エンジンのように伸びない」

F1カナダGPでは、アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルによる優勝争いに加え、ハミルトンとマックス・フェルスタッペンの激しい2位争いも展開された。ハミルトンは、現行レギュレーションが“追いかけやすいマシン”を生み出した点については高く評価している。
「接近戦は改善された」 それでも残る違和感
ハミルトンは現行世代のF1マシンについて、「根本的にはより良い設計だ」と語り、ホイール・トゥ・ホイールのバトルが増えたことを歓迎した。
一方で、ストレートでのパワーデリバリーには強い違和感があるという。
「まったく自然な感覚ではない。今でも奇妙なフィーリングだ」
ハミルトンは、エネルギー展開が尽きた後の挙動について、より具体的に説明している。
「ストレートでパワーを使い切ると、途中で失速する。回転数もブレーキングポイントまで上がり続けるわけではなく、逆に落ちていく」
「モータースポーツ本来の感覚ではない。エンジンはストレートエンドまで回り続けて、ずっと引っ張り続けるべきなんだ」
「V8やV10時代はそうだった。最後まで伸び続けていた」
“レースは良くなった”という皮肉
ハミルトンは、現在のレギュレーションによってレース内容そのものは改善されたと認めている。
実際、近年のF1では乱気流低減や接近性能向上を重視した空力コンセプトが導入され、追い抜きや接近戦は増加傾向にある。
しかしその代償として、エンジン特有の“伸び感”や加速の迫力が失われたと感じている。
現在のF1では、電動出力とエネルギーマネジメントが重要性を増しており、特に2026年型パワーユニットでは50対50に近い電動比率が大きな議論となっている。
ハミルトンの発言は、マックス・フェルスタッペンやランス・ストロールらが続けている“現行PU批判”とも重なる内容となった。
ハミルトンは“シミュレーター不要論”も継続
ハミルトンは今回、シミュレーター依存についても自身の考えを改めて語った。
「今季ベストだった2レースでは、シミュレーターを使っていない」
「正直、それが自分のやり方なんだ。2008年を除けば、タイトルを獲ったシーズンでもほとんどシミュレーターは使っていなかった」
「もちろん強力なツールではある。でも僕は昔ながらのタイプなんだ。むしろ使わない方がいいのかもしれない」
ハミルトンは、シミュレーター自体の開発価値は認めつつも、実際の限界領域を感じ取れるのは現役ドライバーだけだと強調した。
フェラーリF1のSF-26についても、テストドライバーより実戦ドライバーのフィードバックが重要だと説明している。
F1が直面する“速さ”と“感覚”のジレンマ
ハミルトンの発言は、現在のF1が抱える矛盾を象徴している。
接近戦は増え、レースは見応えを増した。しかし一方で、ドライバーが求める“機械としての迫力”や“エンジンの高揚感”は薄れている。
2027年以降には、60対40への内燃比率変更やV8回帰論まで浮上しており、FIAと各メーカーの政治的駆け引きも激しさを増している。
ハミルトンの“モータースポーツらしくない”という言葉は、単なる懐古主義ではなく、F1が今後どの方向へ進むべきかを問う発言として大きな意味を持ちそうだ。
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