ジョージ・ラッセル「能力ではなくプロセスを疑っていた」 苦境を乗り越えた優勝

2戦連続ポールポジションからスタートしたラッセルは、レースを通してマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の猛追を退け、開幕戦オーストラリアGP以来となる優勝を飾った。
ドライバーズランキングでも2位に返り咲いた一方、自身は「自分にはまだできるということを思い出せた週末だった」と語り、精神的な意味でも大きな勝利だったことを明かしている。
「すべてが自分に逆らっているようだった」
開幕戦以来となる勝利について問われると、ラッセルはこの数か月が決して順調ではなかったと振り返った。
「正直、かなり昔のことのように感じる。この数か月は本当に厳しかった。何もかもが自分に逆らっているように感じたレースもあったし、自分自身のパフォーマンスにも苦しんだレースがあった」
さらに、チームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリの存在も大きな刺激になっていたという。
「隣には毎週のように素晴らしい走りを見せる、本当に素晴らしいチームメイトがいる。だからカナダやバルセロナへ向かう頃は、自分自身が立ち直るために大きな精神力が必要だった」
そのうえで、2戦連続ポールポジションと今回の優勝は、自身にとって大きな意味を持つ結果だったと語った。
「厳しいレースは精神的にも試される。でも、この2週間は『自分にはまだできる』ということを思い出させてくれた。本当に重要な2週間だった」
「予選でも決勝でも非常にいいペースを発揮できたし、自分向きではないと思っているサーキットで勝てたことを本当に誇りに思う」
「今年はタイヤを学び直している」
ラッセルは、不振の原因がドライビング技術そのものではなかったことも強調した。
モナコGPやモントリオールでは苦戦したものの、データを分析すると原因は明確だったという。
「モナコもモントリオールも本当に苦しい週末だった。でもデータを見ても『何が悪かったのか分からない』という状況ではなかった。問題は明確だったし、どう改善できるかも見えていた」
メルセデスは過去のデータも洗い直し、新世代マシンで顕著になった傾向を分析。その結果を受け、ラッセル自身もドライビングを見直した。
「今回のレースでは、これまでとはまったく違う走り方をした。正直、自分らしくないくらい違う走らせ方だった。でもタイヤをうまくマネジメントでき、それがうまく機能した」
2025年まで使用していたタイヤでは、暑い路面でも寒い路面でも、あるいは路面の粗さに応じた扱い方を熟知していたという。しかし2026年仕様では、その経験を一から積み上げ直している最中だと明かした。
「去年までは何年も同じタイヤを使っていたから、自分の引き出しの中に答えがあった。でも今年は正直まだそこまで理解できていない。今はそれを一から築き直しているところなんだ」

「能力ではなくプロセスを疑っていた」
オーストリアGPではフェルスタッペンが終盤までプレッシャーをかけ続けたが、ラッセルは冷静にレースをコントロールした。
もっとも、その裏では一瞬たりとも気を抜くことはできなかったという。
「毎周限界までプッシュしていた。限界を攻めれば、小さなミスのひとつやふたつは必ず起きるものだ」
レース終盤、ターン3ではコースアウトしかける場面もあったが、それも限界で走り続けた結果だった。
「後ろの2台がどれだけ速いか分かっていた。特にキミは今シーズンずっと驚異的な速さを見せているので、毎周タイミングモニターを見ていた。僕たちは比較的早いタイミングでピットインしたから、最後は長いスティントになることも分かっていた。でもチームは完璧なタイミングで判断してくれた」
そしてドライバーズランキング2位に返り咲いたラッセルは、タイトル争いへの自信について率直に語った。
「自分の能力を疑ったことは一度もない。でも今年はプロセスを疑っていた」
さらに、ルイス・ハミルトンやシャルル・ルクレールの名前も挙げながら、新世代マシンへの適応に苦しんでいるのは自分だけではないと説明した。
「今年復調したルイスや、予選で最高クラスのドライバーであるシャルルも苦戦している。僕たちが突然運転できなくなったわけじゃない。重要なのはパッケージを理解し、それを最大限に引き出すことなんだ」
最後は、ようやく肩の荷が下りたような笑顔も見せた。
「本当に暑いレースだった。今はとにかく一杯飲みに行くのを楽しみにしているよ」
苦しかった数か月を乗り越えてつかんだ今季2勝目。ラッセルは結果だけでなく、自らの走りへの確信も取り戻したオーストリアGPを終え、ホームレースとなる次戦イギリスGPへ向かう。
カテゴリー: F1 / ジョージ・ラッセル / メルセデスF1 / F1オーストリアGP
