フォーミュラE日本開催存続に課題 東京E-Prix継続へ3つの選択肢
フォーミュラEは、Gen4時代最初のカレンダー策定に向けて、日本ラウンドの存続という大きな課題に直面している。2027年以降も東京E-Prixを維持できるかが焦点となっている。

日本は長年、フォーミュラEにとって“悲願”とされてきた市場であり、2024年に東京で初開催を実現して以降、その重要性は急速に高まった。現在では参戦メーカーや商業パートナーの間で“外せない開催地”に近い位置づけとなっている。

一方で、『The Race』によると、Gen4初年度にあたる2027年に向けては、現行の東京ビッグサイト周辺コースが高速化する新型マシンに適しているかという技術的懸念と、興行として大きな赤字を抱えているとされる商業的課題が同時に浮上している。

日本開催が不可欠とされる理由
日本には日産に加え、ローラのテクニカルパートナーであるヤマハが関わるほか、Gen4ではブリヂストンがタイヤサプライヤーを務める。さらにポルシェのパートナーであるTDKも関与しており、日本に拠点や強い結びつきを持つ企業がシリーズの技術・商業両面に深く関わっている。

こうした背景から、日本開催にはこれまで以上の重要性が与えられている。複数の企業が“ホームレース”を求める構図となっており、シリーズとしても維持への圧力が強まっている。

課題はコース適性と収支構造
東京・有明のビッグサイト周辺に設けられた現行コースは、より高速化するGen4マシンへの適合性が議論の焦点となっている。全長約1.6マイルのレイアウトは曲がりくねった構成で、一部区間の拡幅や改修が必要になる可能性がある。

フォーミュラEの最高執行責任者アルベルト・ロンゴは、コースの改修や拡張を検討していることを認めつつ、「たとえ変更できなくてもシミュレーション上は適している」と述べており、現行レイアウトのままでも開催可能との見方も示している。

一方でより深刻なのが商業面だ。東京E-Prixは高額な開催コストがかかるイベントとして知られており、関係者の間では年間2000万〜2200万ユーロ(約36億8000万円〜40億4800万円)規模と見られている。

東京都(TMG)も費用の一部を負担しているが、その大半はフォーミュラE側が負担しているとされる。広告収入の創出は電通が主導しているものの、回収できる収益は限定的で、現状ではシリーズ側にとって大きな持ち出しとなっている。

そのためフォーミュラEは、コスト負担の軽減、あるいは新たなパートナーの確保を模索している。2027年に向けては東京都との新契約が必要となるため、現在は政治的・商業的な交渉が続いている。

なお、2026年大会は7月25日、26日にナイトレースとして開催される予定で、TDKがタイトルスポンサーとして関与するなど、イベント自体の価値向上に向けた取り組みも進められている。

また、フォーミュラEは東京都が掲げる「ゼロエミッション東京戦略」とも連動しており、2050年のカーボンニュートラル実現という政策目標との整合性も、開催継続における重要な要素となっている。

日産のチーム代表トンマーゾ・ボルペは、「日本でレースをしないのは非常に悪いことだ。我々は唯一の日本メーカーであり、選手権全体にとっても良くない」と語る。

「日本はモータースポーツと自動車メーカーにとって重要な市場であり、他のブランドも日本で走らないことを望んでいないはずだ。選手権にとって日本開催は重要だ」

最優先は東京残留
フォーミュラEにとって最も望ましいシナリオは、ビッグサイト周辺での開催継続だ。長年の準備を経て実現した東京開催を短期間で失う余裕はない。

ロンドンのエクセルとの比較でも、東京は改修余地がある点で優位とされる。エクセルは構造的にGen4対応が難しいとされる一方で、ビッグサイトはコース変更の余地が残されている。
フォーミュラE 東京

代替候補はSUGOと富士
仮に東京での開催が実現しない場合、代替候補としてスポーツランドSUGOが挙がっている。宮城県に位置し、ヤマハが所有する同サーキットは、フォーミュラ・ニッポンやスーパーフォーミュラを長年開催してきた実績を持つ。

すでにフォーミュラEとの初期的な協議も行われているとされるが、現時点ではあくまで非公式かつ初期段階であり、代替案にとどまる。

もうひとつの候補が富士スピードウェイだ。全長2.8マイルのレイアウトと長いメインストレートを活かし、Gen4マシンの加速性能と最高速を示す舞台としての可能性がある。

ただしその場合は、第1コーナーまでの速度を抑えるために仮設シケインの設置が必要になる可能性が高い。

フォーミュラEにとって日本は、技術・商業の両面で極めて重要な市場だ。東京残留が最優先であることに変わりはないが、実現できなければ代替開催という現実的な選択が迫られることになる。

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カテゴリー: F1 / フォーミュラE