FIA会長 ビン・スライエムが“任期制限撤廃”提案 長期政権化へ波紋
モハメド・ビン・スライエムが、FIA(国際自動車連盟)会長職の任期制限撤廃を提案していることが明らかになった。BBCが報じている。

現在のFIA規約では会長任期は4年で、再選は2回まで。最大12年間までしか在任できない。しかし、来月のFIA総会で審議・採決予定の新提案では、この制限そのものを撤廃する方向だという。

64歳のモハメド・ビン・スライエムは2021年12月にFIA会長へ就任。昨年行われた会長選では、選挙規則の影響で対立候補が正式に立候補できず、無投票で再選を果たしていた。

FIA広報担当者はBBCに対し、今回の規約変更について次のように説明した。

「世界評議会(ワールドカウンシル)や上院ですでに適用されているものと同様に、FIA全組織における在任期間の扱いを統一する提案が提出された」

「この提案は世界評議会および総会の承認を必要とする。FIA機関は引き続き民主的に役職者を選出する完全な権限を保持している」

今回の提案では、FIA会長職だけでなく、アンチドーピング委員長やF1コストキャップ委員会トップなど、現在任期制限が設定されている他ポストにも影響が及ぶ見通しとなっている。

現在の「3期12年制限」は、前FIA会長ジャン・トッドの時代に導入されたものだった。トッドは2009年、F1チームとの対立を経て退任を決めたマックス・モズレーの後任としてFIA会長に就任している。

一方で、なぜ「他ポストにも任期制限を新設する」のではなく、「既存の任期制限を撤廃する方向」なのかについてBBCが質問したところ、FIA側は明確な説明を示さなかったという。

ただしFIA側は、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルを例に挙げ、「2006年からNFLを率い、スポーツを世界的ブランドへ発展させ、優れた統治実績を残している」と説明した。

これに対し、昨年ビン・スライエムへの対抗馬として立候補を模索していたティム・メイヤーは強く反発している。

「任期制限は単なる官僚的な細則ではない」

「権力集中を防ぎ、リーダーシップ刷新を促し、組織が奉仕すべき対象への説明責任を維持するための、極めて重要なガバナンス上の安全装置だ」

メイヤーはさらに、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、規約変更による続投の可能性を拒否したことにも言及。「IOCは任期制限をガバナンスの核心原則として扱っている」と指摘した。

今回の改正案には、会長選候補者への新たな条件追加も含まれている。

■ FIA加盟団体またはFIA組織内での「十分な経験」を義務化
■ 副会長候補リスト提出期限を「選挙49日前」から「100日前」へ延長

この変更により、将来的にビン・スライエムへ対抗する候補者が立候補しづらくなるとの見方も広がっている。

昨年のFIA会長選では、候補者が世界6地域すべてから副会長候補を選出しなければならない規則が存在していた。しかし南米地域では、ブラジル出身のファビアナ・エクレストン(元F1最高責任者バーニー・エクレストンの妻)がすでにビン・スライエム陣営に加わっていたため、他候補は南米担当副会長候補を確保できず、立候補自体が不可能となっていた。

なお、この選挙制度を巡っては、出馬を検討していたローラ・ヴィラーズが現在フランス裁判所でFIAを提訴している。

FIAを巡っては近年、統治体制や透明性を巡る議論が相次いでおり、今回の“任期制限撤廃”提案はF1パドック内外でさらなる波紋を広げそうだ。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)