F1ドライビングガイドライン公開に対するF1ドライバーたちの反応
F1ドライビングガイドラインの公開は、オーストリアGPのメディアデーにおけるパドックの話題を席巻した。

ここでは、過去1年の間に起きた数々の論争的なペナルティとレーシングインシデントを受けて、FIA(国際自動車連盟)が透明性を高めようと試みた今回の動きに対して、ドライバーたちがどう反応したのかを見ていく。

F1の統括団体であるFIAは、このガイドラインが規則ではなく、「ホイール・トゥ・ホイール・バトル」における優先権を明確化するための補足的なものであることを強調した。

「自然な感覚で走っている」

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
「正直に言うと、僕はこのガイドラインに従って走っていない。自然な感覚でドライブしているだけだ」

「とはいえ、FIAやスチュワードの仕事が難しいことも分かっている。すべてのレーシングマヌーバーは異なる見え方をするし、ある程度の境界線があるのは良いことだと思う。でも今のところ、自分には特に影響は出ていない」

「他の人がどう思っているかは分からない。面白いのは、年々違う人が関わって、また違うものが持ち込まれることだね。良いものもあれば、あまり良くないものもある。まだ判断はしたくないかな」

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
「僕自身としては、特に不自然には感じていない。ハードなレースをして、リミットがどこかは分かっている。それが互いの間にあるリスペクトの中での限界なんだ。そしてその限界をギリギリまで攻めていく」

「もちろん、ペナルティが強すぎるのか、弱すぎるのかというのはまた別の話だ。でもホイール・トゥ・ホイールのレースのやり方としては、自然に感じているよ」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
「その件についてはコメントしないよ。ペナルティポイントをもらうわけにはいかないからね!」

「ガイドラインを“白黒”で扱うべきではない」

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
「もちろん、すべての状況には書ききれない要素がある。だからガイドラインによって、何がOKで何がNGかということについて、ある程度の明確さが与えられるのは良いことだ」

「たしか最初に出されたのは18か月ほど前だったかな。そこからいくつかの修正が加えられているかもしれない。でも重要なのは、それを“絶対のルール”として受け取るのではなく、“この文にこう書いてあるからこうなる”と結論を急ぐのではなく、最終的にはスチュワードの裁量に委ねられているということを理解することだと思う」

エステバン・オコン(ハース)
「ルールは本当に多いよね。レースに関しては、僕らにとってはかなり分かりやすくて明確なんだけど、ちょっとした副次的な事象――たとえばカナダでのピットレーン出口で僕とカルロスの間で起きたダブルイエローの件――ああいったものが複雑さを増している」

「僕だけじゃなくてカルロスも驚いていた。ああいう細かいことが、すでに複雑な状況をさらにややこしくして、スチュワードの元へ行ったり、長い判断待ちになったりする原因になるんだ」

「結果的にFIAは正しい判断をしてくれたと思う。あれは副次的な出来事で、重大な影響を与えるものではなかった。でもFIAの部屋に入る前はいつも緊張するし、特に結果に意味がある場合はね。あの日のレース後の3時間は、僕にとってもチームにとってもかなり長い時間だったよ」

国際自動車連盟(FIA) F1


「常任スチュワードの時代へ」
ジョージ・ラッセル(メルセデス)
「これが公表されたことで、より多くの意見が飛び交うようになると思う。僕個人としては――これまでにも何度か言ってきたように――スチュワードは今もボランティアなんだ」

「1シーズンで20人のスチュワードが交代で入っていて、全員が豊富なレーシング知識を持っているけど、インシデントの解釈はわずかに異なっている。ドライバーと同じようにね」

「だから、僕としてはフルタイムで報酬を受け取るプロのスチュワード、つまり常任のスチュワードを3〜4人置いて、その人たちだけで判断していく体制が最善だと信じている」

「それに伴って、ドライバーガイドラインも少し簡素化できるかもしれない。現状は、頻繁に関わらないスチュワードのための補助的な指針として必要だけど、毎戦見ている同じ面々なら、我々がどう考えているかも理解してくれるし、逆に我々も彼らの視点を知っている。そうなれば、“文字通り”ではなく、“実際の事象”としてインシデントを判断できるようになると思う」

「今のやり方では“コンタクトスポーツ”を作っている」

アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
「今のレーシングのやり方は好きじゃない。バルセロナのターン1が良い例だと思う」

「もし相手のマシンがブレーキを放してこちらを外側に押し出し、逃げ場がない状態にしたとしても、それが相手のコーナーになる。でもその時点では、すでにブレーキングしてコーナーに飛び込んでいるから、もうオフコースに出てカットラインを通るしかないんだ」

「カナダでも同じような状況があった。もし僕がイン側の相手に対してターンインして、接触が起きれば、今度はその相手がペナルティを受ける。つまり、僕が無理にでもターンインすれば、接触を誘発できるという状況ができてしまう」

「今のガイドラインだと、“接触が得になる”状況が生まれてしまっている。僕が今までしてきたのは、相手を避けてクラッシュを防ごうとしてきたこと。でもその結果、逆にペナルティを受けてしまったんだ」

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟) / F1ドライバー