フェラーリF1の無線口論にクリスチャン・ダナー警鐘「いい加減にすべき」

2025年シーズンのスクーデリア・フェラーリは、開幕前の期待とは裏腹に成績が伸び悩み、ルクレールとハミルトンの両名がレース中に無線を通じて苛立ちを露わにする場面が増えている。
ダナーは、レース中継で全世界に放送されるこうした「不毛な言い争い」や「尊大な物言い」について、「もはや逆効果でしかなく、見ていて恥ずかしい」と痛烈に批判した。
期待を裏切るシーズン、蓄積するフラストレーション
フェラーリは今季、2024年の好調とルイス・ハミルトンの加入を追い風に、タイトル争いの一角を担うと目されていた。しかし、現状ではマクラーレンに大差をつけられており、コンストラクターズ選手権では175ポイント差で後れを取っている。
さらに、直近のカナダGPではメルセデスとレッドブルF1の後塵を拝し、ランキング2位争いからも後退。ドライバーズ選手権でもルクレールが首位オスカー・ピアストリに94ポイント差の5位、ハミルトンはさらに25ポイント差をつけられた6位に甘んじている。
このような不振が、レース中の無線におけるエンジニアとの口論という形で表面化している。カナダGPでは、ルクレールと担当レースエンジニアのブライアン・ボッツィが戦略を巡って激しく意見を交わす様子が、グローバル放送の電波に乗った。
これに対しダナーは、モータースポーツ・マガジンに対しこう述べた。
「もし自分がチーム代表だったら、こう言うだろうね。『いい加減にしろ、その口論と尊大な口ぶりはもう聞きたくない』って。それで終わりだよ」
「互いに言いたいことをぶつけ合うばかりで話が噛み合っていない様子は滑稽に映る。ルクレールの件は本当にひどかった」

ダナーの提言「無線ボタンから手を離せ」
ダナーは、こうした公開口論がチームにとって有益どころか明確なマイナスであると強調。フレデリック・バスール代表が内部で明確な方針を打ち出すべきだと訴える。
「自分の言葉がテレビに流れると分かっているなら、その無線ボタンを押すべきかどうかはよく考えるべきだ」としつつ、「私のアドバイスはこうだ。『無線は押すな』。それが関係者全員への助言だ」と語った。
もちろん、ハイプレッシャーな状況下で感情が高ぶるのは理解できるとしながらも、「そういうときこそ、冷静さを保って『後で話そう』で済ませるべきだ」と説く。
ドライバーもチームの判断を信頼すべき
ダナーはまた、ドライバーがコクピットで判断したくなる気持ちは理解しつつも、戦略の全体像を把握できるのはピットウォール側であると強調した。
「自分もドライバーとしての魂を持っているからこそ言いたくはないけど」と前置きした上で、「もちろんコクピットから見えることもある。でも、すべてを把握している戦略チームに最終判断を委ねるべきだ」と指摘。
「情報提供はできる。でも、決定権は戦略部門にある」
シーズン中盤を迎え、フェラーリのタイトル争いは風前の灯。チーム内の結束と冷静さが、今後の巻き返しに向けた鍵となりそうだ。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ