2026年F1マシンは「F2並みにはならない」 FIAがF1新規則への懸念に反論

ラスベガスでレーシングブルズのアイザック・ハジャーがドライバーインザループ(DiL)シミュレーターでの経験をもとに「F2に近い」と語り、「パフォーマンス面の話だ」と補足していたが、FIAのラップタイムシミュレーションはこれを裏付けていない。
FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2026年のF1マシンが現行F2マシンに近いパフォーマンスになるとの一部の主張を否定した。ラスベガスでレーシングブルズのアイザック・ハジャーがドライバーインザループ(DiL)シミュレーターでの経験をもとに「F2に近い」と語り、「パフォーマンス面の話だ」と補足していたが、FIAのラップタイムシミュレーションはこれを裏付けていない。
アストンマーティンのジャック・クロフォードもシミュレーターで「F2にかなり似ている」と述べたが、こちらはペースについては触れていない。2026年の新レギュレーションでは、V6エンジンと電動パワーの比率がほぼ50/50となり、エネルギーマネジメントがパフォーマンスの鍵となる。また、シャシー規定はドラッグ削減のために設計されており、ストレートでは前後ウイングをオフに、コーナーではハイダウンフォースに切り替える可変エアロを採用する。
「1〜2秒遅くなるだけ」──トンバジスが示す実測値
これらの変化にもかかわらず、トンバジスはラップタイムの低下幅は当初の段階で「わずか1〜2秒」にとどまると説明した。
「F2並みというコメントは完全に見当違いだ」とトンバジスはThe Raceの取材に答えた。
「我々が見ているのは、コースや条件によるが現在より1〜2秒遅い程度のラップタイムだ。サイクルの始まりで前サイクルより速くするのは馬鹿げている。レギュレーション的には簡単に速くできるが、自然な開発で取り戻すべき余地が必要であり、最初から前より速くしてはいけない。20年後に何が起こるかを想像してほしい」
「少し遅くなるのは自然だが、『もはやF1ではない』という議論になるような水準ではまったくない」
比較として、F1とF2の差は2022年バーレーン予選で約11秒、2017年のハイダウンフォース導入時で10.2秒、2014年のV6ターボ初年度で5.7秒だった。今年はその差が15秒まで拡大しており、仮に1〜2秒遅くなっても依然として13秒前後の差が残る計算となる。

レッドブルのモナハンも同調──ただし「サーキット依存」
レッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンもトンバジスの見解を支持しつつ、実際の差はサーキット特性に左右されると強調した。ブレーキングでのエネルギー回収量が少ないコースでは電力のデプロイ量が減るため、タイム差が大きくなる可能性があるという。
さらに、シミュレーションに依存している現段階では実際の空力グリップやピレリの最終タイヤ仕様が不確定であり、ラップタイムに大きな影響を及ぼし得ると指摘した。
モナハンは次のように述べた。
「サーキットによって状況は少し変わる。エネルギーを多く回収できる“エネルギーリッチ”なサーキットではラップタイムの落ち幅は小さく、逆に回収が難しい場所では今のところもう少し遅い」
「最も難しいのは、どれだけのグリップを実際に得られるのかを確定させることだ。エアロマップでは『このダウンフォースが得られる』となっていても、それが現実かどうかは分からない。ピレリの最終タイヤが少し良いか悪いかでも、全体のラップタイムに大きく影響する」
「だから確かに少し遅くなる。しかしF2のペースにはならないと思うし、そうならないことを願っている」
カテゴリー: F1 / F1マシン / FIA(国際自動車連盟)
