2026年F1エンジン規定改訂 新制度「ADUO」で出遅れメーカー救済

この改訂は、木曜日に行われた世界モータースポーツ評議会(WMSC)の会合で決定されたもので、ロンドン・ナイツブリッジに新設されたFIAオフィスからビデオ会議形式で開催された。
ADUOコンセプトとは何か
「ADUOコンセプト」は、2026年の新PU時代において、他メーカーよりも性能面で遅れを取ったサプライヤーに対し、追いつくための追加的な開発機会を与える仕組みだ。これにより、FIAは競争バランスを保ちながら、各PUメーカーが公平な環境で進化を続けられるようにする狙いがある。
F1の2026年型エンジンは現行の1.6リッターV6ターボを基礎にしつつ、MGU-Hの廃止と電動出力比率の大幅増加によって、内燃機関とハイブリッド系の出力をほぼ等分にする全く新しいフォーミュラとなる。来季のPUサプライヤーはフェラーリ、メルセデス、レッドブル・パワートレインズ、ホンダ、そしてアウディの5社だ。
FIAによる進捗評価と支援プロセス
FIAはシーズン中の特定の節目で各メーカーのPU性能を評価する。評価ポイントは、シーズン6戦目(25%時点)、12戦目(50%)、18戦目(75%)の3段階で設定されており、そこで性能不足が認められたメーカーには以下のような支援策が適用される:
■ PUのホモロゲーション(公認)変更の追加許可
■ コストキャップ(予算上限)の緩和措置
■ PUベンチテストでの追加開発時間の付与
また、信頼性に深刻な問題を抱えるPUメーカーには、特別なコストキャップ緩和が別途認められる。これは開発凍結下での信頼性修復が財政的に過大な負担となるのを防ぐための措置だ。
“失敗を救済する安全網”としての新制度
これらの新ルールは、開発に出遅れたメーカーに対して「安全網(セーフティネット)」を提供するものだ。成功したメーカーが優位を保てる期間は短縮され、逆に苦戦するメーカーは改善の機会を得る。これにより、F1が2014年にハイブリッドPUを導入した際のような極端な性能差(当時のメルセデスの独走)を防ぐ狙いがある。
2014年当時は、異なる仕様のハードウェア/ソフトウェアを顧客チームに供給できたことや、開発トークン制が導入されていたことが競争の偏りを生み、メルセデスの長期支配を許す結果となった。FIAは今回の「ADUOコンセプト」により、こうした格差の再発を未然に防ぐ構えだ。
Source: PlanetF1
カテゴリー: F1 / F1マシン / FIA(国際自動車連盟)
