メルセデスとルノー、2021年のF1エンジン案の“欠陥”を指摘
メルセデスとルノーは、FIA(国際自動車連盟)とF1の新オーナーであるリバティ・メディアが提案した2021年のF1エンジンの方向性に懐疑的であることを認めている。
FIAとF1は31日(水)、次世代のF1エンジンレギュレーションの計画を概説。両者がF1の将来にどのようなビジョンを描いているかが鮮明になってきた。提案された2021年以降のパワーユニットは、レースのクオリティの改善、コスト削減、そして、エンジンサウンドの向上に重点を置いたとしている。
FIAとF1が提案したエンジン使用は、そもそも論争の的となっている1.6リッター V6ターボパワーユニットを維持することがベースとなっている。そこから複雑で高価なMGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止し、よりパワフルなMGU-Kで補うとしている。また、F1への新規参入を視野に入れている潜在的なマニュファクチャラーに対して魅力的であると同時に、すでにF1にパワーユニットを供給している既存メーカーの関心を維持することもくろんでいる。
しかし、メルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、パリで行われたプレゼンテーションには既存のエンジンマニュファクチャラーはどこも良い反応を示していなかったと証、2021年のF1エンジンレギュレーションには今後さらなる議論と修正がなされることが予定されているにも関わらず、FIAが新しいF1エンジンの計画についてこれほど多くの情報を開示したことに驚いたと述べた。
「これは彼らのビジョンであり、彼らの提案だ。我々が受け入れているというわけではない」とトト・ヴォルフは BBC にコメント。
「このコンセプトの欠陥は、それが完全に新しいエンジンであり、新しい投資が必要だということだ。それはある意味で、我々がこのようにして進んでいくという道筋を描いたものであるが、現在のF1にいる自動車メーカーの中にはそれに特別な感銘を受けた者はいなかった」
「新しいコンセプトは概説された欠陥に取り組む必要がある。それは開発コストとノイズレベルだ。そして、その全てはF1の世界的な視聴者と繋がっているものなければならない。我々としては、そのようなものはまったく見受けられなかった」
ルノー・スポールのマネジングディレクターを務めるシリル・アビテブールも、トト・ヴォルフのコメントに賛同している。
シリル・アビテブールは、ルノーとしては“2020年以降のF1がどのようなカタチを示していくのかという広範囲なイメージを理解することなく、相当な開発と財政的コミットメントが必要となる新しいF1エンジンを提示された”ことに違和感を感じていると述べた。
「私が言及しているのは、エンジンレギュレーションについてだけでない。シャシーレギュレーションやF1の商業的な面のことも含まれている」とシリル・アビテブールはコメント
「コスト、ノイズ、パワーにおいて設定された目標や、引き続きパフォーマンスの収束を目指すべきであるという考えには賛成だ。それらは現行のエンジン構成でもできたはずのものではあるがね」
また、シリル・アビテブールは、新しいF1エンジンレギュレーションが、新たな企業を引きつけることに成功するかどうかについても疑問視している。
「現在、提示されたもので、どのようにして独立系エンジンマニュファクチャラーにモデルを提供できるのか私には分からない」とシリル・アビテブールはコメント。
「自動車メーカーがアクセスするためのコストであれば引き下げることになるかもしれない。しかし、どのようなビジネスプランであれ、この新しいエンジンを機能させようとするならば、研究開発のために相当な額のマーケティング費用を費やすことが必要になってくるだろう」
「そして、それは実際に我々にとっての問題でもある。我々も新規参入者と同じだけの金額を再び費やさなければならなくなる。だが、イルモアやコスワースが別の自動車会社から助成金を受けずに、独立して参加できるとは思えない」
シリル・アビテブールは、現行パワーユニットの中で高価なエレメントであるMGU-Hを取り除くという考えについても懐疑的だ。
「MGU-Hの廃止に関して問題だと思うのは、それをやった途端に新しいエンジンになってしまうことだ」とシリル・アビテブールは説明する。
「ターボの機能のさせ方や、その他のあらゆるものなど、エンジン内のエネルギーの管理方法が根本的に変わることになる。それは新しい燃焼コンセプトであり、ターボラグや効率を管理する新しい方法などだ。つまり、新設計のターボということになる」
一方、フェラーリは、2021年のF1エンジン案についての明確な不満点は述べていない。しかし、新F1エンジン案によって完全に新しいエンジンを造ることになるという点ではメルセデスとルノーと同じ意見であり、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、2021年も“同じエンジンアーキテクチャーを継続する”ことを望んでいるとしている。また、FIAとF1の方向性が“間違っている”と感じた場合には、その変更を止めるために“拒否権”を行使することを示唆している。
残りの現行サプライヤーであるホンダは、現時点で新F1レギュレーション案にどのような見解を持っているかは明らかにしていない。
カテゴリー: F1 / F1マシン / ルノーF1チーム / メルセデスF1 / FIA(国際自動車連盟)
FIAとF1は31日(水)、次世代のF1エンジンレギュレーションの計画を概説。両者がF1の将来にどのようなビジョンを描いているかが鮮明になってきた。提案された2021年以降のパワーユニットは、レースのクオリティの改善、コスト削減、そして、エンジンサウンドの向上に重点を置いたとしている。
FIAとF1が提案したエンジン使用は、そもそも論争の的となっている1.6リッター V6ターボパワーユニットを維持することがベースとなっている。そこから複雑で高価なMGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止し、よりパワフルなMGU-Kで補うとしている。また、F1への新規参入を視野に入れている潜在的なマニュファクチャラーに対して魅力的であると同時に、すでにF1にパワーユニットを供給している既存メーカーの関心を維持することもくろんでいる。
しかし、メルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、パリで行われたプレゼンテーションには既存のエンジンマニュファクチャラーはどこも良い反応を示していなかったと証、2021年のF1エンジンレギュレーションには今後さらなる議論と修正がなされることが予定されているにも関わらず、FIAが新しいF1エンジンの計画についてこれほど多くの情報を開示したことに驚いたと述べた。
「これは彼らのビジョンであり、彼らの提案だ。我々が受け入れているというわけではない」とトト・ヴォルフは BBC にコメント。
「このコンセプトの欠陥は、それが完全に新しいエンジンであり、新しい投資が必要だということだ。それはある意味で、我々がこのようにして進んでいくという道筋を描いたものであるが、現在のF1にいる自動車メーカーの中にはそれに特別な感銘を受けた者はいなかった」
「新しいコンセプトは概説された欠陥に取り組む必要がある。それは開発コストとノイズレベルだ。そして、その全てはF1の世界的な視聴者と繋がっているものなければならない。我々としては、そのようなものはまったく見受けられなかった」
ルノー・スポールのマネジングディレクターを務めるシリル・アビテブールも、トト・ヴォルフのコメントに賛同している。
シリル・アビテブールは、ルノーとしては“2020年以降のF1がどのようなカタチを示していくのかという広範囲なイメージを理解することなく、相当な開発と財政的コミットメントが必要となる新しいF1エンジンを提示された”ことに違和感を感じていると述べた。
「私が言及しているのは、エンジンレギュレーションについてだけでない。シャシーレギュレーションやF1の商業的な面のことも含まれている」とシリル・アビテブールはコメント
「コスト、ノイズ、パワーにおいて設定された目標や、引き続きパフォーマンスの収束を目指すべきであるという考えには賛成だ。それらは現行のエンジン構成でもできたはずのものではあるがね」
また、シリル・アビテブールは、新しいF1エンジンレギュレーションが、新たな企業を引きつけることに成功するかどうかについても疑問視している。
「現在、提示されたもので、どのようにして独立系エンジンマニュファクチャラーにモデルを提供できるのか私には分からない」とシリル・アビテブールはコメント。
「自動車メーカーがアクセスするためのコストであれば引き下げることになるかもしれない。しかし、どのようなビジネスプランであれ、この新しいエンジンを機能させようとするならば、研究開発のために相当な額のマーケティング費用を費やすことが必要になってくるだろう」
「そして、それは実際に我々にとっての問題でもある。我々も新規参入者と同じだけの金額を再び費やさなければならなくなる。だが、イルモアやコスワースが別の自動車会社から助成金を受けずに、独立して参加できるとは思えない」
シリル・アビテブールは、現行パワーユニットの中で高価なエレメントであるMGU-Hを取り除くという考えについても懐疑的だ。
「MGU-Hの廃止に関して問題だと思うのは、それをやった途端に新しいエンジンになってしまうことだ」とシリル・アビテブールは説明する。
「ターボの機能のさせ方や、その他のあらゆるものなど、エンジン内のエネルギーの管理方法が根本的に変わることになる。それは新しい燃焼コンセプトであり、ターボラグや効率を管理する新しい方法などだ。つまり、新設計のターボということになる」
一方、フェラーリは、2021年のF1エンジン案についての明確な不満点は述べていない。しかし、新F1エンジン案によって完全に新しいエンジンを造ることになるという点ではメルセデスとルノーと同じ意見であり、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、2021年も“同じエンジンアーキテクチャーを継続する”ことを望んでいるとしている。また、FIAとF1の方向性が“間違っている”と感じた場合には、その変更を止めるために“拒否権”を行使することを示唆している。
残りの現行サプライヤーであるホンダは、現時点で新F1レギュレーション案にどのような見解を持っているかは明らかにしていない。
カテゴリー: F1 / F1マシン / ルノーF1チーム / メルセデスF1 / FIA(国際自動車連盟)