2025年F1 エミリア・ロマーニャGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想
2025年F1 エミリア・ロマーニャGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。

ピレリは、イモラ・サーキットにC4(ハード)、C5(ミディアム)、そして初登場のC6(ソフト)というレンジで最も軟らかいコンパウンドをノミネートしている。決勝がドライな場合、、2種類のコンパンドを使うことが義務付けられる。

イモラの5月は喜びに満ちている。あらゆるものが咲き誇り、空気には糸杉の香りが濃く漂い、陽光はサンテルノ川の淡い緑の水面にきらめきを落とす。こうした穏やかな風景は、狭くてバンピーな、極めてオールドスクールなオートドロモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリとは対照的だ。

そんなタイトで狭いサーキットでは、トラックポジションが極めて重要となり、ポールシッターのオスカー・ピアストリがまずは優位に立つことになる。しかし彼のライバルたちは皆、夜を徹してあらゆる数字を分析し、打開策を見出そうとするだろう。では、F1エミリア・ロマーニャGPで考えられる戦略とは?

昨年はどうだった?
昨年のエミリア・ロマーニャGPは、あらゆる予想を裏切って波乱なく進行し、天候やセーフティカーの影響もなく、規定通りの1ストップレースとなった。1位から6位、さらに9位と10位のドライバーは、いずれもミディアム→ハードの戦略を選択した。

トップ3はマックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス、シャルル・ルクレールの順でスタート順位通りにフィニッシュ。ピットストップのタイミングはそれぞれ24周目、22周目、25周目で、ノリスは最後までフェルスタッペンを追い続けた。その背後では、オスカー・ピアストリがアンダーカットを成功させた。彼は23周目にピットインし、27周目までステイアウトしていたカルロス・サインツJr.を抜いて4位に浮上。

メルセデスのジョージ・ラッセルは唯一2ストップでポイントを獲得したドライバーで、ミディアム→ハード→ミディアムの順。2回目のピットは想定外の判断で、摩耗を懸念したチームが予防的に実施した。ラッセルは21周目に最初のピット、52周目に2回目のピットを行い、最終的にチームメイトのルイス・ハミルトンに1ポジション譲って7位となった。

一方、8位のセルジオ・ペレスは唯一のハード→ミディアム戦略でのポイント獲得者で、37周目まで引っ張ってからピットインしている。

ソフトタイヤでのスタートを試みたのはフェルナンド・アロンソとピエール・ガスリーの2人のみだったが、いずれも成功せず、それぞれ7周目と8周目での早期ピットインとなった。全体的に、ハード寄りのコンパウンドではデグラデーション(摩耗)は低く、ピットウインドウも非常に広かった。

エミリア・ロマーニャGP F1

今年の最速戦略は?
今年のピレリは、タイヤのコンパウンドを1段階柔らかく設定しており、これは4戦中3戦目となる。ジェッダとマイアミでは、それでも1ストップが主流となったが、どちらも非常に難しい1ストップだった。

ではイモラはどうか?可能性はあるが、それでも最も有力なのはミディアム→ハード戦略と見られている。ただし、今年はピットウインドウが昨年よりも狭くなる見込みで、ピレリのシミュレーションでは19~25周目の間が最適なピットインタイミングだとされている。

トップ10の別の選択肢は?
過去のこのレースでは、1ストップが純粋に速かったわけではない。むしろ、ピットストップによるタイムロスが大きく、オーバーテイクが非常に困難なために、ポジションキープを優先する戦略が主流だった。たとえ新しいタイヤでアドバンテージがあっても、1つしかないDRSゾーンではそれを活かすのが難しい。

しかし今年は、ピレリの最も柔らかいタイヤが使われており、この傾向が問われることになりそうだ。理論上は、ミディアム→ハードの1ストップと、ミディアム→ハード→ハードの2ストップに大きな差はない。ギャンブルを好むドライバーが別の戦略に出る可能性もあるが、ピレリはそれでも後者は「第二選択」だと見ている。

ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラはこう語る。

「シミュレーション上では、ミディアム→ハードとミディアム→ハード→ハードの総レースタイムの差はせいぜい2~3秒といったところだ。ただ、ピットインで27秒も失うとなれば、無理にリスクを冒す理由は見当たらない]

ミディアムをきちんとマネージすれば、最初のスティントをしっかり走りきれるし、そこからハードで最後まで持たせるのは十分に現実的だ。わざわざ二度止まる必要はない、というのが我々の見立てだ」

誰がそれを試すかは、スタート後の順位に左右される。例えば4番グリッドからスタートするランド・ノリスが序盤で順位を上げられなかった場合、クルマに十分なペースがあると感じれば、アンダーカットや2ストップ戦略に打って出る可能性はある。

エミリア・ロマーニャGP F1 2025年

後方グリッドの選択肢は?
よりオーソドックスな代替策としては、例年通りのハード→ミディアム戦略があり、少なくとも1台のフェラーリがこれを試してもおかしくない。キミ・アントネッリや角田裕毅も後方グリッドから何かを仕掛けるには魅力的な戦略だ。

この戦略では38~44周目が理想的なピットウインドウとされている。採用する側としては、レース中盤にセーフティカーやVSC(バーチャル・セーフティカー)が出ることを期待するだろう。そして今週末のセッション内容を見る限り、レース中断は十分に起こりうる。

もし序盤にセーフティカーが出れば、全体が2ストップに動く可能性がある。中盤ならハード→ミディアム勢に有利に働き、終盤なら、2ストップを選んで新しいタイヤを持っているドライバーがいれば、展開を大きく揺るがすことになる。

ところで天気は?
天気予報は、サポートレースが快晴のなか行われた土曜日と似た傾向を示しており、メインレースの時間帯には雲がかかる見込みだ。

雨の確率は高くないとされているが、アペニン山脈の麓には局地的なにわか雨が潜んでおり、もしそれがイモラに届けば、かなり激しくなる可能性もある。

また風も強まり、時速35kmに達する突風が予想されている。予選を見てもわかる通り、このサーキットでは、ほんのわずかでもラインを外されると大きな影響が出る。風がレースを左右する可能性は十分にある。
2025年のF1世界選手権 エミリア・ロマーニャGP

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カテゴリー: F1 / F1エミリア・ロマーニャGP / ピレリ