2020年のF1世界選手権:各チームのリザーブドライバー事情
2020年のF1世界選手権は、新型コロナウイルスの懸念が完全には払しょくされない中で再開する。もしF1ドライバーに感染者が出た場合、チームはリザーブドライバーを起用する必要がある。そこで各チームのリザーブドライバー事情をまとめてみる。
2020年のF1世界選手権は3月のオースラリアGPでマクラーレンのチームスタッフに感染者が出て土壇場でキャンセルになって以降、しばらく休止状態となっていたが、7月にようやく再開することが発表されている。
F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、F1チームに新型コロナウイルスの感染者が出た場合にもレースを決行することを明らかにしている。たとえ、それがF1ドライバーであってもだ。そこでF1チームは不測の事態に備えてリザーブドライバーを含めたバックアップ環境を整えておく必要がある。
メルセデスは、レーシングポイント、そして、2021年から新たなカスタマーとなるマクラーレンとリザーブドライバーを供給している。また、フェラーリはアルファロメオ、レッドブルはアルファタウリとリザーブドライバーを含めてドライバーをやりくりすることになる。
その他のチームはリザーブドライバーを登録しているものの、F1スーパーライセンスを取得できていないジュニアドライバーである場合が多く、特例が認められない場合は過去にF1に参戦していたドライバーを起用する必要が出てくる。
メルセデス
マクラーレンで41戦を戦ったストフェル・バンドーンと、元ザウバーおよびハースのF1ドライバーであるエステバン・グティエレスをリザーブドライバーとして登録している。バンドーンは2018年までマクラーレンで走っており、現在はメルセデスからフォーミュラEに参戦しており、アクティブな状態を保っている。そのため、フォーミュラEと日程が重ならない限り、代役として最有力候補となる。バンドーンが参加できない場合は、グティエレスが走ることにある。2013年にザウバーでF1デビューを果たし、2016年までハースでF1を戦っていたグティエレスは、その後フォーミュラEとインディカーに挑戦しているが、近年では目立った活動はしていない。唯一の問題は以前のスーパーライセンスが期限切れになっており、再びレース出場の資格を得るためには300kmのF1テストを完了する必要がある。
フェラーリ&アルファロメオ
フェラーリは、契約ドライバーであり、アルファロメオのF1ドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィをリザーブドライバーとして登録している。だが、元フェラーリドライバーであるキミ・ライコネンを緊急招集する可能性もある。
アルファロメオF1は、ロバート・クビサをリザーブドライバーとして登録しており、どちらかのドライバーが感染もしくはフェラーリから呼び出された場合、代役を務めることになる。仮にもう一人ドライバーが必要になった場合には、昨年までリザーブドライバーを務めたマーカス・エリクソンがいる。現在、インディカーに参戦しているエリクソンは、昨年キミ・ライコネンが体調不良を訴えた際にソチに帯同した。また、パスカル・ウェーレインも潜在的な候補となる。メルセデスとの関係を断ったウェーレインは2019年からフェラーリのシミュレータードライバーを務めている。
レッドブル&アルファタウリ
レッドブルのどちらかのドライバーが欠場の場合、アルファタウリのダニール・クビアトとピエール・ガスリーが代役を務めることは間違いないだろう。では、アルファタウリのシートは誰が埋めるのか。両チームはリザーブドライバーとしてセルジオ・セッテ・カマラとセバスチャン・ブエミを登録しており、それ以外のサプライズ選出はないと思われる。
ルノー
ルノーは周冠宇とクリスチャン・ルンガーというジュニアドライバーをリザーブドライバーとして登録しているが、二人とも40ポイントのスーパーライセンスポイントを満たしていないため、特例が認められない限り代役を務めることはできない。その場合どうなるか? 昨年までドライバーを務めていたニコ・ヒュルケンベルグがいる。エステバン・オコンの加入によってチームを追い出されたヒュルケンベルグだが、リカルドは今季限りでチームを去ることが決定しており、チームは間違った決断したと考えることになるかもしれない。また、昨年リザーブドライバーを務めたセルゲイ・シロトキンも候補として挙げることができる。
レーシング・ポイント&マクラーレン
前述のとおり、メルセデスのストフェル・バンドーンとエステバン・グティエレスをリザーブドライバーとして共有している。だが、優先順位としてはメルセデス→レーシング・ポイント→マクラーレンの順となる。
レーシング・ポイントに欠員が出た場合には、ルノーと同様に元ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグに連絡を取るか可能性がある。一方、マクラーレンは昨年ルノーと共有したセルゲイ・シロトキンという選択肢があるが、昨年同様にシロトキンにとってはルノーが優先となるだろう。そうなった場合の候補はやはりフェルナンド・アロンソだ。来年のルノーのドライバー候補に挙げられているアロンソは、今年マクラーレンからインディ500に参戦し、まだチームとの関係は立たれていない。
ウィリアムズ
元ルノーのジュニアドライバーでスーパーライセンスを保有するジャック・エイトケンをリザーブドライバーとして獲得している。だが、まだF1マシンを本格的に走らせていないこともあり、レースで起用することには疑問が残る。その場合は過去のドライバーであるセルゲイ・シロキトンに白羽の矢が立つかもしれない。
ハースF1
ハースの状況はルノーと似ており、リザーブドライバーとしてルイ・デレトラズとピエトロ・フィティパルディを登録しているが、二人ともスーパーライセンスを保有していないため、特例が認められない限りレースに出場することはできない。その場合、エンジン供給元であるフェラーリが手助けする可能性がある。
カテゴリー: F1 / F1ドライバー
2020年のF1世界選手権は3月のオースラリアGPでマクラーレンのチームスタッフに感染者が出て土壇場でキャンセルになって以降、しばらく休止状態となっていたが、7月にようやく再開することが発表されている。
F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、F1チームに新型コロナウイルスの感染者が出た場合にもレースを決行することを明らかにしている。たとえ、それがF1ドライバーであってもだ。そこでF1チームは不測の事態に備えてリザーブドライバーを含めたバックアップ環境を整えておく必要がある。
メルセデスは、レーシングポイント、そして、2021年から新たなカスタマーとなるマクラーレンとリザーブドライバーを供給している。また、フェラーリはアルファロメオ、レッドブルはアルファタウリとリザーブドライバーを含めてドライバーをやりくりすることになる。
その他のチームはリザーブドライバーを登録しているものの、F1スーパーライセンスを取得できていないジュニアドライバーである場合が多く、特例が認められない場合は過去にF1に参戦していたドライバーを起用する必要が出てくる。
メルセデス
マクラーレンで41戦を戦ったストフェル・バンドーンと、元ザウバーおよびハースのF1ドライバーであるエステバン・グティエレスをリザーブドライバーとして登録している。バンドーンは2018年までマクラーレンで走っており、現在はメルセデスからフォーミュラEに参戦しており、アクティブな状態を保っている。そのため、フォーミュラEと日程が重ならない限り、代役として最有力候補となる。バンドーンが参加できない場合は、グティエレスが走ることにある。2013年にザウバーでF1デビューを果たし、2016年までハースでF1を戦っていたグティエレスは、その後フォーミュラEとインディカーに挑戦しているが、近年では目立った活動はしていない。唯一の問題は以前のスーパーライセンスが期限切れになっており、再びレース出場の資格を得るためには300kmのF1テストを完了する必要がある。
フェラーリ&アルファロメオ
フェラーリは、契約ドライバーであり、アルファロメオのF1ドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィをリザーブドライバーとして登録している。だが、元フェラーリドライバーであるキミ・ライコネンを緊急招集する可能性もある。
アルファロメオF1は、ロバート・クビサをリザーブドライバーとして登録しており、どちらかのドライバーが感染もしくはフェラーリから呼び出された場合、代役を務めることになる。仮にもう一人ドライバーが必要になった場合には、昨年までリザーブドライバーを務めたマーカス・エリクソンがいる。現在、インディカーに参戦しているエリクソンは、昨年キミ・ライコネンが体調不良を訴えた際にソチに帯同した。また、パスカル・ウェーレインも潜在的な候補となる。メルセデスとの関係を断ったウェーレインは2019年からフェラーリのシミュレータードライバーを務めている。
レッドブル&アルファタウリ
レッドブルのどちらかのドライバーが欠場の場合、アルファタウリのダニール・クビアトとピエール・ガスリーが代役を務めることは間違いないだろう。では、アルファタウリのシートは誰が埋めるのか。両チームはリザーブドライバーとしてセルジオ・セッテ・カマラとセバスチャン・ブエミを登録しており、それ以外のサプライズ選出はないと思われる。
ルノー
ルノーは周冠宇とクリスチャン・ルンガーというジュニアドライバーをリザーブドライバーとして登録しているが、二人とも40ポイントのスーパーライセンスポイントを満たしていないため、特例が認められない限り代役を務めることはできない。その場合どうなるか? 昨年までドライバーを務めていたニコ・ヒュルケンベルグがいる。エステバン・オコンの加入によってチームを追い出されたヒュルケンベルグだが、リカルドは今季限りでチームを去ることが決定しており、チームは間違った決断したと考えることになるかもしれない。また、昨年リザーブドライバーを務めたセルゲイ・シロトキンも候補として挙げることができる。
レーシング・ポイント&マクラーレン
前述のとおり、メルセデスのストフェル・バンドーンとエステバン・グティエレスをリザーブドライバーとして共有している。だが、優先順位としてはメルセデス→レーシング・ポイント→マクラーレンの順となる。
レーシング・ポイントに欠員が出た場合には、ルノーと同様に元ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグに連絡を取るか可能性がある。一方、マクラーレンは昨年ルノーと共有したセルゲイ・シロトキンという選択肢があるが、昨年同様にシロトキンにとってはルノーが優先となるだろう。そうなった場合の候補はやはりフェルナンド・アロンソだ。来年のルノーのドライバー候補に挙げられているアロンソは、今年マクラーレンからインディ500に参戦し、まだチームとの関係は立たれていない。
ウィリアムズ
元ルノーのジュニアドライバーでスーパーライセンスを保有するジャック・エイトケンをリザーブドライバーとして獲得している。だが、まだF1マシンを本格的に走らせていないこともあり、レースで起用することには疑問が残る。その場合は過去のドライバーであるセルゲイ・シロキトンに白羽の矢が立つかもしれない。
ハースF1
ハースの状況はルノーと似ており、リザーブドライバーとしてルイ・デレトラズとピエトロ・フィティパルディを登録しているが、二人ともスーパーライセンスを保有していないため、特例が認められない限りレースに出場することはできない。その場合、エンジン供給元であるフェラーリが手助けする可能性がある。
カテゴリー: F1 / F1ドライバー