F1カナダGP FP3:ノリス最速 最下位の角田裕毅は赤旗違反の調査対象に

晴天と気温の上昇に恵まれたモントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは、予選に向けた最終調整の1時間が与えられた。
ルクレールはFP1でのクラッシュにより約45分間を失い、さらにFP2もシャシー交換のために走行できなかったことから、このFP3で巻き返しを図る必要があった。また、手首の手術明けで地元レースに臨んでいるアストンマーティンのランス・ストロールも、FP2でのクラッシュによる走行不足を補おうとしていた。
開始15分を過ぎたあたりで、ルクレールがミディアムタイヤで1分12秒843を記録してトップに立つ。アストンマーティン勢のフェルナンド・アロンソとストロールはソフトタイヤで数コンマ遅れのタイムを出していた。
セッション中盤には、ピアストリとキック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグが相次いで最終シケインでトラブル。ピアストリは右リアタイヤにパンクを負い、ヒュルケンベルグはスピンしながらウォールに接触した。デブリ処理のために一時赤旗が出され、両者はその後の走行を断念せざるを得なかった。
再開後はラッセルがソフトタイヤで1分11秒950を記録してトップに浮上。ミディアムタイヤのルイス・ハミルトンとノリスがこれに続き、ソフトを履いたマックス・フェルスタッペンはブレーキの「食いつき不足」を訴えながらも4番手につけた。
終盤には全車がソフトタイヤでタイムアタックを行い、ノリスが1分11秒799という最速タイムをマーク。わずか0.1秒差でルクレール、さらに0.1秒差でラッセルが続き、FP2でトップだったラッセルは3番手に後退した。
4番手にはハミルトンが入り、以下フェルスタッペン、アロンソ、キミ・アントネッリ(メルセデス)、ピアストリと続いた。ピアストリは終盤に走行を再開したが、ミスの影響で8番手にとどまった。9番手と10番手にはウィリアムズF1のカルロス・サインツとアレックス・アルボンが入った。
レーシングブルズのアイザック・ハジャーとリアム・ローソンは、アルピーヌのピエール・ガスリーを挟むかたちで11~13番手。ストロール、ハースのオリバー・ベアマンとエステバン・オコン、そしてクリーンなセッションを過ごしたフランコ・コラピントが続いた。
ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトが18番手と19番手で、角田裕毅はほとんどの時間をガレージで過ごしたことから20番手。なお、角田裕毅とボルトレトは赤旗中の走行に関してセッション後に審議対象となっている。
各チームはこの後パドックでデータを分析し、予選前の最終セットアップ調整に臨む。予選セッションは現地時間16時(日本時間5時)から行われる予定だ。

2025年F1 カナダGP フリー走行3回目 順位・ラップタイム
1.ランド・ノリス(マクラーレン) - 1分11秒7992.シャルル・ルクレール(フェラーリ) - 1分11秒877
3.ジョージ・ラッセル(メルセデス) - 1分11秒950
4.ルイス・ハミルトン(フェラーリ) - 1分12秒050
5.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) - 1分12秒072
6.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) - 1分12秒247
7.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) - 1分12秒348
8.オスカー・ピアストリ(マクラーレン) - 1分12秒519
9.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) - 1分12秒519
10.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ) - 1分12秒573
11.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ) - 1分12秒651
12.ピエール・ガスリー(アルピーヌ) - 1分12秒684
13.リアム・ローソン(レーシングブルズ) - 1分12秒791
14.ランス・ストロール(アストンマーティン) - 1分12秒794
15.オリバー・ベアマン(ハース) - 1分12秒825
16.エステバン・オコン(ハース) - 1分12秒827
17.フランコ・コラピント(アルピーヌ) - 1分13秒060
18.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー) - 1分13秒072
19.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー) - 1分13秒172
20.角田裕毅(レッドブル) - 1分13秒573

ノリスがFP3最速でマクラーレン復調を印象付け 角田は赤旗違反で審議対象に
F1カナダGPの土曜最終プラクティスでマクラーレンのランド・ノリスがトップタイムを記録し、金曜の苦戦を払拭。ポールポジション争いに向けて強い手応えを得た。一方、角田裕毅はブレーキトラブルにより走行時間が限られたうえ、赤旗中の違反行為がレースコントロールにより指摘され、調査対象となっている。
セッション終盤、ノリスはソフトタイヤで1分11秒929をマークし、2番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に0.078秒差をつけた。3番手にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が続き、トップ3は接戦模様だ。
マクラーレン、ノリス仕様のアップグレードが奏功
ノリスのマシンには、今週末から導入された改良型フロントサスペンションが引き続き搭載されており、ブレーキングの安定性を高めることでパフォーマンス向上に貢献している。金曜に「今季最悪の1日」と評したノリスだが、FP3では自信を取り戻し、ポール争いの有力候補として名乗りを上げた。
一方、チームメイトのオスカー・ピアストリは従来型のサスペンション仕様で走行しており、「ウォール・オブ・チャンピオンズ」に接触するアクシデントで走行が一時中断。8番手と振るわず、予選に向けて課題を抱えている。
角田にトラブル続出 赤旗違反で審議対象に
レッドブルの角田裕毅は、セッション前半にブレーキトラブルが発生し、ほとんどの時間をガレージで過ごすこととなった。ようやくソフトタイヤでコースインしたが、十分なプッシュラップを走れず、最下位の20番手に終わった。
さらに、赤旗中の規則違反行為があったとしてレースコントロールにより「車両22(角田)に関する赤旗違反行為」が記録されており、セッション間に審議が行われる可能性が高い。
レッドブルは、今週末から角田のマシンを最新仕様にアップデート。イモラでのクラッシュ以降、モナコとスペインでは旧スペックを使用していたが、今回ようやくフェルスタッペンと同様の最新仕様が搭載され、0.1秒程度のパフォーマンス向上が期待されている。
混戦のトップ争い フェラーリとメルセデスも好調
セッション後半には、ソフトタイヤでの予選シミュレーションが行われ、ルクレールが9周使用済みのソフトで2番手に浮上。フェラーリの競争力も示された。ラッセルは序盤から安定した速さを見せ、1分12秒080で3番手。メルセデスは冷涼なモントリオールのコンディションにマシンが適応しており、こちらも予選での上位進出が期待される。
なお、ハースのオリバー・ベアマンもウォールに軽く接触したが、「マシンに大きな問題はない」と無線で報告。現時点で10番手につけ、好調な週末を送っている。
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