F1イギリスGP:ノリスが地元初勝利 ピアストリ2位 ヒュルケンベルグ初表彰台

決勝はドライコンディションで始まり、ポールシッターのマックス・フェルスタッペンがリードを守るも、雨が降り始めるとオスカー・ピアストリがトップに浮上。しかしレース中盤にセーフティカーが導入され、戦局は再びリセットされた。
その後、ピアストリはリスタート時のスローダウンで10秒ペナルティを科され、さらにフェルスタッペンはスピンを喫して順位を落とす波乱の展開に。路面が再び乾いて各車がスリックに履き替える中、ノリスが首位を奪取。ピアストリはピットでペナルティを消化しながらも2位でレースに復帰した。
そのままノリスはトップを維持し、6.8秒差をつけて優勝。スタンドは地元ドライバーの勝利に大きく沸いた。3位には19番グリッドから怒涛の追い上げを見せたキック・ザウバーのヒュルケンベルグが入り、キャリア初の表彰台を手にした。
混乱の中で光った判断力と冷静さ タイヤ戦略が明暗を分ける展開に
レース中盤には、断続的な雨により何度も路面コンディションが変化。セーフティカー導入のタイミングやタイヤ交換判断が勝敗を大きく左右した。マクラーレンは的確なピットインとチーム内での「自由に戦え」との方針を維持しながらも、最終的にはノリスの強さが際立った。
逆に、ピアストリは序盤の好パフォーマンスから一転してペナルティに見舞われながらも、冷静なマネジメントで2位を確保。ドライビングとタイヤマネジメント、戦略対応力の両面でトップレベルの走りを示した。
ラスト数周の緊迫戦 ヒュルケンベルグがハミルトンの猛追を封じる
最終盤においては、ルイス・ハミルトンとニコ・ヒュルケンベルグの表彰台争いが注目を集めた。フェラーリのハミルトンはタイヤを温存しながら追い上げを狙ったが、ヒュルケンベルグが一切のミスなく完璧なラップを重ねて防ぎ切った。プレッシャーの中での冷静な対応はベテランならではの貫禄を見せた。
ゴール後、ヒュルケンベルグは「ついにこの日が来た」「信じられないレースだった」と語り、チームから「ニコ!ニコ!」の大合唱で迎えられた。キャリア最長の表彰台待望記録に終止符を打つ劇的な一日となった。
フェルスタッペンは5位に浮上 角田裕毅はペナルティで後退
フェラーリ移籍後初の母国レースとなったルイス・ハミルトンは4位。スピンから挽回したフェルスタッペンが5位、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が6位と続いた。7位には終盤ガスリーにかわされたランス・ストロール(アストンマーティン)、8位はアレックス・アルボン(ウィリアムズ)、9位はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、10位はジョージ・ラッセル(メルセデス)だった。
レッドブルの角田裕毅は、再スタート直後にオリバー・ベアマン(ハース)と接触してスピンを誘発し、10秒ペナルティを科され15位で完走した。
ルーキー勢にも明暗 ベアマンは健闘、アントネッリはリタイア
ホームレースのオリバー・ベアマンは、序盤の接触にもかかわらず健闘し11位とポイント圏目前でフィニッシュ。カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)は12位、チームメイトのエステバン・オコンが13位で続いた。シャルル・ルクレール(フェラーリ)は早期にスリックへ賭けた判断が裏目に出て14位に沈んだ。
キミ・アントネッリ(メルセデス)は序盤のクラッシュによる車体ダメージに苦しみ、数度のピットを経た末にリタイア。天候の変化と難しいコンディションが、若手にとっても厳しい洗礼となった。
5名がリタイア コラピントはピットでトラブル
リタイアは5名。フランコ・コラピント(アルピーヌ)はピットでエンジンがストールし、スタートすら切れずに終戦。リアム・ローソン(レーシングブルズ)は1周目にオコンとの接触でグラベルに突き刺さりリタイア。ガブリエル・ボルトレト(キック・ザウバー)は雨の中でのスピン、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)はクラッシュでリタイアを喫した。
タイトル争い激化 ノリスが首位ピアストリに肉薄
今回の結果により、ドライバーズランキングではピアストリが首位を維持したものの、ノリスとのポイント差はわずか8に縮まった。両者が圧倒的な速さと安定感を持っている一方で、フェルスタッペンは再び足元をすくわれる形となり、タイトル争いから一歩後退した。
コンストラクターズランキングでは、マクラーレンが大量ポイントを獲得してライバルたちに大きな差をつける結果に。後半戦に向けて、マクラーレンの戦略と信頼性が今季最大の武器となってきている。次戦以降も熾烈な首位攻防が続くことは間違いない。

2025年F1 イギリスGP 決勝 順位・結果
1.ランド・ノリス(マクラーレン)2.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
3.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)
4.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
5.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
6.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
7.ランス・ストロール(アストンマーティン)
8.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)
9.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
10.ジョージ・ラッセル(メルセデス)
11.オリバー・ベアマン(ハース)
12.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
13.エステバン・オコン(ハース)
14.シャルル・ルクレール(フェラーリ)
15.角田裕毅(レッドブル)
DNF.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
DNF.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
DNF.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)
DNF.リアム・ローソン(レーシングブルズ)
DNF.フランコ・コラピント(アルピーヌ)
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