F1オーストラリアGP中止:“金の亡者”のイメージと地に落ちた名誉
F1オーストラリアGP中止の決断の遅れにより、世界最高峰のモータースポーツとしてのF1世界選手権の名誉は地に落ちた。

新型コロナウイルスが急速に拡大するなか、アメリカではNBAの中止、カナダではフィギュアスケートの世界選手権の中止など、大規模な大会が速やかに対応を決断した。

モータースポーツ界でも、MotoGP、フォーミュラE、WEC(世界耐久選手権)、インディカー、IMSA、NASCARなどのメジャーイベントが中止や延期、無観客レースを決断している。

F1も4月に開催予定あったF1中国GPを延期、第2戦バーレーンGPを無観客で行うことを決定するなど相応の対応を見せていたが、開幕戦オーストラリアGPについては強行の姿勢を崩さなかった。

しかし、開幕前日となる3月12日(木)、マクラーレンのF1チームスタッフに新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたことでマクラーレンはF1オーストラリアGPからの欠場を決断。現地時間午後10時頃ろに声明を発表した。

すぐさまF1も声明を発表。“ファンやF1関係者の健康と安全が最優先”として調整に入ると述べた。だが、この段階で中止を発表するべきだったかもしれない。外部にいる誰もレースの中止が唯一の選択肢だと考えていた。

その後、何があったのか。F1上層部、FIA、レース主催者とF1チームとの会議がメルボルン市内のホテルで行われた。財政的責任を含む法的問題をめぐる複雑な争いが遅れの背後にあったが、チームは夜通しの会議でレースをするかどうかについて意見が割れた。

当初、メルセデス、ウィリアムズ、レーシング・ポイント、レッドブル、アルファタウリはレースを開催することに投票。フェラーリ、アルファロメオ、ルノー、そして、すでに欠場を発表したマクラーレンは反対。ウィリアムズとハースの2つのチームは棄権。F1のマネージングディレクターでありロス・ブラウンは、金曜日は通常通りに走り、その日の終わりに様子を見ることを好んだ。

2時間の交渉といくつかの非常に感情的なやり取りの後、保健当局やFIAからの異議なしで継続するように設定された。

しかし、メルセデスの親会社であるダイムラーが、メルセデスおよびカスタマーチームのレーシング・ポイントに投票を変更するよう指示した。

最終的にFIAとリバティ・メディアの沈黙、そしてオーストラリアGP主催者がレースを無観客で開催できるという希望はメルセデスによって打ち砕かれた。現ワールドチャンピオンはメディアに、レースのキャンセルを要求したことを発表した。

だが、セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンがメルボルンを空港に向けて出発した後でも、レッドブルは依然としてレースを望んでいた。

「多くのチームが考えを変え、レースをすることは望まなかった。プロモーターに選択の余地がなく、レースをキャンセルしなければならなかった」とクリスチャン・ホーナーは語った。

プロモーターであるオーストラリア・グランプリ・コーポレーションには、金曜日の午前9時まで決定は通知されなかったという。そして、最終的に中止が発表されたのは現地時間午前10時すぎ。マクラーレンの発表から12時間が経過していた。その間、チームやメディアは何をすべきかまったく見えない状態だった。そして、最も大切にするべきファンは、サーキットの会場時刻になっても中に入ることを許可されず、アルバート・パークの外で列をなしていた。

バーニー・エクレストンは、中止の発表の遅れは、FIA、リバティ・メディア、ビクトリア州政府が金融負債について議論していたためだと考えている。

「問題は彼らがあまりに長く何もしなかったことだ。最終的に常に誰が正式にキャンセルをしたかにかかっている。誰もが財政的にも責任を負わなければならない。どうやら誰もそれを望んでいなかったようだ」

リバティ・メディアはグランプリの主催者から5500万ドルを支払われているので、明らかにそれを保持する方法を見つけたがった。そして、その状況は、ビクトリア州がレースの費用を負担しているという事実によってさらに複雑になった。この決断の遅れによって、F1ファンは大きな怒りを覚え、“金の亡者”としてのイメージが改めて浮き彫りになった。

来週末に予定されている次戦バーレーンGPも中止になる可能性が高い。マクラーレンの14名のスタッフがメルボルンで隔離されているのは1つの理由にすぎない。そして、第3戦ベトナムGPもハノイで多くの新型コロナウイルス感染者が出ており、F1のCEOを務めるチェイス・キャリーが現地を訪れて緊急会議を開き、延期することが決定されたと報じられている。

ベトナムの次に予定されているレースはザントフォールトだが、オランダ政府は木曜日に100人以上が参加するスポーツイベントが禁止されると発表している。

「我々はオランダ政府の措置に留意した」とオランダGPの広報担当者は述べた。「我々はこれらの措置を非常に真剣に受け止めている。当局と毎日連絡を取り合っており、Covid-19に関する進展について毎日情報を提供していまる」

レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ博士を含むインサイダーは、6月のアゼルバイジャンGPまで開催は延期されると考えている。

ホンダは、世界がパンデミックに苦しんでいる間、レースをキャンセルし続けることが“唯一の論理的な前進”であると述べた。

「レースをできないことは非常に残念ですが、また皆さまの前で安全にレースができる状況に少しでも早く回復することを願っています」と本田技研工業のブランド・コミュニケーション本部長を務める森山克英は語った。

ホンダF1のパートナーであるレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、「延期についての会話は避けられない」と語る。

「プロモーターの発言を確認する必要がある。ヨーロッパのレースについては、我々よりも詳しい情報が必要だ」

クリスチャン・ホーナーが言及する“プロモーター”はF1の商業権保有者であるリバティ・メディアだ。F1のCEOであるチェイス・キャリーは、金曜日の朝にアルバート・パークの閉門ゲートの外で説明を強いられた。不在のFIA会長ジャン・トッドだけでなく、チェイス・キャリーは、レースを中止するという決定が内部で行われた後もサーキットに入るために並んだの怒りに買った。

「これから、我々は全員が安全に家に帰ることを確認しなければならない。来週バーレーンに行くことなど問題外だと思う」とクリスチャン・ホーナーは語った。

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カテゴリー: F1 / F1オーストラリアGP / FIA / リバティ・メディア