レッドブル・ホンダF1 特集:アルボンが語るF1初表彰台とタイへの思い
レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンが、2020シーズンのF1トスカーナGPで記録したF1キャリア初表彰台とタイへの思いについて語った。

2020年9月13日、F1トスカーナGPでアストンマーティン・レッドブル・レーシングのアレクサンダー・アルボンがタイ国籍ドライバー初表彰台を記録してF1史にその名を刻みつけた(※アルボンは父親が英国人で母親がタイ人。F1では母親の国籍を選択している)。

これまでF1に参戦したタイ国籍ドライバーはアレクサンダー・アルボンを除くとたったひとり、プリンス・ビラ(ピーラポンパーヌデート・パーヌパン親王)だけだ。プリンス・ビラは1950年代に4シーズン参戦したがキャリアベストは4位に終わっていた。

アレクサンダー・アルボンはタイの血と文化を引き継いでいることに大きな誇りを持っており、表彰台に上り、F1の70年の歴史でタイ国旗が初めて掲揚される様子を眺めていた時もその誇りを感じさせる笑顔を見せていた。本人はレース後に次のようにコメントした。

「キャリアを通じて僕を応援してくれているタイの皆さんのためにタイ国旗を背負えることに誇りを感じているんだ。表彰台でタイ国旗が掲げられるのを見るのは本当にスペシャルな瞬間だった。タイ国籍ドライバー初の表彰台も記録できたしね」

タイに大勢のファンを抱えているアレクサンダー・アルボンは、自分の成功によって誰でも目標を達成できること、モータースポーツに限らず他のキャリアでも頂点に立てることをタイ国民に伝えることを願っている。

「タイ人がトップレベルで戦えることをタイの皆さんに見せたいんだ。ドライバーに限った話じゃないよ。メカニックやエンジニア、トレーナーなど、F1には本当に色々な仕事があるし、もっと多くのタイやアジア各国の人たちがモータースポーツに興味を持って参加してくれたら最高だよ。F1トスカーナGPで記録したような結果が皆さんのインスピレーションになることを願っている」

F1トスカーナGPはアレクサンダー・アルボンにとってF1キャリア30戦目だったが、初表彰台までは不運続きだったと言って良いだろう。しかし、本人の自信とチームが彼に寄せる信頼の大きさは、それがいずれ必ず記録されることを示していた。そして、初表彰台がようやく記録された今、彼らはひときわ甘美な気持ちを味わっているはずだが、アレクサンダー・アルボンはもっと前に初表彰台を記録できていたことを理解している。

「(初表彰台は)もっと早くに記録できていただろうし、記録しておくべきだったと思う。でも、今日はそこまでの内容が良かった。イージーなレースではなかったから激しく戦わなければならなかったし、いくつかのオーバーテイクを決めて表彰台を獲得できた」

赤旗中断2回、リスタート3回、完走12台というクレイジーなレースとなったF1トスカーナGPはドライバーたちにとって難しかったはずだが、アレクサンダー・アルボンが最も苦労したのは何だったのだろうか?

「赤旗が2回も出されて3回もリスタートするようなレースはトリッキーになる。リズムを掴むのが難しくなるんだ。マシンの乗り降りを繰り返すことになるからね。今日はスタートが上手くいかなかった分、さらに難しかった。上手く前に出られなかった。3回目のリスタートのあとはペースを掴めたけれど、スタートが悪かったから不利なポジションから戦わなければならなかった」

アレクサンダー・アルボンはF1で2シーズン目を迎えたばかりだが、アグレッシブにアウトサイドから仕掛けるオーバーテイクですでに “ミスター・ラウンド・ジ・アウトサイド(Mr. Round The Ouside)” というニックネームを授かっている。本人はまだこのニックネームがしっくりきていないようだが、ピッタリのニックネームだ。

「“ミスター・ラウンド・ジ・アウトサイド" なんてダンスムーブの名前みたいだよね。僕だってインサイドにスペースがあれば飛び込むよ。でも、大抵はラインを閉められるから、アウトサイドから仕掛けるしかなくなる。だから、アウトサイドから仕掛けるのが僕の絶対的なスタイルではないんだ。むしろ、アウトサイドから仕掛けられるのはレッドブル・レーシングのおかげだね。マシンのブレーキが優れているから、僕はこの特徴をアドバンテージに変えているんだ。あとは、これまで走ってきたサーキットにアウトサイドからオーバーテイクできるポイントがあるのも理由のひとつだと思う」

ムジェロ・サーキットのフィニッシュラインを越えたあと、アレクサンダー・アルボンはチームに無線で「僕についてきてくれてありがとう」と伝えていたが、本人はこのメッセージの意味について次のように説明している。

「チームに加入した日から僕をサポートしてくれているチーム全員に感謝したかった。ここまで長くかかったし、好転してきているとは言え、難しいシーズンを送っているから、みんなにありがとうと伝えたかった。僕が快適にドライブできて、僕にベターなチャンスを提供できるマシンを用意するためにチーム全員がハードワークを続けてくれている。言うまでもないけれど、前戦イタリアGPは良い内容ではなかったから、F1トスカーナGPですぐに立ち直って結果を出せたことでみんなの勇気と決意を示すことができた」

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カテゴリー: F1 / アレクサンダー・アルボン / レッドブル・レーシング / ホンダF1