角田裕毅 レッドブルF1残留の行方は“ラスベガスとカタールが勝負”

レッドブルはマックス・フェルスタッペンの2026年残留に安堵した一方で、角田裕毅の来季去就は依然として未定。チーム内ではリアム・ローソンの巻き返しが存在感を強め、若手の昇格枠を巡る争いはこれまでになく熾烈だ。
その中で、レッドブルが注視しているのはアブダビではなく、直近のラスベガスとカタールの2戦だとみられている。
アブダビは角田裕毅が最も得意とするサーキットだが、そこに到達する前に判断が下される可能性が高く、本人にとっては“最大の武器が届かない”状況になりかねない。残されたわずかなチャンスで、いかにして自らの価値を示せるかが、角田裕毅の未来を左右する決定的なポイントとなる。
レッドブルの判断はまだ先角田裕毅は厳しい立場
昨年、レッドブルは角田裕毅の働きを高く評価し、カナダGP時点で早期に新契約を提示した。しかし、2025年にレーシングブルズから2戦後で急遽昇格したシーズンは状況が一変。プレッシャーは増し、パフォーマンスも安定せず、チーム内での立場は不確実となっている。
現在の構図は明確だ。
角田裕毅は リアム・ローソンとの一騎打ち の中で残留争いをしている。アイザック・ハジャーはすでにフェルスタッペンのチームメイトとして昇格する流れで、さらにアービッド・リンドブラッドもF2からの昇格が有力視されている。
この状況下で、角田裕毅に残されたチャンスは「ラスベガス、カタール、アブダビ」の3戦のみ。しかし、彼にとって最も得意なアブダビが最後のレースであり、そこに到達する前に評価が固まってしまう可能性が懸念されている。
アブダビは角田裕毅の“最高の舞台”だが…
角田裕毅はF1キャリアの中でアブダビを最も得意としている。
ポイント実績はアブダビが最多(通算16点=オースティンと並ぶ)。
■ 過去の成績
・2021年:予選8番手 → 決勝4位(キャリア最高位)
・2022年:11位
・2023年:8位(6番手スタート/キャリア唯一の周回リード5周/ドライバー・オブ・ザ・デイ)
・2024年:12位
ルーキーイヤーのP4フィニッシュ後には、角田裕毅はこう語っていた。
「全体的に今週のペースは本当に良かった」「終盤でボッタスを捕まえることができて嬉しかった」「ミスもあったが良い形でシーズンを終えられた」
しかし、こうしたアブダビでの好成績が チーム判断より後になる恐れ が本人にとって最大の不安材料だ。

ローソンの2025年“再浮上”が角田裕毅に重くのしかかる
比較対象であるリアム・ローソンの勢いも無視できない。
ローソンは2025年シーズン途中でレッドブルを降格となったものの、レーシングブルズ復帰後に見事な巻き返しを見せ、ここまで 36ポイント を獲得。バクーではキャリア最高位の5位に入り、直近のブラジルGPではアイザック・ハジャーを上回る7位でフィニッシュしている。
唯一のアブダビ参戦となった昨季は、予選12番手(角田裕毅の1つ後方)から17位完走に終わった。ピット作業のミスで遅れ、終盤にはブレーキトラブルも発生したため、本来の評価が難しかったレースでもある。
現時点でローソンはドライバーズランキングで角田裕毅を上回っており、成績面では明確にアドバンテージを築いている。
レッドブルは「急がない」とする一方で…実際はラスベガスとカタールが決定戦に
レッドブルは「ドライバーラインナップ決定を急がない」と表向きに語るが、状況を整理すると決断はかなり早まる可能性がある。
残り3戦のうち、レッドブル側が実際の評価材料とするのは ラスベガスとカタールの2戦 とみられ、アブダビに到達する前に判断が固まる可能性が高い。
これは角田裕毅にとって最悪で、もっとも得意なアブダビで挽回できる機会が訪れる前に去就が決まってしまう展開だ。
レッドブルの育成枠は非常に競争が激しく、ハジャー、リンドブラッド、ローソンと若手が揃っている中、2025年の角田裕毅が置かれた立場はまさに“キャリアの岐路”と言える。
このままいけば、角田裕毅の未来は次の 2戦の結果次第 で大きく変わることになるだろう。
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