角田裕毅 アルピーヌF1移籍の「即戦力候補」と仏誌報道

中国GP後にリアム・ローソンが外されてレッドブルに昇格した角田裕毅は、これまでの前任者たちと同じ困難に直面している。果たして角田裕毅は、自らのポジションを維持できる望みをまだ持てるのだろうか。
昨冬、レッドブルは選択を迫られていた。マックス・フェルスタッペンの横にいたセルジオ・ペレスは残留せず、そのステアリングを託される候補は角田裕毅かリアム・ローソンの2人に絞られていた。ミルトンキーンズの首脳陣は、F1でわずか10戦程度の経験しかなかったニュージーランド人を選んだ。
2021年からグリッドに名を連ね、一度もアルファタウリ(のちのレーシングブルズ)を離れたことがなかった角田裕毅は、2024年末のアブダビでのテストで非常に好感触を得ていた。RB20は彼のスタイルに合うように見えていたが、その後は脇に追いやられる形となった。シーズン序盤に有望な走りを見せたものの、昇格後はレッドブルの歴代2番手ドライバーと同じように、次第に存在感を失っていった。
直近のオランダGPを迎えるまで7戦連続でポイント圏外に沈んでいた角田裕毅だが、決意は固いようだ。野心には疑問が投げかけられるものの、彼はこう語った。
「ポイントを獲得すること、それが一番大事だと思います。それだけです。しばらくポイントを取れていませんが、その間も自分が正しい方向に進んでいることは分かっていました。特に夏休み前の2戦では、アップグレードを受けて、自分自身にも彼らにもまだやれることを証明できたと思っています」
角田裕毅、レッドブルのモデルの犠牲者か?
ホンダの後押しを受けてF1に上がり、後にレッドブルに本格的に支援された角田裕毅だが、厳しい状況に置かれている。実際、クリスチャン・ホーナーはこの冬の人選を誤りだったと後に認めたが、当初の決定がレッドブルの本音を示しているようにも見える。さらにシーズン終盤に低迷すれば、計画されていた別れを正当化する格好の口実となる。子会社チームでの結果ならば、同じ影響は及ぼさなかっただろう。
「F1ではいつも同じことです。この状況、この種のプレッシャーはこの世界の一部で……きれいごとではないですが、これが現実です」と彼はF1公式サイトに語っている。「自分自身に集中しています。過去5年間でこうした噂には慣れましたし、後半戦が自分にとって非常に重要だということも理解しています。だから戦い続け、できることはすべてやります」
アイザック・ハジャーがルーキーとして非常に説得力のあるシーズンを送っており、リアム・ローソンもファエンツァに戻って再び結果を残しつつある中で、角田裕毅は決して有利な立場にはいない。さらに18歳のアービッド・リンドブラッドも控えている。すでにスーパーライセンスを保持しており、今夏のレッドブルの要請で承認済みだ。F2に参戦中の彼は、もはや「代替候補」以上の存在になっている。

2026年のF1グリッドはすでに満席
では、もしレッドブルを離れた場合はどうなるのか。ピエール・ガスリーやアイザック・ハジャーと親しく過ごしてきた角田裕毅だが、2026年のシートはすでに埋まりつつある。キャデラックがドライバーラインアップを発表した今、未定なのはメルセデス、レーシングブルズ、そしてレッドブルのセカンドシートだけだ。だが非公式には、これらのチームのケースもすでに決着済みとみられている。残る可能性はアルピーヌだけだ。
実際、ピエール・ガスリーの残留は確実視されており、フランコ・コラピントの離脱は避けられない情勢だ。キャデラックに移籍するバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスに断られた後、アルピーヌには選択肢がほとんど残されていない。フラビオ・ブリアトーレ率いるチームには2つの道がある。F2ドライバーやフランコ・コラピントに続くリザーブのポール・アロンを起用するか、あるいはすでにF1経験のある即戦力を迎えるかだ。後者であれば、角田裕毅は条件を満たす数少ない存在のひとりとなる。
もっとも、フェリペ・ドルゴヴィッチを推す声もグリッド内で強く、リアム・ローソンやガブリエル・ボルトレトらも彼を支持している。それでも、アルファタウリ時代に形成された「フランス人と日本人のコンビ」が関係者に再びアイデアを与える可能性もある。
後半戦で結果を大きく改善できれば、角田裕毅はまだ自らの運命を握っているといえる。ローラン・メキースがチーム代表に就任した今、その貢献を最大限に活かせるかどうかが鍵となる。あとはそれを即座に成果に結びつけるだけだ。
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