ウィリアムズF1、ビクター・マルタンスを2026年テスト兼開発ドライバーに起用

グローブを本拠地とするウィリアムズにとって、この決定は、パフォーマンス、的確なフィードバック、そして技術的理解を積み重ねてきたマルタンスへの明確な信頼の表れだ。
同時にマルタンスは、アルピーヌからFIA世界耐久選手権(WEC)にも参戦し、レース勘を維持する予定となっている。
アカデミーの有望株から開発の中核へ
ビクター・マルタンスは2025年初頭にウィリアムズ・ドライバー・アカデミーに加入したが、その時点ですでに華々しい実績を誇っていた。フォーミュラ・ルノー・ユーロカップ王者、FIAフォーミュラ3チャンピオン、そしてフォーミュラ2ではルーキーとして際立った存在感を示していた。
F2では3シーズンを戦い、複数の勝利を記録。直近では2025年カタール・フィーチャーレースで、ポール・トゥ・ウィンの完勝を飾っている。そうした履歴が評価され、マルタンスはアカデミーを卒業し、オリバー・ターベイ、ハリソン・スコットと並ぶテスト兼開発ドライバー陣の一員となった。
彼の役割は明確だ。アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.を技術面で支え、F1史上でも屈指の大改革となる2026年レギュレーション時代に向けたマシン開発を下支えすることである。
シミュレーター開発の要に
マルタンスの新たな職務の中心となるのが、シミュレーター作業だ。ウィリアムズF1は2025年末に最新鋭のドライバー・イン・ループ(DIL)シミュレーターを稼働させており、マルタンスはその運用に深く関与する。
さらに、ドライバー・アカデミー専用のDILプログラム構築にも携わる予定で、チームが彼を単なるサポート役ではなく、将来の人材育成における基準点として位置付けていることがうかがえる。

スヴェン・スミーツが語る評価と期待
ウィリアムズF1のスポーティングディレクター、スヴェン・スミーツは、マルタンスの昇格が感情論ではなく、実力に基づく判断であることを強調した。
「2026年に向けて、ビクターをテスト兼開発ドライバーとして迎えられることをうれしく思う。彼は非常に才能あるドライバーであり、これまで一貫してチームにとって非常に価値のあるガイダンスとフィードバックを提供してきた。2025年シーズンを通して、アレクサンダーとカルロスを支え、我々のトラック上でのパフォーマンス向上に貢献してくれた」とスミーツはコメント。
「バルセロナでのFP1でFW47をドライブした経験や、TPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)プログラムへの関与によって、彼は現実的な視点を身につけている。それがFW48、そして将来のマシン開発において、実質的な影響をもたらすだろう」
このコメントは、マルタンスが今後のウィリアムズF1の競争力を左右する存在になることを示している。
マルタンス自身が語る決意
マルタンスにとって、この昇格は誇りであると同時に、明確な使命を伴うものだ。
「ウィリアムズは素晴らしい歴史を持つ象徴的なチームだ。そのチームを再びグリッドの前方へ戻すプロジェクトに関われることをうれしく思っている」とマルタンスはコメント。
「すでにレースウイークエンドでアレクサンダーやカルロスと一緒に仕事をしてきたし、2026年もその取り組みを続けられることを楽しみにしている。ジェームス・ボウルズ、スヴェン、そしてウィリアムズの全員に、この機会を与えてくれたことに感謝したい」
F1が大きな変革期を迎える中、ウィリアムズF1は静かに基盤強化を進めている。その中心にビクター・マルタンスを据えた今回の判断は、チームが「今日信頼できるドライバーこそが、明日の進歩を生む」という賭けに出たことを意味している。
カテゴリー: F1 / ウィリアムズ・レーシング
