WEC アウディ撤退
アウディがWECから撤退し、今後はフォーミュラEに専念するという“戦略的”な決断を下した。

自動車メーカーにとって、レースはマーケティング/プロモーションの意味合いもあるが、市販車のための技術を開発する“走る実験室”として技術力を鍛える役割も持っている。

ホンダ創業者・本田宗一郎は「レースは走る実験室」と語り、F1で培った技術を市販車に投入してきた。

だが、リーマンショック以降、自動車メーカーのコスト意識が高まり、2015年にホンダがF1復帰を果たしたものの、BMWとトヨタが撤退している。

アウディは、予てから耐久レースこそが“実験室”だとして、F1参戦を否定してきたメーカー。そのアウディが、WECに見切りをつけ、電気自動車のレースであるフォーミュラEに舵を切った。

アウディの撤退は、フォルクスワーゲン・グループの排ガス不正問題によるコスト削減とディーゼル・エンジン技術から徐々に離れるという方向性によって決定したとされている。報道によると、アウディのシーズン予算は2億ユーロ(約228億円)以上だとされている。

トヨタとポルシェは、ガソリンエンジンのハイブリッドを採用しているが、アウディのWECカーはディーゼルハイブリッドを採用していた。

そして、近年、フォーミュラEには自動車メーカーの参入が相次いでいる。2014年からスタートしたフォーミュラEは、初年度こそルノーのワンメイクだったが、現在はDS(シトロエン)、ヴェンチュリー、マヒンドラ、そして、ジャガーが参戦。さらに今回のアウディに加え、BMW、メルセデス・ベンツといったメーカーが参戦を表明。また日産、ホンダも検討中と噂されている。

自動車メーカーは、ハイブリッドから電気自動車へとその将来を見据えており、フォルクスワーゲンは、2025年までに電気自動車を25車種まで増やすことを計画。まさに“走る実験室”はフォーミュラEへと移行している。

一方、アウディのWEC撤退を受け、ル・マン24時間レースを運営する西部自動車クラブはWECが“将来のクルマに向けた新技術のためのベストなプラットフォームを提供する革新の最前線”だと主張。

西部自動車クラブ代表のピエール・フィヨンは「ハイブリッドテクノロジーと電気モーターはすでに耐久レースにおいて日常となっている。新時代のエネルギーの要求においては水素電池に対するテクニカルレギュレーションの変更も進んでいる」とコメント。

またWECのCEOを務めるジェラール・ヌーブは「ひとつのマニュファクチャラーが去るが、また別のマニュファクチャラーがやってくるだろう。これが選手権の流れだ」と述べた。

かつてはプジョーや日産が撤退しているWECおよびル・マン24時間レース。来季から最高峰クラスはトヨタとポルシェの一騎打ちとなり、トヨタのル・マン初制覇も見られるかもしれない。

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カテゴリー: F1 / WEC (FIA世界耐久選手権) / フォーミュラE