セバスチャン・ベッテルがF1引退後に最も恋しく思っている瞬間を告白
ベッテルはアストンマーティンF1を経て2022年末にF1からの引退を選択し、4度のドライバーズタイトルと53勝を挙げたキャリアに幕を下ろした。引退後、ベッテルは1月のレース・オブ・チャンピオンズに参戦し、今夏のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにも姿を見せた。
ベッテルはABTクプラで電気自動車フォーミュラEに参戦する可能性があるという噂を否定し、モータースポーツから去るという決断に満足していることを認めている。
「最初の数カ月はあっという間に過ぎ去り、自分の時間を自由に計画して使えるようになったのはいいことだった」とThe Red Bulletinに語った。
「引退を決断したのには多くの要因がある。このスポーツが好きじゃなくなったとか、ペースが遅すぎるとか、他のことをやりたかったとか、そういう理由でやめたわけじゃない。引退はとても個人的なものだ」
「僕にとっては、時間が決定要因のひとつだった。多くのレースを経験し、仕事をきちんとこなすためにどれだけの努力が必要かを知っている」
「同時に、家には小さな子供がいる。その時間は二度と訪れないだろう」
ベッテルはF1で最も恋しかったものについて「最後までドライビングや競争を楽しんだ」と振り返った。
「予選であと一発しかないときに、それを的中させなければならないときかな。レーシングデュエル。そういった瞬間がが僕にとって最も恋しい瞬間だ」
しかし、元レッドブルとフェラーリのドライバーは、引退するのに適切な時期が来たと信じており、F1が向かっている方向性を「超えた」ことを示唆している。
「ある種の妥協はもうしたくなかった」とベッテルは明かした。
「それに、子どもたちには僕がもっとそばにいる権利がある。僕はきっと、かつて素晴らしいと思っていた世界を少し超えてしまったんだろうね。かつて真っ白だと思っていたものが、ある色合いを帯びてきたんだ」
近年、ベッテルは環境保護を強く主張するようになり、意識を高めるために合成燃料を使用したクラシックカーで何度かデモ走行を行った。
ベッテルは、F1関係者はスポーツの枠を超え、世界全体にもたらされるリスクに目を向けるべきだと考えている。
「目を閉じなければ、誰でも社会の発展に気づく」とベッテルは語る。
「F1は私の人生の大部分を占めているが、世界の人々にとって中心的なものではない。枠にとらわれずに考えれば、その兆候は見えてくる」
大人になってから初めてレース日程にコミットする魅力を失った36歳は、自分が残した空白を埋めるためにまだ「模索中」であることを認めた。
「この決断を下したとき、私はとても準備ができていた。でも、1つだけ予測不可能な要素が残っている。僕は外でスポーツをするのが好きなんだ。今のところ、F1ほど僕を限界まで追い込んでくれるものはない。それが一番恋しいことなんだ」
「ここで自分にブレーキをかけなければならないのは、それこそが自分自身を知りたかったからだ。競争モードでないときはどうなるのか？世界のトップでのアドレナリン全開のキャリアは、自由に選んだものであれ、怪我などのやむを得ない理由であれ、いつかは終わりを迎える」
「スリルと緊張感を持って次のセクションに進むことだ。それが簡単だと言っているわけでも、やり遂げたと言っているわけでもない。このプロセス自体がエキサイティングなんだ」
ベッテルがアストンマーティンを去る決断を下したのは、ミッドフィールドの後方で劣勢を強いられた2シーズンの後だった。
しかし、アストンマーティンのマシンは今年かなりの飛躍を遂げ、ベッテルに代わって加入したフェルナンド・アロンソは開幕から8戦で6回の表彰台を獲得し、ドライバーズランキング3位につけている。
とはいえ、ベッテルはアストンマーティンが2023年に復活したことを恨んでおらず、チーム全体と宿敵アロンソのために喜んでいると強調する。
「多くの人の最初の反応は『今シーズン、アストンマーティンがこれほど速いという事実は、あなたをいらだたせるに違いない』というものだった」とベッテルは認めた。
「そうだね、マシンがゴミのようだったら、もっと楽だったかもしれない。『何も失っていない』という意味でだけどね。ノー、僕はチームのために喜んでいる」
「フェルナンド・アロンソのためにもハッピーだ。長年、彼には自分のドライビングスキルを発揮できるマシンがなかった。今、彼はそこにいる。それにレッドブル・レーシングは圧倒的な強さを誇っているし、今でも友人や知り合いがたくさんいる。彼らが勝つと本当にうれしい」
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