フェルスタッペンの契約解除条項がF1オーストリアGP後に発動と報道

ここ数か月、2028年まで有効とされるマックス・フェルスタッペンの契約における解除条項の存在は繰り返し話題となってきた。条項の詳細が公にされたことはないが、その内容についてはさまざまな憶測が飛び交っている。
F1パドックで長年取材を続けるジャーナリストのジュリアンヌ・セラゾリによれば、解除条項はオーストリアGP後に発動されたという。
彼女は「選手権で4位以下であれば発動する」という以前からの噂を否定し、「実際にはトップ2に入っていない場合に発動する条項だと聞いている」と指摘。その判定は年に2回、6月末と12月末に行われるとされており、今回のオーストリアGPがその節目となった。
「このレース、あるいはこの時期が彼の将来にとって重要になると私たちは考えています。6月末、つまり1年の最初の6か月が終わるタイミングで、契約解除条項が発動し、マックスはレッドブルとの契約から解放されるのです」とセラゾリは述べている。
同様の見解は、元レッドブルF1ドライバーであり同じオランダ人のロバート・ドーンボスからも示されている。ドーンボスはポッドキャスト番組『Pit Talk』で、「シーズン中間時点で選手権2位以内にいなければならない」「それが今は満たされていない。つまり、解除条項はすでに発動された」と語った。
この情報は、2026年にフェルスタッペンがメルセデスへ移籍するという噂の再燃と軌を一にする。すでに複数メディアが、トト・ヴォルフ率いるメルセデスがフェルスタッペン獲得に向けて動いていると報じており、事態は水面下で大きく動いている可能性がある。
その背景には、父でありマネジメントにも関わるヨス・フェルスタッペンと、レッドブル代表クリスチャン・ホーナーとの対立があるとされる。Auto Motor und Sportによれば、フェルスタッペン陣営はホーナーの更迭や権限縮小を望んでいる可能性があるという。
ヨス自身もRace Expressに対し、「他チームは進歩している。フェラーリは良いアップグレードを持ち込んだし、マクラーレンが常に先頭にいるのは分かっている。メルセデスはその中間くらいだ」と語り、レッドブルの開発停滞への不満をにじませた。
さらに、オーストリアGPでのアップグレードについては「それほど大きな違いはなかったと思う。角田(裕毅)を見れば分かる。Q2にも進めなかった」「スピードがどこにも見当たらない」と厳しく指摘している。

こうした状況の中で、マックス・フェルスタッペン自身は自身の去就について明言を避けており、De Telegraafは「世界王者は毎週の“謝罪ビンゴ”に飽きつつある」と表現した。
フェルスタッペンはViaplayの取材に対して「言うことはあまりない」「何かを言えば言うほど、それが記事になる」「それをどう解釈するかは自由だ。ただ、これ以上は語りたくない」と述べた。
これに対しホーナーは、メルセデスやジョージ・ラッセルがこうした噂の背後にいる可能性を示唆しつつ、「我々はマックスの契約内容を理解している。出ている話はすべてマックス自身から出たものではなく、あくまで憶測にすぎない」と強調している。
ただし、ホーナーのコメントとは対照的に、レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、「誰もが誰とでも話をしている」と認めたうえで、「マックスが2028年まで契約しているのは事実だが、満足してチームに残ってもらうためには、競争力あるマシンを提供しなければならない」と述べている。
フェルスタッペン自身は、「僕は自分のやるべきことをやりたいだけで、誰かにプレッシャーをかけたいわけじゃない。ベストを尽くして、家に帰って次のレースに向かうだけ」「何を言われようが、僕にはあまり関係ない」「自分の将来は自分で決める」と、あくまで冷静な姿勢を崩していない。
だが、契約解除条項の発動という「法的根拠」が明らかになった今、マックス・フェルスタッペンの進路は本人の意思次第という状況に変わりつつある。メルセデスとの交渉が進んでいるか否か、正式な発表が待たれる。
すでにイタリアのF1公式放送局Sky Sport Italiaは、マックス・フェルスタッペンのメルセデス移籍が間近であり、現在は取締役会の最終承認を待っている段階だと報じている。
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