故ジュール・ビアンキの思い出のカート盗難 父フィリップが情報提供を要請
故ジュール・ビアンキの父であるフィリップ・ビアンキが、息子の思い出が詰まったカートが盗難被害に遭ったとして、SNSを通じて協力を呼びかけている。

ジュール・ビアンキがこの世を去ってから10年以上が経った今も、その名はF1と、彼を育てたカート界において特別な意味を持ち続けている。だが今週、その共有されてきた記憶と敬意が、あまりにも痛ましい形で試されることになった。

ビアンキの父であるフィリップ・ビアンキは、家族が所有していた複数のカートが盗難被害に遭ったことを明らかにした。その中には、ジュールがシングルシーターにステップアップする直前、最後に走らせていたカートも含まれていた。

物質的価値を超えた喪失
ジュール・ビアンキのキャリアは、卓越したカートでの実績を土台として築かれてきた。その才能は2013年のF1デビューで結実し、マルシャF1での走り、そしてフェラーリの育成ドライバーとしての立場によって、将来を嘱望される存在となった。

2014年モナコGPで9位に入った走りは、マルシャにとって初となる選手権ポイントをもたらし、ビアンキの名を確固たるものにした。しかし同年、日本GPのウエットコンディション下での事故により重度の頭部外傷を負い、9か月後の2015年7月、25歳という若さで命を落とした。

それから11年が経った現在も、ビアンキの記憶はモータースポーツの世界に深く刻まれている。その象徴のひとつが、彼の歩みを称える「JB17 Forever」の名を冠したカートだ。そして今回、盗まれたのはまさにそのマシンだった。

「親愛なる友人たちへ。今夜、私はカート界の家族に向けてこのメッセージを書いている」とフィリップ・ビアンキはフェイスブックに綴った。

「昨夜、我々は盗難被害に遭い、恥知らずな窃盗犯たちは9台のJB17 Foreverシャシーを持ち去った」

被害はそれだけにとどまらない。

「さらに悪いことに、彼らはジュールの最後のカートであるKZ125 ART GPモデル、そして私の孫たちのミニカートまでも盗んだ。マシンの金銭的価値以上に、我々を傷つけているのは、その思い出の価値だ」と続けている。

ジュール・ビアンキ F1

カート界への切実な呼びかけ
フィリップ・ビアンキの投稿は、単なる被害報告ではなく、息子の名を今なお大切にしているモータースポーツ界への切実な訴えでもあった。JB17 Foreverのカラーリングと名前はジュールのレガシーと強く結びついており、もし市場に出回れば、見過ごされることはないと彼は信じている。

「もしJB17のカートを見かけたら、どうか私に知らせてほしい。よろしくお願いします」とフィリップは協力を求めた。

情熱、記憶、そして共有された歴史の上に成り立つモータースポーツという世界において、この訴えはすでに多くの人々の心に届いている。

10年以上にわたりジュール・ビアンキの遺志と記憶を守り続けてきたコミュニティが、今度はその象徴とも言える“最後のマシン”を守り、無事に家族のもとへ戻す力となることが、強く願われている。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / ジュール・ビアンキ