WRC 第12戦 ラリー・グレートブリテン:タナックが完全制覇で今季6勝目
10月6日(日)、2019年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・グレートブリテン(GB)の最終日デイ4がウェールズ北部で行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)が優勝。今シーズン6勝目を飾り、ドライバーおよびコ・ドライバー選手権におけるリードをさらに広げた。また、クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(#5号車)は総合4位でフィニッシュし、価値ある選手権ポイントを獲得した。

ラリーGBのデイ4は、サービスパークの南側エリアで2本のステージを各2回走行。当初サービスパーク近くの岬で行なわれる予定だった「グレートオーム」のターマック(舗装路)ステージは、海洋コンデイションの悪化により選手の安全を確保できないという理由でキャンセルされた。

デイ3で総合2位の選手に対し11秒のリードを築いたタナックは、デイ4オープニングのSS18でベストタイムを刻み、僅かながらリードを拡大。その後は安定した走りで2本のステージを走破し、9.5秒のリードを持って最終のパワーステージに臨んだ。そして、パワーステージでは2番手タイムを刻んだドライバー選手権のライバルに、0.4秒差のベストタイムを記録。今季6勝目を飾るとともに、最大ボーナスポイントを獲得し選手権のリードを28ポイントに拡大した。

ヤリスWRCはデイ1のSS1でミークが首位に立ち、その後もリードを維持。デイ2の最終ステージではタナックがミークに代わって総合1位に浮上し、そのまま最後まで首位を守り続けた。最終的にミークは総合4位でフィニッシュし、チームは貴重なマニュファクチャラーポイントを獲得。選手権ではトップのチームとの差を8ポイントに縮めることに成功した。

豊田 章男(チーム総代表)
FIA世界耐久選手権(WEC)、FIA世界ラリー選手権(WRC)と、TOYOTA GAZOO Racingは1つの週末で2つの世界選手権に勝利することができました。2つ同時に勝つことに強い拘りは持っていませんでした。しかし、今年の6月、私は、目前でそれを逃す姿を目の当たりにしていました。ル・マン24時間レースをワンツー体制で走る中、WRCイタリアで最後までトップを走ってくれていたオット・タナック選手がストップしてしまった時のことです。タナック選手の走りには絶対の信頼を置いています。ですので、私も勝利を確信し、彼の走りを見守っていました。しかし、車両トラブルで、私たちは彼から勝利を奪ってしまいました。今回、そのことを思い出し、2つの世界選手権が同時に行われるこの週末は、いずれの戦いも、絶対に無事にゴールまで走り抜け、勝利してもらいたいと思っていました。#8号車のセバスチャン・ブエミ選手、中嶋 一貴選手、ブレンドン・ハートレー選手、#7号車のマイク・コンウェイ選手、小林 可夢偉選手、ホセ・マリア・ロペス選手、重たいハンデを背負い、決して簡単ではないワンツーフィニッシュを本当にありがとう。土曜日にみんなと会い、改めて6人をはじめとした皆のチームワークを感じました。今後、更に重たいハンデが課されますが、そのチーム力で乗り越えていきましょう。激しい風雨で難しさを極める路面の中、チームとクルマを信じて優勝してくれたオット・タナック選手、マルティン・ヤルヴェオヤ選手。前戦トルコでも車両トラブルで勝利を遠ざけてしまっていたので、今回、勝利してくれたこと、本当にうれしく思います。残り2戦、なんとしても君たちを勝たせたい。改めてもっと安心して乗れるクルマをチームみんなでつくっていきたいと思います。様々な世界戦が行われたこの週末に、我々の2つの世界戦も応援いただいたファンの皆さま、本当にありがとうございました。引き続き、ご支援よろしくお願いいたします。

トミ・マキネン(チーム代表)
信じられないくらい素晴らしいラリーでした。ラリーGBは最も難しいラリーのひとつですが、オットは重圧に負けず終始ラリーを支配下に置き、自分の仕事を完遂しました。最後のパワーステージは本当に興奮し、まだ心臓がドキドキしているほどですが、オットは素晴らしい走りで最大ポイントを獲得し、ドライバーズ選手権争いで有利な立場となりました。昔、自分が同じような状況に置かれた時は精神的に本当に辛く大変でしたが、彼は全てにおいて上手くやっています。クリスの仕事も素晴らしく、我々にマニュファクチャラーポイントをもたらしてくれました。今シーズンはまだ2戦ありますが、集中力を高め全力で臨まなくてはなりません。

オット・タナック(ヤリスWRC #8号車)
優勝できて最高の気分です。我々のために、多くの人が働き努力を続けてきたので、最大ポイント獲得でそれに報いることができて嬉しく思います。パワーステージではクルマに大きな自信を感じていたので、フルポイント獲得の好機を逃すわけには行きませんでした。我々のチームは“pushing the limits for better”というスローガンを掲げていますが、自分も常にベストを尽くそうと努力しています。今シーズンはまだ2戦残っており、何も決まってはいないので、これからも集中して攻め続ける必要があります。

クリス・ミーク(ヤリスWRC #5号車)
金曜日の大部分をリードしていたので、4位という結果は少々残念ではありますが、それでも満足しています。今週末は本当に難しいコンデイションでの戦いでした。大きく遅れたわけではなく、土曜日に少しペースが足らなかっただけですが、それでもチームに多くのポイントをもたらす事ができました。オットの優勝を嬉しく思いますし、マニュファクチャラー選手権でトップとの差を縮める事が出来たので、収穫の多い週末になったと思います。残る2戦、まずはスペインで力強く戦い、良い形でシーズンを終えられることを願っています。

ラリー・グレートブリテン デイ4の結果
1.オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(トヨタ ヤリス WRC) 3h00m58.0s
2.ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +10.9s
3.セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC) +23.8s
4.クリス・ミーク/セブ・マーシャル(トヨタ ヤリス WRC) +35.6s
5.エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(フォード フィエスタ WRC) +48.6s
6.アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー(ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +58.2s
7.ポントゥス・ティディマンド/オーラ・フローネ(フォード フィエスタ WRC) +5m23.8s
8.クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル(ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +9m25.0s
9.カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(シュコダ ファビア R5) +10m51.1s
10.ペター・ソルベルグ/フィル・ミルズ(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +11m36.1s

次戦のWRC
WRC次戦は、10月25日(金)から27日(日)にかけて開催される、第13戦「ラリー・スペイン」。スペインのサロウを中心に行なわれるこのラリーは、WRC唯一のミックスサーフェス・イベント。競技初日のデイ1はグラベル(未舗装路)ラリーとして行われ、1日の終わりには75分間のサービスでクルマをグラベル仕様からターマック(舗装路)仕様に変更。デイ2とデイ3はターマックラリーとして行なわれる。スペインのターマックは全体的に路面がスムーズで、流れるような中高速コーナーが連続する、サーキットのようなステージが特長だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)