アウディ・ヌヴォラーリ F1技術投入の1001PSスーパーカーを発表

499台限定で生産され、2027年前半から納車を開始する予定だ。アウディはこのモデルを通じて、2026年から参戦するF1プログラムで培った技術を市販車へ展開する姿勢を鮮明に打ち出している。
F1プロジェクトを背景に誕生した1001PSのスーパーカー
アウディ・ヌヴォラーリは4.0リッターV8ツインターボエンジンと3基のアキシャルフラックスモーターを組み合わせた高性能ハイブリッドシステムを採用する。
V8エンジン単体で800hpを発生し、システム全体では736kW(1001PS)を実現。0-100km/h加速は2.6秒、0-200km/h加速は6.8秒、最高速度は350km/hを超える。
エンジンは最大10,000rpmまで回転し、従来はモータースポーツ専用だった領域に踏み込んでいる。
AUDI AG取締役会会長のゲルノート・デルナーは次のように語った。
「アウディ・ヌヴォラーリによって、私たちは技術の進歩を加速させている。技術、パフォーマンス、そしてチームワークによる実行力に焦点を当てたときに何が実現できるのかを示している」
F1由来の技術を市販車へ投入
アウディはアウディ・ヌヴォラーリについて、「F1にインスパイアされた技術」を数多く採用したモデルだと説明している。
その代表例がアクティブエアロダイナミクスだ。
展開式リアウイングはクローズド、ローダウンフォース、ハイダウンフォースの3段階で作動し、F1でおなじみのDRS(ドラッグ・リダクション・システム)も搭載する。高速走行時には空気抵抗を低減し、最高速度と効率の向上に貢献する。
また、ハイダウンフォース設定では400kg以上のダウンフォースを発生させるという。
さらに、開発段階ではアウディのF1ドライバーからフィードバックを受けながら空力性能の最適化が進められた。

ERSの思想を取り入れたハイブリッドシステム
アウディ・ヌヴォラーリのハイブリッドシステムにもF1との共通点が見られる。
現在のF1パワーユニットは内燃エンジンと電動システムを組み合わせたハイブリッド構成を採用しているが、アウディ・ヌヴォラーリも3基の電動モーターとV8エンジンを統合制御することでパフォーマンスを最大化している。
エネルギー回生によって蓄えた電力を加速時に活用する制御思想は、F1のERS(エネルギー回生システム)にも通じるものだ。
アウディはローンチコントロール機能についても、F1由来のコンセプトを採用していると説明している。
ブレーキ・バイ・ワイヤとカーボン技術
ブレーキシステムにもモータースポーツ由来の技術が投入された。
アウディ・ヌヴォラーリはブレーキ・バイ・ワイヤシステムを採用し、回生ブレーキと油圧ブレーキを統合制御する。これは2014年以降のF1で使用されているシステムと同じ考え方だ。
また、新開発のAudi セラミック プロ ブレーキ システムは最大2.8メガワットのエネルギー吸収能力を持ち、アウディは「現在のF1カーと同レベル」と説明している。
車体構造にはアウディ伝統のASF(アウディ・スペース・フレーム)を発展させたカーボンエクステリアASFを採用。ほぼすべての外装部品にCFRPを使用し、F1マシンの製造でも用いられるプリプレグ・オートクレーブ技術によって成形される。
F1参戦が市販車開発の推進力に
アウディは2026年からF1にワークス参戦しているが、アウディ・ヌヴォラーリはその技術的成果を象徴するモデルとして位置付けられている。
AUDI AG CTOのルーヴェン・モールは、F1プロジェクトと市販車開発の関係について次のように説明した。
「我々チーム全体の技術的な専門知識、革新的な強み、そして献身的な姿勢を示した。これは車両性能だけでなく、F1にインスパイアされた技術を迅速かつ正確に市販モデルへ導入した能力にも表れている」
アウディ・ヌヴォラーリは、単なる限定生産のスーパーカーではない。アウディがF1参戦によって得た知見をロードカーへ反映する最初の象徴的なモデルとして、ブランドの技術力と将来像を示す存在となりそうだ。
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