勝田貴元・新井大輝 ラリー・スウェーデン WRC2
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元・新井大輝が、2月9-12日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦、ラリー・スウェーデンのWRC2クラスにフォード・フィエスタR5で参戦し、新井、グレン・マクニール組がクラス7位、総合19位、勝田、マルコ・サルミネン組がクラス9位、総合22位で2台揃って完走を果たした。

昨年夏のWRCラリー・フィンランドに続き、二人にとって二度目のFIA世界ラリー選手権への挑戦となったラリー・スウェーデンは、雪と氷で覆われた路面で行われるラリーとして知られるが、近年は積雪が少なく路面がグラベルと化すステージもあり、従来以上にチャレンジングなラリーとなることもある。2017年のラリー・スウェーデンは、飛距離を計測することで有名なジャンプポイントのコリンズ・クレストを含むステージなど、4日間で合計18本のスペシャルステージ(SS)、総SS距離331.74?で競われ、両選手にとっては運転技術とペースノートのトレーニングに加え、世界レベルのドライバーに求められる集中力と体力面での訓練にもなった。

両選手は先月もスノーラリーであるArctic Lapland Rally(フィンランドラリー選手権第1戦)に参戦し経験を積んだが、今回のラリーでは、前戦で使用したスノータイヤよりも幅の広い世界選手権用のスノータイヤを使用した。これにより、二人は新しいグリップレベルに慣れることが必要となった。またチャレンジングなスウェーデンのステージの数々で、パンクを避け、スタッドをなるべく残すように走行することも求められた。

勝田はデイ2にパンクを喫し、ステージ内でのタイヤ交換を余儀なくされたり、スノーバンクへのスタックやスピンなど、様々なアクシデントに見舞われたが、デイ3以降は安定した走りを見せ、コリンズ・クレストではWRCクラスを含めても2番目に長い42mのビッグジャンプで観客を沸かせた。一方、新井はデイ2での2度のスローパンクチャー、デイ3でのスピンやロアアーム損傷など、度重なるトラブルを経験したが、いくつかのステージでは同クラスのトップレベルの選手に引けを取らないタイムを出し、成長を印象づけた。勝田、新井ともに難しいコンディションと新しい挑戦の中、大いに健闘し、また一歩経験を積み重ねた。

二人は次回、3月16-19日に開催されるイタリアラリー選手権第1戦 Rally Del CioccoへR2車両(フォード・フィエスタ)で参戦する。当プログラムとしては初めてのターマック戦への挑戦となる。

勝田貴元
今回も多くの点で勉強になったラリーでした。スウェーデンの道はラップランドの雪道とは同じ雪道でも全く違いました。スノーバンクが少なく、ところどころグラベルになっていて、思った以上に滑りやすかったです。また、WRカーが走った後の道はわだちもきつく、路面の変化が著しかったです。それでも日を追うごとに少しずつコツがつかめてきました。マルコとのコンビネーションも日に日に良くなっています。トラブルはたくさんありましたが、色んな経験をしながらこのラリーを走り切れたことは自信になり、次につながる大きなイベントになりました。

新井大輝
色々アクシデントはありましたが、初めてWRCラリーを完走できてうれしいです。雪道とグラベルの混じった道は思った以上にタイヤへの影響が大きく、2度もスローパンクチャーに見舞われました。また、ペースノートは悪くなかったと思いますが、想像以上に路面が滑りやすく、何度かスピンもしてしまいました。ですが、今回の経験で、トラブルが起きたときに自分がどうすれば車をゴールまで運べるかを考え、運転だけでなく自分で車を理解することも重要だと学びました。だんだんリラックスして、自然な運転ができるようになったら良いタイムも出せるようになりました。今後の課題を多く見つけることができた収穫の多いラリーでした。

ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター)
今回のラリーで二人のドライバーが成し遂げた成長をうれしく思います。特にうれしかったのは、2台ともスタート時と変わらない姿で戻ってきてくれたことです。WRCという舞台で、長距離かつ様々な路面を走り切ることは、彼らにとって非常に意味のあることです。両ドライバーとも、経験の少なさから、スノーバンクにスタックしたり、走りが安定しなかったりということはまだありますが、これらは成長のために必要な過程です。今回の長く過酷なラリーは、精神面でも二人を成長させました。彼らは、このスウェーデンの、難しく、体力を消耗させるコンディションの中で集中力を保つことを学んだはずです。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)