トヨタ:WEC第4戦 ニュルブルクリンク6時間レース プレビュー
FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ニュルブルクリンク6時間レースが8月30日(日)、ドイツ・アイフェル山中のニュルブルクリンク・サーキットで開催される。
2014年のチャンピオン・チームであるTOYOTA GAZOO Racingは、2台のTS040 HYBRIDと共に参戦する。ニュルブルクリンクはTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)の本拠地があるケルンから南に僅か90kmの距離。
WECの主役であるLMP1カテゴリーに参戦するアウディ、ポルシェ、トヨタの3メーカーはいずれもドイツに本拠地を構えているが、そのドイツではこれまでWECが開催されていなかった。スポーツプロトタイプカーによるレースが最後に行われたのは1991年。当時は世界スポーツカー選手権と呼ばれ、レースは1000kmの距離で争われていた。しかし、ニュルブルクリンクにおけるスポーツカーレースの歴史は古く、初開催は1953年。有名な北コース(ノルドシュライフェ)が1984年まで使用され、全長20kmを越える山岳コースの最速タイムはいまでもスポーツプロトタイプカーが持っている。
今回のニュルブルクリンク6時間レースは、6月に行われたル・マン24時間レースから、実に10週間のブランクを経て開催されることになる。トヨタはこのレースに向けて7月にニュルブルクリンクで2日間のテストを行い、TS040 HYBRIDのセットアップやタイヤ選択のために十分なデータを収集して来た。
2台のTS040 HYBRIDは、1号車にアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴が乗り、2号車にはアレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイが乗る。1号車のドライバー達は今シーズン2度目の表彰台を狙い、2号車のドライバー達は初の表彰台を目指す。
今週末のニュルブルクリンク6時間レースは、ツーリングカーによる24時間レース等で有名な北コースは使用されず、1周5.148kmのグランプリ・コースで行われる。このコースは概してコース幅が狭く、コーナーが16もあり、速度の遅いLMP2やGTと混走するLMP1はドライバーの腕の見せどころともいえる。ただし、TOYOTA GAZOO Racingのドライバーは全員このコースでレースをした経験があり、自信を持ってレースに臨む。
週末のスケジュールは8月28日(金)に90分間の公式練習走行が2回行われ、翌29日(土)の午前中にもう一度60分間の公式練習走行が行われる。午後には20分間の公式予選が行われ、決勝レースのグリッド順位が決まる。決勝レースは30日(日)、午後1時にスタートする。
佐藤俊男 (チーム代表)
夏の休暇が終わって再びサーキットに戻って来ることが出来て喜んでいます。ル・マンでの疲れはすっかり癒すことが出来、やる気満々です。ここニュルブルクリンクのレースはTMGから近いこともあり、富士スピードウェイのレースに次ぐ、TOYOTA GAZOO Racingのホームレースということが出来ます。TMGやドイツ・トヨタから近いこともあり、多くの声援を得られ、我々の士気も高まっています。厳しいレースになるでしょうが、アウディ、ポルシェに真っ向から勝負を挑みます。ニュルブルクリンクで行ったテストの結果も良く、準備万端です。このレースは2015年シーズン後半戦のスタートを意味するので、素晴らしい週末になることを期待しています。
アンソニー・デビッドソン(TS040 HYBRID #1)
2007年以来、ニュルブルクリンクのコースをレースでは走っていないので、戻って来られて嬉しく思います。TS040 HYBRIDでこの伝統あるコースを走るのは初めてで、このタイトなコースを走るのはル・マンとは全く違う経験になると思います。ドライバーには非常に有名な古い歴史のあるサーキットのひとつであり、また、トリッキーなコースでもあります。こういうコースは雰囲気も良く、クルマやレースを良く知っているファンも多く、いつも訪れるのが楽しみです。これまで、ここでWECのレースをしていないことからもドイツのファンが我々のレースに興味がないわけはないと思います。たくさんの応援を楽しみにしています。
セバスチャン・ブエミ(TS040 HYBRID #1)
ニュルブルクリンクに行くのが非常に楽しみです。素晴らしいサーキットであり、私はF3やF1で何度も走っています。易しいコースではないですし、ここをLMP1で走るのはすごいことだと思います。ドイツのファンの皆さんの前で走れるのは、とても嬉しいことです。大きなイベントになると思います。唯一、私がちょっと心配なのは天気です。正直言ってドイツ・アイフェル地方の天候は特別です。以前、5月なのに雪のためテストが出来なかったという記憶があります。今週末に雪は降らないとは思いますが、ニュルブルクリンクの天気はどうなるか、分かりません。
中嶋一貴(TS040 HYBRID #1)
長い夏季休暇の後、またTS040 HYBRIDに乗ることが出来るのが嬉しいですね。私には、休んで活力を取り戻す機会もあったのですが、スーパーフォーミュラで忙しく、数週間前には富士で2位フィニッシュしました。表彰台に上がるのは良いものですね。日曜日にはアンソニーとセバスチャンと共に、また表彰台を狙いたいと思っています。簡単には行かないでしょうが、WECにとっては新しいコースでもあり、チャンスもあると思います。WECシリーズにとってニュルブルクリンクは初めてですが、私はF3やGP2の頃から良く知っています。シングルシーターのレースカーでの戦いと比べてもっとも違うのは、ニュルブルクリンクはそんなに幅広いコースではないので、面白いチャレンジになりそうだ、ということです。
アレックス・ブルツ(TS040 HYBRID #2)
私はフォーミュラフォードやF3を戦っていた10代の頃、2年間ニュルブルクに住んでいたことがあります。ストレートのスタート・フィニッシュラインから僅か200m程のところだったので、この辺りのことは良く知っていますし、戻れるのは嬉しいことです。ニュルブルクリンクでは何度か勝ったこともありますし、いつも良い時間を過ごして来ました。ニュルブルクリンクにはスポーツカーによる1000kmレースという偉大な伝統を持つレースがありましたが、その同じサーキットでLMP1カーでレースが出来ることは素晴らしいことです。TMGからも多くのスタッフが応援に来てくれるでしょうし、我々にとっての第2のホームレースを楽しみにしています。
ステファン・サラザン(TS040 HYBRID #2)
LMP1カーで最後にニュルブルクリンクを走ったのは2007年と2008年のことで、私はその両レースで勝ちました。LMP1カーとの良い思い出があるニュルブルクリンクは好きなコースですし、再びWECの1戦としてカレンダーに加わったことを喜んでいます。ニュルブルクリンクのコース自体は、ほとんどのWECドライバーが良く知っているとは思いますが、LMP1カーで走るというのは、シングルシーターやGTで戦うのとは全く異なります。素晴らしい挑戦ですし、楽しみにしています。我々のTS040 HYBRIDはコースに向いていると思いますが、正直なところレースがどうなるかを予想するのは困難です。シーズンの序盤戦は我々にとって非常に厳しいものになりましたが、それだけに、我々は戦い続け、表彰台に戻るべくハードにプッシュする必要があります。
マイク・コンウェイ(TS040 HYBRID #2)
ドイツでレースが出来るというのは素晴らしいことだと思います。LMP1を戦っている4つのマニュファクチャラーのうち3つのチームがドイツをベースとしているからです。ファンにとっても、応援すべき母国のチームを多く持つということは素晴らしいことでしょう。ニュルブルクリンクで、LMP1カーがどのような走りを見せるのか楽しみです。ニュルブルクリンクは良いコースで路面グリップも高く、我々のTS040 HYBRIDにも向いているはずです。先月行われたテストで、チームはいくつかの有意義な情報を得ており、レースウィークにどれだけ進化させられるか楽しみです。ファンが楽しんでくれることと、ニュルブルクリンクを舞台としたWECの長い成功へのスタートになることを望んでいます。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
2014年のチャンピオン・チームであるTOYOTA GAZOO Racingは、2台のTS040 HYBRIDと共に参戦する。ニュルブルクリンクはTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)の本拠地があるケルンから南に僅か90kmの距離。
WECの主役であるLMP1カテゴリーに参戦するアウディ、ポルシェ、トヨタの3メーカーはいずれもドイツに本拠地を構えているが、そのドイツではこれまでWECが開催されていなかった。スポーツプロトタイプカーによるレースが最後に行われたのは1991年。当時は世界スポーツカー選手権と呼ばれ、レースは1000kmの距離で争われていた。しかし、ニュルブルクリンクにおけるスポーツカーレースの歴史は古く、初開催は1953年。有名な北コース(ノルドシュライフェ)が1984年まで使用され、全長20kmを越える山岳コースの最速タイムはいまでもスポーツプロトタイプカーが持っている。
今回のニュルブルクリンク6時間レースは、6月に行われたル・マン24時間レースから、実に10週間のブランクを経て開催されることになる。トヨタはこのレースに向けて7月にニュルブルクリンクで2日間のテストを行い、TS040 HYBRIDのセットアップやタイヤ選択のために十分なデータを収集して来た。
2台のTS040 HYBRIDは、1号車にアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴が乗り、2号車にはアレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイが乗る。1号車のドライバー達は今シーズン2度目の表彰台を狙い、2号車のドライバー達は初の表彰台を目指す。
今週末のニュルブルクリンク6時間レースは、ツーリングカーによる24時間レース等で有名な北コースは使用されず、1周5.148kmのグランプリ・コースで行われる。このコースは概してコース幅が狭く、コーナーが16もあり、速度の遅いLMP2やGTと混走するLMP1はドライバーの腕の見せどころともいえる。ただし、TOYOTA GAZOO Racingのドライバーは全員このコースでレースをした経験があり、自信を持ってレースに臨む。
週末のスケジュールは8月28日(金)に90分間の公式練習走行が2回行われ、翌29日(土)の午前中にもう一度60分間の公式練習走行が行われる。午後には20分間の公式予選が行われ、決勝レースのグリッド順位が決まる。決勝レースは30日(日)、午後1時にスタートする。
佐藤俊男 (チーム代表)
夏の休暇が終わって再びサーキットに戻って来ることが出来て喜んでいます。ル・マンでの疲れはすっかり癒すことが出来、やる気満々です。ここニュルブルクリンクのレースはTMGから近いこともあり、富士スピードウェイのレースに次ぐ、TOYOTA GAZOO Racingのホームレースということが出来ます。TMGやドイツ・トヨタから近いこともあり、多くの声援を得られ、我々の士気も高まっています。厳しいレースになるでしょうが、アウディ、ポルシェに真っ向から勝負を挑みます。ニュルブルクリンクで行ったテストの結果も良く、準備万端です。このレースは2015年シーズン後半戦のスタートを意味するので、素晴らしい週末になることを期待しています。
アンソニー・デビッドソン(TS040 HYBRID #1)
2007年以来、ニュルブルクリンクのコースをレースでは走っていないので、戻って来られて嬉しく思います。TS040 HYBRIDでこの伝統あるコースを走るのは初めてで、このタイトなコースを走るのはル・マンとは全く違う経験になると思います。ドライバーには非常に有名な古い歴史のあるサーキットのひとつであり、また、トリッキーなコースでもあります。こういうコースは雰囲気も良く、クルマやレースを良く知っているファンも多く、いつも訪れるのが楽しみです。これまで、ここでWECのレースをしていないことからもドイツのファンが我々のレースに興味がないわけはないと思います。たくさんの応援を楽しみにしています。
セバスチャン・ブエミ(TS040 HYBRID #1)
ニュルブルクリンクに行くのが非常に楽しみです。素晴らしいサーキットであり、私はF3やF1で何度も走っています。易しいコースではないですし、ここをLMP1で走るのはすごいことだと思います。ドイツのファンの皆さんの前で走れるのは、とても嬉しいことです。大きなイベントになると思います。唯一、私がちょっと心配なのは天気です。正直言ってドイツ・アイフェル地方の天候は特別です。以前、5月なのに雪のためテストが出来なかったという記憶があります。今週末に雪は降らないとは思いますが、ニュルブルクリンクの天気はどうなるか、分かりません。
中嶋一貴(TS040 HYBRID #1)
長い夏季休暇の後、またTS040 HYBRIDに乗ることが出来るのが嬉しいですね。私には、休んで活力を取り戻す機会もあったのですが、スーパーフォーミュラで忙しく、数週間前には富士で2位フィニッシュしました。表彰台に上がるのは良いものですね。日曜日にはアンソニーとセバスチャンと共に、また表彰台を狙いたいと思っています。簡単には行かないでしょうが、WECにとっては新しいコースでもあり、チャンスもあると思います。WECシリーズにとってニュルブルクリンクは初めてですが、私はF3やGP2の頃から良く知っています。シングルシーターのレースカーでの戦いと比べてもっとも違うのは、ニュルブルクリンクはそんなに幅広いコースではないので、面白いチャレンジになりそうだ、ということです。
アレックス・ブルツ(TS040 HYBRID #2)
私はフォーミュラフォードやF3を戦っていた10代の頃、2年間ニュルブルクに住んでいたことがあります。ストレートのスタート・フィニッシュラインから僅か200m程のところだったので、この辺りのことは良く知っていますし、戻れるのは嬉しいことです。ニュルブルクリンクでは何度か勝ったこともありますし、いつも良い時間を過ごして来ました。ニュルブルクリンクにはスポーツカーによる1000kmレースという偉大な伝統を持つレースがありましたが、その同じサーキットでLMP1カーでレースが出来ることは素晴らしいことです。TMGからも多くのスタッフが応援に来てくれるでしょうし、我々にとっての第2のホームレースを楽しみにしています。
ステファン・サラザン(TS040 HYBRID #2)
LMP1カーで最後にニュルブルクリンクを走ったのは2007年と2008年のことで、私はその両レースで勝ちました。LMP1カーとの良い思い出があるニュルブルクリンクは好きなコースですし、再びWECの1戦としてカレンダーに加わったことを喜んでいます。ニュルブルクリンクのコース自体は、ほとんどのWECドライバーが良く知っているとは思いますが、LMP1カーで走るというのは、シングルシーターやGTで戦うのとは全く異なります。素晴らしい挑戦ですし、楽しみにしています。我々のTS040 HYBRIDはコースに向いていると思いますが、正直なところレースがどうなるかを予想するのは困難です。シーズンの序盤戦は我々にとって非常に厳しいものになりましたが、それだけに、我々は戦い続け、表彰台に戻るべくハードにプッシュする必要があります。
マイク・コンウェイ(TS040 HYBRID #2)
ドイツでレースが出来るというのは素晴らしいことだと思います。LMP1を戦っている4つのマニュファクチャラーのうち3つのチームがドイツをベースとしているからです。ファンにとっても、応援すべき母国のチームを多く持つということは素晴らしいことでしょう。ニュルブルクリンクで、LMP1カーがどのような走りを見せるのか楽しみです。ニュルブルクリンクは良いコースで路面グリップも高く、我々のTS040 HYBRIDにも向いているはずです。先月行われたテストで、チームはいくつかの有意義な情報を得ており、レースウィークにどれだけ進化させられるか楽しみです。ファンが楽しんでくれることと、ニュルブルクリンクを舞台としたWECの長い成功へのスタートになることを望んでいます。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)