WEC:トヨタ 2021年 第2戦 ポルティマオ8時間 公式練習レポート
2021年シーズン FIA 世界耐久選手権(WEC) 第2戦 ポルティマオ8時間レースの公式練習走行1回目が6月11日(金)にポルトガルのポルティマオ近郊に位置するアルガルヴェ・サーキット行われ、TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ)のGR010 HYBRIDは8号車が3番手、7号車が4番手で初日を終えた。
1か月前に今季開幕戦として行われたスパ・フランコルシャン6時間レースで、ハイパーカー新時代での記念すべき初勝利を挙げたトヨタとGR010 HYBRIDは、ハイパーカーカテゴリーにおいて、LMP1アルピーヌに加え、新たなライバルとして、今大会はスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスを迎える。
走行が開始された11日(金)は、90分間の公式練習1回目が実施され、LMP2クラスのイオタ38号車が1分33秒752でトップタイム。0.029秒遅れの2番手にアルピーヌの36号車が続いた。この日のセッションは非常に接近したものとなり、トップ10台が1秒以内のタイムとなった。
開幕戦スパ6時間を制したセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車はトップと0.048秒差の3番手、ディフェンディングシリーズチャンピオンであるマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの7号車はトップと0.055秒という僅差で4番手に続いた。
トヨタにとって記念すべき世界耐久選手権100戦目となるこのポルティマオ8時間レース、ポルトガルでのWECは初開催となるが、トヨタにとって、ここポルティマオは馴染みのあるコースだ。
チームは2012年にWECプロジェクトを開始して以来、ここポルティマオで定期的にテストを行っており、12月に行われたGR010 HYBRIDにとって初のフル走行テストもポルティマオだった。とはいえ、今日の公式練習走行が1周4.653kmのアルガルヴェ・サーキットでのWEC初の公式セッションとなる。
12月のテスト時に比べて当然路面温度は高くなり、この日は約50度に達した。GR010 HYBRIDは12月のテスト時に比べ、車両セットアップや制御系のセッティングを改良し、ドライバーはこれまでの走行データとの比較や調整に多くの時間を費やした。
チームはまた、今大会に向けてGR010 HYBRIDへ設定されたバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整)により開幕戦スパと比較して、車両重量26kg増、そして1スティントあたり使用できるエネルギーが2MJ減、最大出力が5kW減とされたため、その対応も行う必要があった。
公式練習走行中、アクシデントによるフルコースイエローに阻まれることもあったが、チームは決勝レースへ向け、車両のセッティングを最適化するための充分なデータを得るべく、暑いコンディションにおけるタイヤのパフォーマンスとタイヤ摩耗テストも行いながら、様々なメカニカル及び空力面でのセットアップの組み合わせを試した。
この日、6人のドライバー全員が交代でステアリングを握り、32台が出場する、他のサーキットに比べて1周が短い、アップダウンの激しいコース上のトラフィックなどを経験。最終的に2台のGR010 HYBRIDは、合計で75周、349kmを走破した。
公式練習は12日(土)にも2度行われ、その後、1人のドライバーがアタックしたタイムでグリッドを決定する予選、そして13日(日)に8時間の決勝レースが行われる。
小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
良いレースウィークのスタートを切ることができ、クリーンなセッションでした。チームはしっかりとクルマを準備してくれたので、今日のセッションは全くトラブル無く、多くのデータを収集できました。まだ決勝レースへ向け改良するためにすべきことは多いですが、ポジティブなスタートが切れましたし、ここまでは全てに満足しています。
マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
順調なセッションでした。前回最後にここを走ったのは冬だったので、暖かいコンディションで走れて良かったです。ただ、セットアップの面ではこれまでとは違うものが求められるでしょう。全ての車両が一斉にコースを走ることになるので、タフなレースになるでしょうし、そのトラフィックの中でクリアラップを得るのは運も必要になりそうです。大変なレースになるでしょうが、これも耐久レースです。
ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
私自身は今日数周しかしていないので、自分のスティントについてはあまり話すことはありません。今日のような高い温度での路面の感触を確認することはできましたが、あまりグリップは高くありませんでした。我々は予定されていたプログラムをこなし、マイクと可夢偉が多くのデータを集めてくれたので、今夜それらを分析します。私にとっては静かな一日でしたが、明日は変わるでしょう。
中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
セッション終盤のコースインで、フルコースイエローが出てしまったので、私自身はあまり多くの周回をこなすことができませんでした。個人的にはまだフィーリングを掴むまでには到っていませんが、セバスチャンとブレンドンによれば、路面温度により、タイヤの感触がかなり違うようです。これから車両の最適化を進める必要がありますし、まだまだ学んでいる最中です。路面コンディションが我々にとって良い方向へと改善してくれることを願っています。コース上のトラフィックはかなり厳しいでしょうし、予選も決勝も、我々にとって大きなチャレンジとなるでしょう。
セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
今日は充分な周回をこなせたとは言えませんが、我々はこれまでにここポルティマオである程度データを得ています。とはいえ今回はテストの時とは違い、夏の暑いコンディションなので、その点での違いはあります。特に大きく違うのはタイヤで、車の挙動も異なります。しかし我々はそれらを学び、これまでのところ順調です。今日は、分析すべき多くのデータを得ることが出来ました。
ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
フルコースイエローでセッションが中断されることもありましたが、それ以外はとてもクリーンなセッションで、我々の車両もノートラブルでした。バランス面でまだ少し改良の必要があります。この週末は路面温度が非常に高く、タイヤの選択が難しそうです。また、コース上のトラフィックも難敵で、それがこの週末の鍵になると思われます。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
1か月前に今季開幕戦として行われたスパ・フランコルシャン6時間レースで、ハイパーカー新時代での記念すべき初勝利を挙げたトヨタとGR010 HYBRIDは、ハイパーカーカテゴリーにおいて、LMP1アルピーヌに加え、新たなライバルとして、今大会はスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスを迎える。
走行が開始された11日(金)は、90分間の公式練習1回目が実施され、LMP2クラスのイオタ38号車が1分33秒752でトップタイム。0.029秒遅れの2番手にアルピーヌの36号車が続いた。この日のセッションは非常に接近したものとなり、トップ10台が1秒以内のタイムとなった。
開幕戦スパ6時間を制したセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車はトップと0.048秒差の3番手、ディフェンディングシリーズチャンピオンであるマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの7号車はトップと0.055秒という僅差で4番手に続いた。
トヨタにとって記念すべき世界耐久選手権100戦目となるこのポルティマオ8時間レース、ポルトガルでのWECは初開催となるが、トヨタにとって、ここポルティマオは馴染みのあるコースだ。
チームは2012年にWECプロジェクトを開始して以来、ここポルティマオで定期的にテストを行っており、12月に行われたGR010 HYBRIDにとって初のフル走行テストもポルティマオだった。とはいえ、今日の公式練習走行が1周4.653kmのアルガルヴェ・サーキットでのWEC初の公式セッションとなる。
12月のテスト時に比べて当然路面温度は高くなり、この日は約50度に達した。GR010 HYBRIDは12月のテスト時に比べ、車両セットアップや制御系のセッティングを改良し、ドライバーはこれまでの走行データとの比較や調整に多くの時間を費やした。
チームはまた、今大会に向けてGR010 HYBRIDへ設定されたバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整)により開幕戦スパと比較して、車両重量26kg増、そして1スティントあたり使用できるエネルギーが2MJ減、最大出力が5kW減とされたため、その対応も行う必要があった。
公式練習走行中、アクシデントによるフルコースイエローに阻まれることもあったが、チームは決勝レースへ向け、車両のセッティングを最適化するための充分なデータを得るべく、暑いコンディションにおけるタイヤのパフォーマンスとタイヤ摩耗テストも行いながら、様々なメカニカル及び空力面でのセットアップの組み合わせを試した。
この日、6人のドライバー全員が交代でステアリングを握り、32台が出場する、他のサーキットに比べて1周が短い、アップダウンの激しいコース上のトラフィックなどを経験。最終的に2台のGR010 HYBRIDは、合計で75周、349kmを走破した。
公式練習は12日(土)にも2度行われ、その後、1人のドライバーがアタックしたタイムでグリッドを決定する予選、そして13日(日)に8時間の決勝レースが行われる。
小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
良いレースウィークのスタートを切ることができ、クリーンなセッションでした。チームはしっかりとクルマを準備してくれたので、今日のセッションは全くトラブル無く、多くのデータを収集できました。まだ決勝レースへ向け改良するためにすべきことは多いですが、ポジティブなスタートが切れましたし、ここまでは全てに満足しています。
マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
順調なセッションでした。前回最後にここを走ったのは冬だったので、暖かいコンディションで走れて良かったです。ただ、セットアップの面ではこれまでとは違うものが求められるでしょう。全ての車両が一斉にコースを走ることになるので、タフなレースになるでしょうし、そのトラフィックの中でクリアラップを得るのは運も必要になりそうです。大変なレースになるでしょうが、これも耐久レースです。
ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
私自身は今日数周しかしていないので、自分のスティントについてはあまり話すことはありません。今日のような高い温度での路面の感触を確認することはできましたが、あまりグリップは高くありませんでした。我々は予定されていたプログラムをこなし、マイクと可夢偉が多くのデータを集めてくれたので、今夜それらを分析します。私にとっては静かな一日でしたが、明日は変わるでしょう。
中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
セッション終盤のコースインで、フルコースイエローが出てしまったので、私自身はあまり多くの周回をこなすことができませんでした。個人的にはまだフィーリングを掴むまでには到っていませんが、セバスチャンとブレンドンによれば、路面温度により、タイヤの感触がかなり違うようです。これから車両の最適化を進める必要がありますし、まだまだ学んでいる最中です。路面コンディションが我々にとって良い方向へと改善してくれることを願っています。コース上のトラフィックはかなり厳しいでしょうし、予選も決勝も、我々にとって大きなチャレンジとなるでしょう。
セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
今日は充分な周回をこなせたとは言えませんが、我々はこれまでにここポルティマオである程度データを得ています。とはいえ今回はテストの時とは違い、夏の暑いコンディションなので、その点での違いはあります。特に大きく違うのはタイヤで、車の挙動も異なります。しかし我々はそれらを学び、これまでのところ順調です。今日は、分析すべき多くのデータを得ることが出来ました。
ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
フルコースイエローでセッションが中断されることもありましたが、それ以外はとてもクリーンなセッションで、我々の車両もノートラブルでした。バランス面でまだ少し改良の必要があります。この週末は路面温度が非常に高く、タイヤの選択が難しそうです。また、コース上のトラフィックも難敵で、それがこの週末の鍵になると思われます。
WEC 第2戦ポルティマオ8時間 公式練習第1回目結果(総合順位)
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 38 | ロベルト・ゴンザレス アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ アンソニー・デビッドソン | イオタ/ Oreca 07-Gibson | 37 | 1:33.752 |
2 | 36 | アンドレ・ネグラオ ニコラス・ラピエール マシュー・バキシビエール | アルピーヌ・エルフ・マトムート/ アルピーヌ A480-Gibson | 28 | 1:33.781 |
3 | 8 | セバスチャン・ブエミ 中嶋一貴 ブレンドン・ハートレー | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 36 | 1:33.800 |
4 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ホセ・マリア・ロペス | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 39 | 1:33.807 |
5 | 34 | ヤコブ・シュミコウスキー ルイ・デレトラズ アレックス・ブランドル | インター・ユーロポル・コンペティション/ Oreca 07-Gibson | 37 | 1:33.979 |
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)