トヨタ:WRC 第3戦 クロアチア・ラリー デイ1 レポート
4月23日(金)、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦クロアチア・ラリーが開幕。首都ザグレブのサービスパークを中心に8本のステージが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が総合2位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位につけた。なお、開幕2戦が終了した段階でWRC史上最年少でドライバーズ選手権首位に立っていたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)は、コースオフによりリタイアとなった。
WRC初開催となるクロアチア・ラリーの初日は、サービスパークの南西エリアで4本のステージを各2回走行。8本のステージの合計距離は99.82kmだった。WRCでターマック(舗装路)のステージだけを走行する「フルターマックラリー」が行われるのは2019年の8月以来であり、WRC初開催イベントであることに加え、今シーズンから新たにワンメイクタイヤとなったピレリ・タイヤを履いてのラリーとなるため、各チームともデータが十分ではない状態で競技初日を迎えた。夜中に降った雨は朝までに上がり、金曜日は早朝から好天に恵まれた。しかし、午前中のステージに関しては一部に濡れた路面が残り、また、ドライ路面であっても舗装の状態が刻々と変化する、非常にトリッキーなコンディションとなった。
開幕2戦が終了した時点でドライバー選手権3位につけているオジエは、午前中のSS3でエバンスとベストタイムを分け合った。さらに、午後の再走ステージではSS6、7、8と3ステージ連続でベストタイムをマーク。記念すべきキャリア通算600本目のベストタイムを記録し、エバンスを抜いて首位と7.7秒差の総合2位でデイ1を走破した。
ドライバー選手権でオジエと同ポイントのエバンスは、3本のステージで2番手タイムを刻み、SS3ではオジエとベストタイムをシェア。1日を通して安定した走りを続け、オジエと僅か0.3秒差の総合3位につけた。また、ロバンペラはドライバー選手権のリーダーとして1番手でSS1に臨んだが、ステージ終盤の非常に滑りやすい右コーナーでコースオフ。ロバンペラとコ・ドライバーのヨンネ・ハルットゥネンに怪我はなかったが、クラッシュによるダメージがクルマのロールケージにまで及んだため、競技続行は不可能となりラリーからリタイアすることになった。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元はSS3終了時点で総合7位につけていた。しかし、その後ジャンクションでのオーバーシュートやエンジンのストールによって遅れ、総合9位で初日を終えた。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
今日の結果には概ね満足しています。戦いは非常に激しく、セバスチャンとエルフィンは首位のライバルを追い続けましたが、特に午後の再走ステージはとても良かったと思います。午前中のステージは予想していたように難しく、ステージは路面のグリップ変化が多く、ドライバーは大変だったと思います。しかし、サービスでセットアップを少し変更したところ、彼らはクルマに対して自信を持つことができたようです。明日、首位に挑むために非常にいい位置につけていると思います。残念ながら、カッレはこのラリーで多くの経験を積むことができませんでした。彼がコースオフしたのは非常にトリッキーな場所で、このようなことは十分起こり得るものです。何よりも重要なのは、カッレとヨンネが無事だったことです。あとはただ、前に進むしかありません。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
今朝は難しいスタートになりましたが、その後挽回することができたので満足しています。最初のステージでは、カッレがコースオフしたコーナーと同じ場所で、私も危ない目に遭いかけました。驚いたことに、そのコーナーは他よりもさらに滑りやすく、コーナリングラインがワイドに膨らみ、不運にもタイヤがホイールのリムから外れタイムを失ってしまいました。また、今朝はラリー前のテストで試していなかったセットアップで走りましたが、あまり満足することができず、その後サービスで経験のあるセットアップに戻したところ、すぐにフィーリングが好転しました。午後は調子が良く、首位戦いに参加できたので、明日もこの勢いを保ち続けたいと思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
完璧なラリー初日ではありませんでしたが、全体的には順調な1日だったと思います。午前中のステージは非常に難しくコンディションも変わりやすかったですが、とても良かったと思います。午後も悪くはなかったのですが、どのステージも数秒ずつ遅れ、特に午後好調だったセブと比べると差がついてしまいました。とはいえ全体的にクルマの調子は良く、明日に向けていくつか改善策を考えていますし、もちろん明日も戦い続けます。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
今日の1本目は非常にトリッキーで滑りやすく、アンダーステアが出やすいステージでした。ステージ終盤のダウンヒル区間でも攻め続けていたのですが、高速の右コーナーがとても滑りやすく、少し進入スピードが高すぎたこともあり、タイヤのグリップを失ってコースを外れ、大きなクラッシュを喫してしまいました。私とヨンネが無事だったのは不幸中の幸いでしたが、チームに対しては本当に申し訳なく思います。コースオフは自分のミスによるものですし、今後のためにこの経験から学ばなくてはなりません。
クロアチア・ラリー デイ1の結果
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 55m36.8s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +7.7s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +8.0s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +31.9s
5 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +54.8s
6 アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール (フォード フィエスタ WRC) +1m14.7s
7 ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン (フォード フィエスタ WRC) +1m21.7s
8 ピエール=ルイ・ルーベ/ヴィンセント・ランデ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m31.5s
9 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリス WRC) +2m23.2s
10 マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン(シトロエン C3 R5) +3m17.6s
R カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC)
明日のステージ情報
競技2日目となる4月24日(土)のデイ2は、サービスパークの南西エリアで、4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は121.92kmと、今大会最長1日となる。また、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は458.37kmとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
WRC初開催となるクロアチア・ラリーの初日は、サービスパークの南西エリアで4本のステージを各2回走行。8本のステージの合計距離は99.82kmだった。WRCでターマック(舗装路)のステージだけを走行する「フルターマックラリー」が行われるのは2019年の8月以来であり、WRC初開催イベントであることに加え、今シーズンから新たにワンメイクタイヤとなったピレリ・タイヤを履いてのラリーとなるため、各チームともデータが十分ではない状態で競技初日を迎えた。夜中に降った雨は朝までに上がり、金曜日は早朝から好天に恵まれた。しかし、午前中のステージに関しては一部に濡れた路面が残り、また、ドライ路面であっても舗装の状態が刻々と変化する、非常にトリッキーなコンディションとなった。
開幕2戦が終了した時点でドライバー選手権3位につけているオジエは、午前中のSS3でエバンスとベストタイムを分け合った。さらに、午後の再走ステージではSS6、7、8と3ステージ連続でベストタイムをマーク。記念すべきキャリア通算600本目のベストタイムを記録し、エバンスを抜いて首位と7.7秒差の総合2位でデイ1を走破した。
ドライバー選手権でオジエと同ポイントのエバンスは、3本のステージで2番手タイムを刻み、SS3ではオジエとベストタイムをシェア。1日を通して安定した走りを続け、オジエと僅か0.3秒差の総合3位につけた。また、ロバンペラはドライバー選手権のリーダーとして1番手でSS1に臨んだが、ステージ終盤の非常に滑りやすい右コーナーでコースオフ。ロバンペラとコ・ドライバーのヨンネ・ハルットゥネンに怪我はなかったが、クラッシュによるダメージがクルマのロールケージにまで及んだため、競技続行は不可能となりラリーからリタイアすることになった。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元はSS3終了時点で総合7位につけていた。しかし、その後ジャンクションでのオーバーシュートやエンジンのストールによって遅れ、総合9位で初日を終えた。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
今日の結果には概ね満足しています。戦いは非常に激しく、セバスチャンとエルフィンは首位のライバルを追い続けましたが、特に午後の再走ステージはとても良かったと思います。午前中のステージは予想していたように難しく、ステージは路面のグリップ変化が多く、ドライバーは大変だったと思います。しかし、サービスでセットアップを少し変更したところ、彼らはクルマに対して自信を持つことができたようです。明日、首位に挑むために非常にいい位置につけていると思います。残念ながら、カッレはこのラリーで多くの経験を積むことができませんでした。彼がコースオフしたのは非常にトリッキーな場所で、このようなことは十分起こり得るものです。何よりも重要なのは、カッレとヨンネが無事だったことです。あとはただ、前に進むしかありません。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
今朝は難しいスタートになりましたが、その後挽回することができたので満足しています。最初のステージでは、カッレがコースオフしたコーナーと同じ場所で、私も危ない目に遭いかけました。驚いたことに、そのコーナーは他よりもさらに滑りやすく、コーナリングラインがワイドに膨らみ、不運にもタイヤがホイールのリムから外れタイムを失ってしまいました。また、今朝はラリー前のテストで試していなかったセットアップで走りましたが、あまり満足することができず、その後サービスで経験のあるセットアップに戻したところ、すぐにフィーリングが好転しました。午後は調子が良く、首位戦いに参加できたので、明日もこの勢いを保ち続けたいと思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
完璧なラリー初日ではありませんでしたが、全体的には順調な1日だったと思います。午前中のステージは非常に難しくコンディションも変わりやすかったですが、とても良かったと思います。午後も悪くはなかったのですが、どのステージも数秒ずつ遅れ、特に午後好調だったセブと比べると差がついてしまいました。とはいえ全体的にクルマの調子は良く、明日に向けていくつか改善策を考えていますし、もちろん明日も戦い続けます。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
今日の1本目は非常にトリッキーで滑りやすく、アンダーステアが出やすいステージでした。ステージ終盤のダウンヒル区間でも攻め続けていたのですが、高速の右コーナーがとても滑りやすく、少し進入スピードが高すぎたこともあり、タイヤのグリップを失ってコースを外れ、大きなクラッシュを喫してしまいました。私とヨンネが無事だったのは不幸中の幸いでしたが、チームに対しては本当に申し訳なく思います。コースオフは自分のミスによるものですし、今後のためにこの経験から学ばなくてはなりません。
クロアチア・ラリー デイ1の結果
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 55m36.8s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +7.7s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +8.0s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +31.9s
5 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +54.8s
6 アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール (フォード フィエスタ WRC) +1m14.7s
7 ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン (フォード フィエスタ WRC) +1m21.7s
8 ピエール=ルイ・ルーベ/ヴィンセント・ランデ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m31.5s
9 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリス WRC) +2m23.2s
10 マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン(シトロエン C3 R5) +3m17.6s
R カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC)
明日のステージ情報
競技2日目となる4月24日(土)のデイ2は、サービスパークの南西エリアで、4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は121.92kmと、今大会最長1日となる。また、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は458.37kmとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)