キミ・アントネッリF1初優勝の裏側 トト・ヴォルフ「ナンセンスはやめろ」
メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは2026年F1中国GPでF1初優勝を飾った。ポールポジションからスタートした若きイタリア人はレースを巧みにコントロールし、チームメイトのジョージ・ラッセルとの1-2フィニッシュを達成した。

しかしレース終盤にはロックアップによるコースオフもあり、メルセデスF1代表トト・ヴォルフは無線でレースエンジニアのピーター・ボニントンに対してアントネッリを「落ち着かせろ」と指示していたことを明かした。

最年少ポールから初優勝へ
アンドレア・キミ・アントネッリは上海インターナショナル・サーキットで歴史的な週末を過ごした。19歳6か月18日でポールポジションを獲得し、セバスチャン・ベッテルの最年少記録を更新した。

決勝ではスタート直後のターン1でフェラーリのルイス・ハミルトンに先行を許したものの、2周目のヘアピンで再びトップを奪還。その後はレースを支配し、ジョージ・ラッセル、ルイス・ハミルトン、シャルル・ルクレールの争いを背後に見ながらリードを築いた。

終盤3周の時点でラッセルに9秒差をつけていたが、ターン14のヘアピンでロックアップしてコースオフ。数秒を失ったが体勢を立て直し、ラッセルに5秒差をつけてチェッカーフラッグを受けた。

この勝利によりアントネッリはF1史上116人目のグランプリ勝者となり、2006年マレーシアGPのジャンカルロ・フィジケラ以来となるイタリア人優勝者となった。

ヴォルフ「彼を落ち着かせろ」
「正直に言えば、終盤に特別緊張していたわけではない。ラインが出来ていて、システムも問題なく機能していたからだ」

「だがキミは止まらない。ファステストラップ、またファステストラップという感じだ。2024年のモンツァFP1でのクラッシュの時と同じパターンだと分かっていた」

「だから私はボノに『彼を落ち着かせろ』と言った」

「すると彼は『いや、今はリズムに乗っている。このレースを失わせたくない』と言った」

「そのあと彼がブレーキングポイントを外したので、私は『ほら見ろ、今こそ落ち着かせるべきだろう?』と言った」

「ナンセンスはやめろ」
「それは典型的なキミだ。私はボノに『そのナンセンスはやめろと伝えてくれ。ただこのレースを持ち帰ればいい。もうファステストラップは必要ない』と言った」

「だが、それが彼なんだ」

アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

勝利直後の皮肉めいた無線
「彼は若すぎる。メルセデスに乗せるべきじゃない。もっと小さなチームで経験を積むべきだ。彼がどんなミスをするか見てみろ」

「さあキミ、優勝だ」

ヴォルフはこの無線メッセージについて、若すぎると批判していた声への“ちょっとしたコメント”でもあったと説明した。

「物事がうまくいかない時には、『それは悪い決断だった』『メルセデスはリスクを取りすぎた』と言う人たちが出てくる。彼の才能は認められていたから本当に厳しい批判ではなかったが、スポーツの内外で『それは間違いだ』という声は多かった」

「だから少しコメントしたくなったんだ」

11歳から見守ってきた才能
「とはいえ、まだ1勝だ。今日は素晴らしいが、2週間後の日本GPで彼が壁に突っ込むかもしれない。だから我々は地に足をつけておく必要がある」

「彼とは長い道のりを歩んできた。11歳の頃からメルセデスのジュニアだった」

「昨年、彼がクラッシュした時やモンツァで事故を起こした時、多くの人が『若すぎるのでは』『もっと小さなチームに入れるべきでは』と言った」

「だが我々は彼を信じ続けた。そして今、その成果を得始めている。彼は初めてのグランプリ優勝を達成した」

レース後、上海の表彰台ではアントネッリ、ラッセル、そしてフェラーリのルイス・ハミルトンがシャンパンを掛け合った。長年ハミルトンと仕事をしてきたピーター・ボニントンがその中心に立ち、アントネッリの成長と勝利を見守る光景は、ヴォルフにとって特別な瞬間だったという。

「F1には完璧な瞬間がいくつかある。2014年にもあったが、今回の表彰台はそれに近いものだった」

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カテゴリー: F1 / アンドレア・キミ・アントネッリ / メルセデスF1