F1 トロロッソ・ホンダ ドイツGP
トロロッソ・ホンダは、2018年のF1世界選手権 第11戦 ドイツGPの決勝レースで、ブレンドン・ハートレーが10位入賞を果たし、アゼルバイジャン以来のポイント獲得。ピエール・ガスリーはタイヤ戦略が功を奏さず14位に終わるも、2台揃って完走を果たした。

第11戦ドイツGPは、午後3時10分から決勝レースが行われた。雲に覆われたものの、時折り日差しも出て暑さを感じさせるホッケンハイム・リンクは、気温26℃、路面温度43℃、降水確率60%のコンディションで決勝レースを迎えた。

予選17番手のピエール・ガスリーはパワーユニットを交換したことにより、ペナルティーを科され最後尾からのスタート。これはトラブルではなく、予選順位を考慮した上で、今後の戦いに向けて、パワーユニットのスペアを確保する目的で戦略的に交換を行ったものだ。予選18番手のブレンドン・ハートレーは、ペナルティーによるグリッド降格車が出たことでスターティンググリッドが2つ繰り上がり、8列目16番手からのスタートとなった。トロロッソ・ホンダは、2台ともスタートにソフトタイヤを選択している。

スタート、そして1周目は大きな混乱もなく過ぎた。ピエール・ガスリーは、1周目に18番手にポジションを上げるが、3周目には20番手に下がる。そのガスリーと前後して、ブレンドン・ハートレーは18番手で走行を続けた。

20周前後から、タイヤ交換のためにピットインするマシンが出始め、ハートレーも28周を終えてピットインした。雨が近づいている予報もあり、ガスリーはタイヤ交換を引き延ばす作戦へ。他車のピットインにより12番手までポジションを上げたガスリーは、タイヤが厳しくなり15番手まで後退するが、レースが終盤に向かう40周過ぎ、コースの一部に雨が降り始めました。雨は次第に強さを増し、インターミディエイトタイヤに交換するマシンが出始める。チームは雨が強くなることに賭け、ガスリーのマシンを43周目にウエットタイヤに交換。しかし、雨が収まり始めたことで、その作戦は功を奏さず、ペースの上がらないガスリーは46周目に再びピットに戻りウルトラソフトタイヤに交換。ポジションを19番手に落とした。

しかし、その直後から、再び雨が強くなり、52周目には、トップを走行していたマシンが雨でグリップを失いコースアウト。これによりセーフティカーが導入される。このタイミングで、ブレンドン・ハートレーはピットインし、ウルトラソフトタイヤに交換。終盤の追い上げを狙います。このセーフティカーの間に、タイヤ交換を行うマシンが相次ぎ、セーフティカー先導が終了する57周目には、ハートレーは9番手までポジションを上げた。

残り10周となった終盤、激しい入賞争いが展開される。ブレンドン・ハートレーは激しく追い上げてくる後続にパスされ、11番手でチェッカーフラッグを受けたが、前車にタイムペナルティーが科され、10位に繰り上がり入賞を果たした。ハートレーはアゼルバイジャンGP以来のポイント獲得。チームにとってもモナコGP以来5戦ぶりのポイントとなった。また、雨の混乱などで、一時最後尾まで下がったガスリーだが、終盤粘りの走りを見せ14位完走を果たし、アゼルバイジャンGP以来となる2台揃っての完走となった。

第12戦 F1ハンガリーGPは、ブダペスト郊外のハンガロリンクで7月27日(金)~29日(日)に行われる。

ブレンドン・ハートレー (10位)
「今日のレースにはとても満足しています。レース序盤はウィリアムズの後ろで苦戦しましたが、いいバトルをすることができました。固めのコンパウンドのタイヤを使用していたときのほうがマシンのペースはよく、終盤でウルトラソフトを履いたら逆に難しく感じました。グロージャン選手に抜かれてしまったのは悔しかったですが、彼のほうが明らかにペースはよかったので仕方のない結果だったと思います。レース中は安全に走ることを優先し、雨が降り始めたときは一か八かコース上に留まることを選択しました。コンディションが変わっていく中、チームと僕の間で密にコミュニケーションを取り、終盤ではその成果が現れたと思います。耐久レースでの経験を今回の作戦成功に役に立てることができ、その結果ポイントをチームに持ち帰ることができて本当にうれしいレースになりました!」

ピエール・ガスリー (14位)
「戦略的理由でPU交換をし、最後尾スタートのペナルティーを受けたので、今日のレースは簡単な一戦にはならないと覚悟を決めて挑みました。失うものはなにもないことが、立てた戦略に忠実に戦うことを後押ししてくれたと思います。天気の変化を読むのが難しく、雨が強まることに賭けてウエットタイヤに変更しましたが、雨量は思ったより少なく増えることもありませんでした。乾いてきた路面によって、温まりすぎたウエットタイヤで走行を続けるのは困難だったので、戦略外のピットストップを急遽行いウルトラソフトタイヤに変更しました。結果この作戦は上手く作用はしませんでしたが、あのときはリスクを負ってでも遂行するべきだったと思います。今大会は思う通りになかなか運ぶレースではありませんでしたが、気持ちを新たに来週のブダペストに向けて集中したいと思います」

フランツ・トスト (トロロッソ チーム代表)
「後方グリッドからレースをスタートすることは、決して簡単なことではありませんでした。しかし両ドライバーともにいいスタートを切ってくれましたし、レース中もそれぞれの状況に合わせたパフォーマンスを見せてくれたと思います。ブレンドンにとってはポイント獲得の一戦となり、とても喜ばしい結果になりました。ピエールは、雨が降り始めた時に雨量がさらに増えると予想し、ピットストップを行いウエットタイヤへ変更する賭けに出ましたが、天候は味方せず、作戦成功とはなりませんでした。ピエールには大変申し訳なく思っていますが、ときには挑戦することも必要であり、残念ながら今回は我々が選んだ作戦が奏功しなかったのです。マシンのパフォーマンスはレース中に改善が見られ、いいラップタイムで走った周もありました。よかった面は自信に繋げ、次戦のブダペストでさらに強いチームのパフォーマンスを見せられるよう準備したいと思います」

田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)
「予測が難しい雨により波乱となったレースの中で、2台のマシンが完走できたことはよかったと思います。また、ハートレー選手は16番手からのスタートでしたが、最後に粘りを見せて確実にポイントを獲得してくれました。ただ、ここ数戦を見ると我々のパッケージにはまだ課題が多いと思っています。来週のハンガリーGPに向けて早急に現状分析を行い、パフォーマンス改善に努めます」

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カテゴリー: F1 / トロロッソ