SUPER GT:ARTA MUGEN NSX-GTが今季2度目のポールポジション獲得
2023年 SUPER GT 第7戦の公式予選が10月14日(土)にオートポリスで行われ、GT500クラスはNo.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)の福住が、コースレコードを更新してポールポジションを獲得。GT300クラスでも、No.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)の堤が、コースレコードを更新してのクラスポールポジションとなった。この2チームは、明日10月15日の決勝レースを各クラスの最前列からスタートする。

GT500クラスの予選Q1は、午後3時33分に走行開始。午前の公式練習でクラッシュしてマシンを壊し予選出走が危ぶまれたNo.8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)だが、チームの懸命の修復作業が間に合って、大湯が乗り込んでQ1を戦うことになった。

まずはNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正)がアウトラップに続いて3周のウォームアップ走行からタイムアタックに入り、1分32秒681を記録する。続いて公式練習のGT500専有走行でトップタイムをマークしたNo.37 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京)がウォームアップ2周から1分31秒895を叩き出してトップに浮上。37号車は次の周でもアタックを続行するが、ここでのタイム更新はならなかった。その直後、No.100 STANLEY NSX-GT(牧野任祐)が1分32秒038までタイムを縮めてその時点での2位に。3位はNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(石浦宏明)で1分32秒437。

ここでチェッカーフラッグが提示されるが、その直後にNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(山下健太)が1分31秒900で2位に割って入ると、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛)も1分32秒001で3位に浮上。これで、TOYOTA GR Supra GT500勢の3台がトップ3を締めることになった。結果、一昨年に16号車NSX-GTでポールポジションを獲った笹原が、今季移籍した37号車のGR Supraで、Q1のトップタイムを記録した。

以下、100号車、No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資)、No.16 ARTA MUGEN NSX-GT(大津弘樹)、38号車、そしてNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大)までがQ2に進出。終わってみれば今回も上位12台が1秒以内という大接戦となった。

この結果、チェッカー直前まで8番手につけていた8号車が10位まで後退して惜しくもQ1敗退。ドライバーランキングのトップにつける3号車も、8位17号車に僅か0.140差の9位に終わり、Nissan Z GT500勢は全車がここで予選を終えた。さらにNo.36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)の坪井も12番手と、ランキング1~3位の3台がQ1で終わる厳しい結果となった。

予選Q2は午後4時11分にコースオープン。まずはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一)、続いてこれが最後のオートポリスとなる立川祐路のNo.38 ZENT CERUMO GR Supraがピットを離れた。残り時間が6分30秒を切るころには、他のチームも続々とコースイン。山本尚貴の欠場により急遽GT500デビューを果たすことになった木村偉織の乗るNo.100 STANLEY NSX-GTも走行を開始した。

まずはNo.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺)がウォームアップ2周からいきなり従来のコースレコード(2021年に16号車NSX-GTが記録した1分31秒389)を上回る1分31秒131を叩き出してトップに立つ。続いて39号車が1分31秒997を記録して2番手につけるが、その直後にNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(阪口晴南)が1分31秒604としてこの2台に割って入ったところでチェッカーとなった。

その結果、No.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)が第5戦鈴鹿以来、今季2回目のポールポジションを獲得。2~4位はNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)、No.37 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)とGR Supraの4台が続いた。

またオートポリスでのラストレースに臨む立川のNo.38 ZENT CERUMO GR Supraは予選7位から、山本尚貴の欠場により急遽100号車をドライブすることになった木村偉織は初めてのGT500での予選を1分34秒464でまとめ、No.100 STANLEY NSX-GT(牧野任祐/木村偉織)は同8位から、15日の決勝に臨むことになった。

GT500
No.16 ARTA MUGEN NSX-GT
福住仁嶺
「フリー走行(公式練習)の走りはじめは、かなりコンディションとしても難しかったと思います。雨が降った後でコンディションが変わるなかで、何が正解で(何が)ダメなのかっていうのも、比較していかないといけませんでした。最初に僕が走って、後半に大津(弘樹)さんが走っているなかで、細かいアジャストだったりとかフィードバックのおかげで、予選でいいクルマに仕上げられたなと思います。Q1は大津さんが走ったんですけど、(公式練習時のGT500)専有走行でも、赤旗が出ちゃったので、(大津は)今日はニュータイヤで一度もアタックできてないんですよね。そういうなかでもQ1をちゃんと通ってくれて……。で、僕自身に(Q2の)チャンスが来て、選択したタイヤの状況も悪くないですし、チームの皆さんのがんばりのおかげで、あれぐらいのタイム差(2位に0.473秒差)を作ることができたので、非常にいい予選だったかなと思います。(チャンピオンシップは)基本的に(先にコメントした)大津さんと同じ(思い)なんですけど、今年、多分、まともにレースができたのって鈴鹿ぐらい(だと思う)。優勝した時だけ、唯一……あのときも、ちょっとしたミスとかトラブルっていうのは、走っていないところであったりはしたんですけど、チーム力というところもかなり上がってきていると思います。流れとしても非常にいいとは思うし、とにかくここで優勝する、しないっていうことでもかなり最終戦の状況も変わってくると思います。3号車と36号車の2台とはポイントもちょっと離れちゃっているんで、そこに追いつかないと勝負権もなくなってしまうと思うので、少しでも最終戦に向けて楽になれるように、ミスなくなるべくポイントを獲りたいなと思っています」

大湯都史樹
「ポールポジションを獲ることができて、うれしいなというのが率直な感想です。(今季は)2回目ですし、チャンピオン争いをしているなかで、このポールというのは結構大きな意味があるんじゃないかなと思っています。明日(決勝を)戦う中でも、ポイントを稼ぎたいですし、最終戦に優位な位置でいけるようにするためにも、大きな一歩というか、結果じゃないかなと思います。自分自身の予選は、フリー(公式練習)からかなりクルマの調子は良くて、なんていうんですかね……ここからどう改善させようか、というのが、もう、“重箱の隅をつつく”じゃないですけど、そのくらい結構いいところにいて。ただ、Q1に向けては、タイヤの持ち込みの関係上、違うタイヤを選択したので、そこが自分自身としては、もうちょっと上(のポジション)で…… あんなギリギリ(6番手)じゃなく、もうちょっとラクに(福住へ)バトンを渡したかったなっていう思いはあったんですが。まぁひとまず通ることができたので(良かった)。(Q2は)タイヤも違うので、セッティングもいろいろアジャストして、(福住)仁嶺が走って、ほんとにとてつもない速さを見せてくれて。素晴らしいドライバーだなと思いました。前々回(第5戦鈴鹿)勝ったりしてるんですけど、僕たちのレースの内容としてはいい内容ではなくて、何かしらのミスだったり、ペナルティだったり、そういうことを必ず1回は受けてしまうようなレースが続いているので、もちろんチャンピオンは考えてはいるんですけど、それより先に、まずはしっかりと自分たちのレースをすれば、結果がついてくるんじゃないかなと思います。なので、そこ(チャンピオン争い)は意識せずに、一戦一戦戦っていきたいなと思っています」

GT300
No.2 muta Racing GR86 GT
堤優威
「今はとりあえずホッとしています。今週末、レースウイークを迎えて、チームが非常に速いマシンを用意してくれました。今シーズン、ずっと速かったんですけど、チーム、ドライバーともにまとめ切ることが足りなかったことが全戦で出てしまっていて。今回、そこをしっかりまとめ切ったことによってこういった結果がうまれたので、やるべきことをしてポールポジションを獲れたということで非常に嬉しかったです。自分自身、Q2の経験が少なくて4回目ぐらいなんですけど、毎回3位とか2位とかばかりだったので、やっとポールポジションを獲れたことは非常に嬉しいですし、その結果がコースレコードというのは、今年一年の速さというのをみんなに見せることができたかなと。チームとしても、これでホッとしたと思いますし、速さがあるということも確認できたと思うので、あとはチーム力で(決勝の)結果を残すだけですね」

平良響
「ポールポジションを獲ることができて)今はホッとしています。公式練習から非常に調子も良く、タイヤのマッチング、クルマのマッチングすべて良かったので“この調子で行けば…”というところは見えていました。そんななかでQ1トップ、Q2も堤(優威)選手がトップと、すべて1位で良かったです。Q1からQ2にかけて、ドライビングだったりタイヤのウォームだったり、いろいろな情報を堤選手と共有できたので、そこも僕の仕事としては良かったのかなと思います。予選結果を見てのとおり、ブリヂストン(タイヤ)が1位、3位、4位と上位を占めていて一発の速さはいいんですが、さらに注目ポイントはロングです。(2時間に及ぶ)公式練習もですし、今までの長いレースもブリヂストンタイヤのロングの強さが見えていると思うので、(タイヤへの)攻撃性の非常に高いオートポリスの450kmレースというところでその強みをもっているんじゃないかなと思っています。(明日も期待している?)「オートポリス×450kmレース」と聞いただけでも、“おっ、これはイケるんじゃないのかな”と思うような感じです」

加藤寛規
「いやぁ、ギリギリでした。ウソです、すみません。僕、走ってないですね(笑)。ふたりとも今シーズンずっと(一緒に)やってきて、本人たちの“強み”“弱み”みたいなものがだいぶ見えてきました。それをうまくコントロールしながらやるのが僕の仕事(本来は監督)なんですが、全体的にクルマもチームもまとめてくれましたし、ドライバーもしっかりミスなくやれたので非常にいい結果だと思います。ただ、本当に欲しいのは明日の優勝なので、まずこれは第一歩として、いい結果なので素直に喜んで。でも明日に向けて、もう一回仕切り直しでがんばっていきたいと思います」

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カテゴリー: F1 / SUPER GT