スーパーフォーミュラ:牧野任祐が2025年の第2戦を制す
2025年スーパーフォーミュラ第2戦の決勝が3月9日(日)に鈴鹿サーキットで行われ、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が優勝を飾った。

5番グリッドからスタートした牧野任祐は、上位グリッド3台が1~2周目にピットインしたのに対してステイアウトを選択。ピットストップ後にチームメイトに一度は抜かれたが、その後、抜き返してトップに立ち、優勝を果たした。

2位は坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、3位には岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が続いた。岩佐はスタートでトップに立ち、ピットストップ組ではトップだったが、第2スティントでスピードが上がらなかった。

残り3周でザック・オサリバン(KONDO RACING)がクラッシュしたことでセーフティカーが入り、セーフティカー先導でチェッカー。2番手でチェッカーを受けた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、シケインで岩佐歩夢(TEAM MUGEN)をコース外からオーバーテイクしたことで5秒ペナルティを科されていたため、12位となった。

2025年第2戦決勝 牧野任祐が渾身の逆転優勝!
朝から野尻智紀(TEAM MUGEN)の最多PP記録更新となったノックアウト予選に盛り上がった3月9日(日)の三重県鈴鹿サーキット。多くの観客が見守る中、午後からは全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦の決勝レースが行われた。ピットインのタイミングがドライバーによって大きく分かれる展開となったこのレースは、手に汗握る神経戦となったが、その中で今季初優勝を果たしたのは、好スタートを決めて交換を引っ張る作戦に出た牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。予選4番手からスタートし、同じくタイヤ交換を引っ張った坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が2位に入り、今季初表彰台を獲得した。3位にはスタートでトップに立った岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。岩佐は逆に早目のタイヤ交換を行なったが、レースペースが上がらず、初優勝はお預けとなった。

ノックアウト予選終了から3時間40分。午後2時40分に、いよいよ全日本スーパーフォーミュラ選手権・第2戦のフォーメーションラップがスタートする。この日は、22台のマシンが無事にダミーグリッドから1周の隊列走行に出て行った。この第2戦と開幕戦との違いは、レース距離が31周と4周長いこと。また、タイヤ交換のウィンドウが定められておらず、トップがオープニングラップの第1セーフティーカーラインを越え、ファイナルラップに入るまでにピットインすればいいということだ。

さて、1周の隊列走行を終え、全車が正規グリッドに着くと、後方ではグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。全車が一斉にスタートを切った。ここでいい動き出しを見せたのはPPの野尻。ところが野尻はギヤが2速に入らず、その後の加速が鈍ってしまう。そのため、予選2番手だった岩佐が1コーナー手前で野尻の前に出る。さらに、野尻の後ろにいた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もスピードが鈍る形となった。その太田に1コーナー進入から並びかけ、2コーナー立ち上がりまでにかわして行ったのは牧野。この時点でのオーダーは、岩佐、野尻、牧野、太田、坪井となっていた。

オープニングラップを終えると、ピットでは早くも動きが出る。スタートでポジションを落とした野尻と太田、さらに福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がピットロードに滑り込む。作業を終えてコースに戻ったのは、野尻、太田、大嶋、福住、阪口の順。福住のクルーは作業にミスがあり、大嶋の先行を許した。そのアウトラップでは太田が野尻に迫り、スプーンコーナーの1つ目で豪快にオーバーテイク。これでタイヤ交換組のトップに立つ。続いて、2周を終えたところで岩佐、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)もピットイン。岩佐は太田の前でコースに戻ることに成功した。さらに3周を終えたところでザック・オサリバン(KONDO RACING)、5周を終えたところでサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)もピットに入っている。タイヤが温まってくると、太田はファステストラップを連発。まずは前を行く岩佐を追った。

これで見た目上のトップに立ったのは、牧野。これに坪井、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、山下健太(KONDO RACING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)と続く。牧野は1分39秒台後半から1分40秒台前半のペースで周回。タイヤ交換した岩佐や太田とほぼ同じペースで周回を重ねる。牧野がトップを守るためにはピットロードのロスタイム28秒+作業時間ということで、40秒近いマージンが必要だった。5周を終えたところで、牧野とタイヤ交換組トップの岩佐との差は34秒750。ここから牧野はジワジワと差を広げて行った。坪井も牧野に食らいついて行ったが、ペース的には若干牧野が速く、10周を終えたところでその差は2秒163まで開いていた。

この頃になると、再びピットに動きが出て、大湯、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)がタイヤ交換のためにピットロードに滑り込む。また、コース上でも動きが。なかなか思うようにペースが上がらず、牧野との差が37秒411まで開いていた岩佐の背後に、太田が迫る。そして、14周目のシケインで太田は、岩佐のインにマシンを振ると飛び込んだ。2台はいずれもブレーキングをギリギリまで遅らせたが、太田はシケインをショートカットする形で岩佐の前に出る。この時、「ブレーキングに入りながら岩佐がラインを振った」と太田は無線で訴え、バックオフしてポジションを戻すことはしなかった。そのため、これに関しては競技役員の判定を待つこととなったが、これでタイヤ交換組のトップのポジションを取り返した太田と牧野の差は、19周を終えたところで、37秒183。牧野から岩佐は41秒936、野尻までは43秒376まで開いていた。

そして、20周を終えたところで牧野と坪井が同時ピットイン。牧野は太田の前でコースに戻ることに成功したが、坪井は太田の後ろ、岩佐の前でコースに戻る。しかし、すでにタイヤに熱が入っている太田はNIPPOコーナーで牧野をオーバーテイク。実質的なトップに浮上する。坪井は後ろから迫る岩佐を凌ぎ切り、実質3番手のポジションをキープした。ところが、21周を終えたところで、トップに立った太田にはレース結果に5秒加算というペナルティーの裁定が出される。22周を終えた時点で太田と牧野の差は1秒323、坪井との差は4秒552。このまま牧野が優勝、坪井が2位となるのは決定的だったが、タイヤがフレッシュな牧野は自力で太田を捉えたいところ。23周目には1分38秒375というファステストラップをマークしながら太田に迫る。そして、24周目の130Rではオーバーテイクシステムを使いながら太田の前に出ることに成功した。牧野について行くことで坪井を引き離せば、太田は2位を死守できるところにいた。実際、24周を終えた時点で太田と坪井の差は4秒159。太田としても踏ん張りどころだった。だが、坪井もタイヤがフレッシュで、逆に太田との差縮めようとプッシュ。27周を終えたところで2台の差は3秒569まで縮まっていた。

この頃、後方ではS字の入り口でアクシデントが発生。1コーナーからサイド・バイ・サイドの争いとなった、オサリバンの左リヤタイヤと野中誠太(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)の右フロントが接触。野中はそのまま走行を続けたが、オサリバンはスピンしてコース外の芝生にストップしてしまう。そのため、コース上にはセーフティーカーが導入された。太田にとっては絶望的な展開。そこからはセーフティーカーランがゴールまで続いたが、チェッカー目前にセーフティーカーはピットロードに滑り込む。そこからドライバーたちは一斉に加速し、チェッカーフラッグを受けた。その結果、鈴鹿初優勝を果たしたのは牧野。太田は見た目上の2番手でチェッカーを受けたが5秒加算で大きくドロップ。代わって、坪井が2位、岩佐が3位表彰台に上がっている。以下、野尻、フラガ、タイヤ交換に失敗があったもののそこから挽回した佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、大湯、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、可夢偉、大嶋までがポイントを獲得。太田は12位でレースを終えることとなった。ポイントランキングでは2戦を終えて岩佐がトップ。これに坪井、太田、牧野と続いている。

次回は4月18日(金)〜20日(日)に栃木県モビリティリゾートもてぎで行われる第3戦・第4戦。今までは夏に行われていたもてぎ大会が春の開催となる。ここも2レース制の大会となるが、誰が速さ、強さを見せるのか。1ヶ月後を楽しみにしたい。

スーパーフォーミュラ 第2戦 鈴鹿サーキット

2025年 スーパーフォーミュラ 第2戦 決勝

1.牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2.坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
3.岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
4.野尻智紀(TEAM MUGEN)
5.イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
6.佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
7.大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
8.小出峻(San-Ei Gen with B-Max)
9.小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
10.大嶋和也(docomo business ROOKIE)
11.山下健太(KONDO RACING)
12.太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
13.三宅淳詞(ThreeBond Racing)
14.福住仁嶺(Kids com Team KCMG)
15.阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
16.サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)
17.平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)
18.小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)
19.野中誠太(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)
20.高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)
21.Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)
DNF.ザック・オサリバン(KONDO RACING)

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カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ