ミハエル・シューマッハ 歴代F1マシン
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2012年、ミハエル・シューマッハは3年のF1復帰シーズンを終えて現役引退を発表した。
前人未到の7度のタイトルを獲得したミハエル・シューマッハのF1キャリアを1991年のF1デビューから歴代F1マシンとともに振り返る。
ジョーダン 191 (1991年)
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1991年、ベルトラン・ガショーの刑事事件をきっかけ、メルセデスが用意した持参金でジョーダンから第11戦ベルギーGPでF1デビュー。予選で7位を獲得した(決勝は0周リタイア)。同年F1に参戦したジョーダンの第1作目となった191は、フォードHBエンジンを搭載。設計はゲイリー・アンダーソンとマーク・スミスが担当。サイドポンツーン後方下部の絞り込みはこの191が先駆けともいえる。7upや富士フイルムがスポンサードした。
ベネトン B191 (1991年)
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バーニー・エクレストンの根回しでロベルト・モレノとトレードする形でベネトンに加入。移籍後初戦となったF1イタリアGPで5位に入賞し、初ポイントを獲得。ジョン・バーナードが設計したB191は、フロントウイングとノーズを完全に分離して2枚の板で吊り下げるハイノーズデザインを採用。以降のF1マシンに大きな影響を与えた。カラーリングは、メインスポンサーに就任したキャメルのイエローを基調。
ベネトン B192 (1992年)
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第5戦から投入されたB192は、太く丸い“バナナノーズ”が特徴的。設計はロス・ブラウンとロリー・バーン。ミハエル・シューマッハは、F1ベルギーGPでF1初優勝を果たし、ランキング3位でシーズンを終えた。
ベネトン B193 (1993年)
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F1第3戦ヨーロッパGPから投入されたB193Bは、セミオートマチックギヤボックスとアクティブサスペンション、トラクションコントロールといったハイテク装備を搭載。信頼性不足もあり、ミハエル・シューマッハはランキング4位でシーズンを終える。
ベネトン B194 (1994年)
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ミハエル・シューマッハが初めてワールドチャンピオンを獲得したマシン。このB194には、禁止されたトラクションコントロール使用の嫌疑がかけられたが証拠不十分として無罪とされた。マイルドセブンがメインスポンサーとなり水色をベースにしたカラーリングに変更。ミハエル・シューマッハは、F1モナコGPで自身初のポールポジションも獲得。
ベネトン B195 (1995年)
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B194を踏襲しつつも、エンジンをフォードV8からルノーV10に変更。ミハエル・シューマッハは2年連続ワールドチャンピオンを獲得。ベネトンもチーム初のコンストラクターズタイトルを獲得した。
フェラーリ F310 (1996年)
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フェラーリに移籍。この年、フェラーリはV型12気筒からV型10気筒に変更し、F310というネーミングは、Ferrari 3リッターV10エンジンから命名。第11戦ベルギーGP以降は7速ギアボックスが導入された。設計はジョン・バーナードとグスタフ・ブルナーが担当。
フェラーリ F310B (1997年)
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F310Bは、ジョン・バーナードがフェラーリで最後に設計したマシンであり、この年に加入したロス・ブラウンとロリー・バーンによって改良が加えられた。1ポイント差のランキング1位で迎えた最終戦ヨーロッパGPで2位のジャック・ヴィルヌーヴと接触。この接触が故意であると判断され、ミハエル・シューマッハはドライバーズチャンピオンシップのランキング剥奪の裁定を受けた。
フェラーリ F300 (1998年)
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ロス・ブラウンとロリー・バーンがフェラーリ移籍後に一から設計したマシン。最終戦までタイトルを争うもミカ・ハッキネンに逆転優勝を許し、2年連続で最終戦でタイトルを逃した。
フェラーリ F399 (1999年)
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F399は、Ferrari 3リッターエンジンを搭載した1999年仕様から命名。グッドイヤーのF1撤退にともないタイヤをブリヂストンに変更。ミハエル・シューマッハは、F1イギリスGPの事故で右足を骨折。タイトル争いには絡まなかったが、エディー・アーバインの活躍もあり、フェラーリは1983年以来となるコンストラクターズタイトルを獲得した。ミハエル・シューマッハの骨折後、F399の風洞開発を止めて来季マシンの開発に注力する。
フェラーリ F1-2000 (2000年)
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F399を元に正常進化させたF1-2000。ミハエル・シューマッハは自身3度目となるドライバーズチャンピオンを獲得。フェラーリは、コンストラクターズチャンピオンも決定し、21年ぶりのダブルタイトル制覇を成し遂げた。ミハエル・シューマッハは、この年からお馴染みの真っ赤なカラーリングのヘルメットを着用。
フェラーリ F2001 (2001年)
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高いモノコック先端から大きく下方へスラントしたノーズが特徴的なF2001。ミハエル・シューマッハは、17戦中9勝、11ポールポジションという成績で4度目のチャンピオンを獲得。4戦を残してフェラーリはダブルタイトルを決めた。
フェラーリ F2002 (2002年)
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F2002は、チムニーダクトと一体化させたエギゾーストパイプでサイドポンツーン上の空力を改善。ミハエル・シューマッハは、全戦完走・全戦表彰台という安定感をみせ年間11勝を達成。7戦を残して5度目のチャンピオンを決定するという圧倒的な強さを見せた。ボーダフォンがフェラーリのスポンサーに就任。
フェラーリ F2003-GA (2003年)
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序盤に苦戦を強いられるも最終戦F1日本GPで、キミ・ライコネンを2ポイント差で下し4年連続6度目のチャンピオンを獲得。F2003-GAは第5戦から投入された。斜めに狭く絞り込まれたサイドポンツーン下部と上側面に刻まれた放熱用のルーバーが特徴。“GA”は、同年1月に亡くなった元フィアット会長のジャンニ・アニェッリのイニシャルにちなんでいる。F1ヨーロッパGPではF1史上初の通算1,000ポイントを獲得した。
フェラーリ F2004 (2004年)
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F2003-GAを発展開発し、信頼性を向上させたF2004。前年とは打って変わり、開幕戦から5連勝するなど、全18戦中13勝でシーズン最多勝記録を更新。5年連続で通算7度のチャンピオンに輝いた。
フェラーリ F2005 (2005年)
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チーフデザイナーをロリー・バーンからアルド・コスタに交代。新レギュレーションへの対応が機能せず、わずか1勝に終わり、フェルナンド・アロンソにタイトルを明け渡した。
フェラーリ 248F1 (2006年)
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248F1は、2.4リッターV8エンジンを搭載したF1マシンから命名。ミハエル・シューマッハは、序盤はランキングをリードするも、フェルナンド・アロンソに2年連続のタイトル獲得を許すことになった。F1イタリアGPで引退を発表。
メルセデスGP MGP W01 (2010年)
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メルセデスと3年契約を結び、4シーズンぶりにF1復帰。前身チームであるブラウンGPのマシンBGP001をベースに、左右分割式のインダクションポッドやVノーズ・コンセプトを採用。オーバーステアを好むミハエル・シューマッハは、MGP W01のアンダーステア傾向に苦労し、フル参戦したシーズンで唯一の未勝利&未表彰台に終わり、9位でシーズンを終えた。
メルセデスGP MGP W02 (2011年)
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W02は、前年マシンよりも幅の広いハイノーズが特徴的。リアアサスペンションはプルロッド式を採用。ミハエル・シューマッハは、第12戦ベルギーGPでデビュー20周年を迎えた。
メルセデスAMG F1 W03 (2012年)
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話題となったダブルDRSを搭載したW03。だが、ダブルDRSによってフロントウィングの形状が制限されたこと、コアンダエキゾーストの投入の遅れなどにより、シーズン中盤以降は失速。ミハエル・シューマッハはF1モナコGPでF1復帰後初のポールポジションを獲得(ペナルティにより6番グリッドスタート)。F1ヨーロッパGPでは、復帰後唯一の表彰台となる3位表彰台を獲得した。F1ベルギーGPではF1参戦300戦目を迎えた。
カテゴリー: F1 / ミハエル・シューマッハ / F1マシン