キミ・アントネッリが波乱のF1モナコGP制覇 7台リタイアの荒戦で今季5勝目
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が、波乱に満ちた2026年F1モナコGPを制し、今季5勝目を挙げた。チームメイトのジョージ・ラッセルが無得点に終わる一方で、アントネッリはドライバーズランキング首位の座をさらに固めた。

モナコ市街地コースで行われた決勝は、7台がリタイアする荒れた展開となった。アントネッリはスタートから首位を守り、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)とアイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)を抑えて優勝を飾った。

フェルスタッペンがスタート直後に失速
レース開始直後、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が深刻なトラブルに見舞われた。マシンはアンチストールに入ったような挙動を見せ、フェルスタッペンは順位を大きく落とした後、ピットへ戻ってリタイア。これがこの日の最初の波乱となった。

その後もバルテリ・ボッタス、ランド・ノリス、オリバー・ベアマンらが相次いで戦列を離れ、ノリスは今季初めてポイントを逃した。マクラーレンはパワー系の問題に苦しみ、フェラーリ勢ではシャルル・ルクレールも終盤にクラッシュしてリタイアした。

終盤のセーフティカーと赤旗で展開が一変
アントネッリは序盤からハミルトンとルクレールに対してリードを築いていたが、残り約20周でランス・ストロールが最終コーナーでクラッシュ。セーフティカーが導入され、多くのドライバーが2回目のピットストップを行った。

このタイミングは、ピットレーン速度違反によるタイムペナルティを受けていたドライバーにとって、レース中にペナルティを消化する好機にもなった。

しかし再スタート後、地元出身のルクレールがストロールと同じ場所でクラッシュ。ターン19付近の路面損傷を確認するため、レースは赤旗中断となった。

ハジャーがレッドブル移籍後初表彰台
ルクレールのリタイアにより、ハジャーは表彰台圏内へ浮上した。ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は路上ではハジャーの前でフィニッシュしたものの、ピットレーン速度違反による5秒ペナルティを2回受け、順位を落とした。

その結果、ハジャーがレッドブル・レーシングでの初表彰台を獲得。オスカー・ピアストリが4位、リアム・ローソンが5位に入り、レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドも6位で好結果を残した。

ペレスの降格でアロンソが今季初ポイント
セルジオ・ペレス(キャデラックF1)は当初10位でフィニッシュし、キャデラックF1にとって初ポイント獲得かと思われた。しかし赤旗後の再スタートでグリッド位置違反があったとして、レース後に10秒ペナルティを科され、15位へ降格した。

これにより、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が10位に繰り上がり、アストンマーティンは今季初のトップ10フィニッシュを達成した。

2026年F1モナコGP 結果

1.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
3.アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)
4.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
5.リアム・ローソン(レーシングブルズ)
6.アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
7.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
8.アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
9.エステバン・オコン(ハースF1チーム)
10.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
11.ガブリエル・ボルトレト(アウディ)
12.ジョージ・ラッセル(メルセデス)
13.ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
14.フランコ・コラピント(アルピーヌ)
15.セルジオ・ペレス(キャデラックF1)
DNF.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
DNF.シャルル・ルクレール(フェラーリ)
DNF.ランス・ストロール(アストンマーティン)
DNF.ランド・ノリス(マクラーレン)
DNF.オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)
DNF.バルテリ・ボッタス(キャデラックF1)
DNF.マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

2026年のF1世界選手権 モナコGP 決勝

レース展開
ポールポジションからスタートしたアンドレア・キミ・アントネッリは、スタートで完璧な蹴り出しを決めて首位をキープした。

対照的に、2番グリッドのマックス・フェルスタッペンはマシンがアンチストールに入ったような挙動を見せて発進に失敗。目の前を全車が通過していくのを見送るしかなく、大きく順位を落とした後にピットへ戻り、そのままリタイアとなった。

これによりルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのフェラーリ勢が2番手と3番手へ浮上。アイザック・ハジャー、ジョージ・ラッセル、オスカー・ピアストリらが続いた。

序盤のアントネッリは圧巻だった。フェラーリ勢を寄せ付けず、8周目にはハミルトンに4.5秒差を築く。モナコ特有のトラフィックが発生し始めると各車はバックマーカー処理に神経を使うことになったが、アントネッリは安定したペースを維持し続けた。

その一方で、ハミルトンは無線で「リアタイヤがかなり厳しい」と訴え、タイヤマネジメントに苦しみ始める。

4番手争いではラッセルがハジャーの背後に張り付き続けた。ハジャーはフロント左タイヤのグレイニングに加え、エンジントラブルにも見舞われていた。

「1速が使えない」

「何かが爆発しそうだ」

と無線で繰り返し訴え、パワーロスにも苦しんだ。それでもモナコの狭いコースではラッセルも抜くことができず、ヌーベルシケインまでほぼ接触寸前の距離で追走する展開が続いた。

レースが動き始めたのはピットウインドウに入った中盤だった。

29周目にハミルトンがハードタイヤへ交換。フェラーリは2.1秒の素早い作業で送り出したが、その後ハミルトンにはピットレーン速度違反による5秒ペナルティが科される。

さらにラッセル、フランコ・コラピント、ピエール・ガスリーにも同様の違反が発覚し、レースは徐々にペナルティ合戦の様相を呈していった。

この頃にはオリバー・ベアマンがリタイア。さらにバルテリ・ボッタスも週末を通して悩まされていたブレーキトラブルにより戦列を離れた。

32周目にはラッセルが先にピットインし、ハジャーのアンダーカットを狙う。戦略は成功し、一時的に順位を逆転したが、その後もペナルティ問題に苦しむことになる。

後方ではランド・ノリスにも異変が発生していた。

マクラーレンは徐々にパワーを失い始め、ノリスは無線で出力不足を訴える。ラッセルに抜かれた直後、チームはマシンをガレージへ戻す決断を下した。

今季初のノーポイントとなったノリスのリタイアは、選手権争いにおいても大きな痛手となった。

その後もアントネッリは首位を快走し、一時は約30秒のリードを築く。

しかし60周目、レースは大きく動く。

アントニー・ノゲスでランス・ストロールがウォールへクラッシュ。セーフティカーが導入されると、多くのドライバーが一斉にピットへ飛び込んだ。

ハミルトンとピアストリはここでタイムペナルティを消化。フェラーリはハミルトンとルクレールをダブルスタックで処理したが、ルクレールはその影響で待たされる形となった。

メルセデスもアントネッリの左リアタイヤ交換に手間取り、それまで圧倒的だったリードは一気に縮小した。

そして再スタート直後、さらに大きな波乱が発生する。

地元モナコで表彰台を狙っていたルクレールが、ストロールと全く同じ最終コーナーでクラッシュ。マシンはバリアへ突っ込み、その場でレース終了となった。

ターン19付近の路面損傷確認のため赤旗が提示され、レースは中断された。

ルクレールは無線で怒りをあらわにし、自身の責任ではないと主張。母国表彰台の夢は突然終わりを迎えた。

赤旗中断中にも裁定は続いた。

ガスリーには2回目のピットレーン速度違反による追加5秒ペナルティが科され、ラッセルには未消化だったペナルティによりドライブスルーペナルティが命じられた。

再開はスタンディングスタートとなった。

アントネッリはここでも完璧な発進を決めて首位を維持したが、その後方では再び混乱が発生する。

ラッセルが集団を抑えたことでヘアピン出口が大渋滞となり、ニコ・ヒュルケンベルグがカルロス・サインツJr.へ接触。サインツJr.はウォールへ弾き飛ばされた。

さらにトンネル進入前ではフランコ・コラピントとも接触し、サインツJr.はスピン。ウィリアムズのレースはここで終わった。

ラッセルも直後にドライブスルーペナルティを消化し、14番手まで転落。2戦連続ノーポイントが確定した。

一方で、トラブルを抱えながら走り続けたハジャーは最後まで粘りを見せた。

フィニッシュ直後には赤旗手順違反の疑いで審議対象となり、表彰台獲得は保留状態となったが、スチュワードは最終的にお咎めなしと裁定。レッドブル・レーシング移籍後初表彰台が正式に確定した。

アントネッリは最後までレースを支配し、ハミルトンに4.4秒差をつけてチェッカー。ファステストラップも記録する完璧な内容で今季5勝目を手にした。

また、10位でチェッカーを受けたセルジオ・ペレスはレース後に10秒ペナルティを受けて15位へ降格。これによりフェルナンド・アロンソが10位へ繰り上がり、アストンマーティンは今季初ポイントを獲得した。

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カテゴリー: F1 / F1レース結果 / F1モナコGP